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ごほうびラムネ

高1の時に書いた作品です。

 聞いて聞いて。あのね、あたしが小五の頃の話なんだけど。

 小五ってさ、クラス替えあるでしょ。あたし、それまでずっとぼっちでさ。友達が一人もいなかったの。今では考えられないでしょ。それでね、クラス替えを機会に、本気で友達作ろうと思ったの。それで、クラスメイト片っ端から話しかけた。出席番号一番から三十五番まで全員に。嘘じゃないよ。あ、でも、あたし抜くから、一番から二十二番と二十四番から三十五番かな。どうでもいいか。あはは。

 えっと、そうそう。話しかけたんだけど、みんな怖がってるみたいで、あたしを避けるの。あの時は寂しかったな。

 でもね。三日後にはみんなと友達になれてたの。すごいでしょ。どうしてだと思う。正解は、ラムネパワー。信じてない?本当だよ。思い当たらない?あたしね。昔から、テストで百点取ったり、お手伝いしたりすると、パパが「ごほうびラムネ」くれたの。ううん。飲み物じゃなくて粒のやつ。でね、そのラムネ、すっごい美味しいの。なんかね、ぱあってなってふわあって感じ。うーん、うまく言葉じゃ表せないなあ。でも君ならわかるよね。そこで、思いついたの。みんなにも、ごほうびラムネを分けてあげれば、友達になれるんじゃないかなって。あたし天才じゃない?

 だけど、ごほうびラムネは、あたしがいいことしないとくれないから、あたし、いっぱい頑張ったの。そしたら、パパはたくさんラムネをくれた。これでみんなに配れる、って思ったよ。

 でもね、不思議。ラムネ見てると食べたくなっちゃうの。一つだけって思ってると二つ食べてて、二つだけって思ってると四つ食べてる。我慢しなきゃってわかってるのに、結局全部食べちゃってるんだ。だからね。あたし、パパがお仕事行ってる間に、え、パパのお仕事?知らない。教えてくれないの。それで、こっそりパパの部屋に入って、ラムネを一袋持ち出して、学校に持ってったの。五十個は入ってたかな。まあ、登校中ちょっと食べちゃったけど、クラスメイト全員分は残ってた。

 学校はおかし持ってくるの禁止だから、ちゃんと隠れながら配ったよ。みんな喜んでくれて、その場で食べてた。そしたら、美味しい美味しいって、ありがとうって言ってくれた。

 その時は、よかったーって思ってたんだけど。


 一時間目終わったら、みんなが、あたしの机に来て、ラムネもっとちょうだい、ラムネ欲しいって。でも、全員にあげて無くなっちゃってたから、もうないよーって言ったの。そしたら、嘘だ、早く出せ、ラムネくれって言って、襲いかかってきた。あたし、怖くって夢中で逃げたよ。そこで思ったの。あたしがラムネ盗んだから、神さまが怒ってるんだって。必死で必死で逃げて、学校も抜け出して、街も抜けて、いつの間にか知らないところまで来てた。足は疲れて動かなくって、もうあたし死んじゃうのかなって思った。そしたら、目の前から黒い車が来て、あたしの前で停まった。車から出てきたのは、パパだった。怒られると思ったから、身体を小さくして、頭を抱えたの。でも、パパはあたしの頭を撫でて「帰ろう」っていってくれた。あたしはパパの車に乗るとすぐ眠っちゃった。


 次の日の朝、学校に行くのが怖かった。でも、学校行ったらラムネくれるってパパは言って、あるものをくれたから、頑張って学校に行った。そして、クラスのドアを開けたら、みんながあたしの周りに集まってきた。また襲われるって思った。そしたら「ごめんね」ってみんなが謝ってきた。あたし、びっくりしちゃった。そしたら、女の子がね、「みんなラムネが美味しくておかしくなっちゃってたの」って教えてくれた。だからあたし、「大丈夫だよ。あの、あたしと友達になってくれないかな。」って言った。みんなきょとんって顔してたな。今思い出しても笑える。ランドセルから、朝、パパにもらったあるもの、ごほうびラムネを出して「パパがあたしと仲よくしてくれたら、みんなにもラムネあげるって言ってた」って話したの。みんな喜んであたしと友達になってくれた。

 それからあたし、友達がたくさんできるようになったの。あ、そろそろ五時間目はじまるね。

 聞いてくれてありがとう。

 はい、ごほうび。

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