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戦闘神姫  作者: 柳井
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【3章】戦闘神姫 第13話 町を目指して

激闘の末、四人は無事ダンジョンから生還した。

ダンジョン攻略で“神器じんき”の入手と、仲間の戦闘姫せんとうき化という大きな結果を生み出した。

「とりあえず応急処置は終わった。早く帰って医者に診てもらおう」

ダンジョンでの連戦は過酷だった。

特にマクとアヤカの傷は深い。

「アタシはなんとかなる。アイツの刀の腕が良すぎた。それよりアヤカがやべぇ」

レグリオルとの戦闘中、マクは片腕を斬られた。

幸いにもレグリオルの剣術のおかげで、斬られた腕の断面は綺麗だった。

しかしアヤカは、奥の手である鬼哭纏きこくまといを三度も使用した。

アヤカにとっても初めての経験であり、あまりにも危険な行為だった。

「私達が乗ってきた馬車は恐らくまだ来ない。地図を見る限り、ノヴァリスとは反対側に町があるね」

「わかった。俺がアヤカを運ぶ。二人は歩けるのか?」

「えぇ〜! 私もイッシンに運ばれたいんだけど」

「そんだけ元気があれば大丈夫だな。ローア、マク。行くぞ」

イッシンはアヤカを背負い、三人は走り出す。

ーー

ダンジョン攻略前、ネフィリス王国――

「おや、私は神器の回収の依頼を出したのですが。何故手ぶらなのです?」

「サイランさんよぉ? 確かに俺はダンジョンの攻略と神器回収の依頼を受けた。だが割に合わねぇ剣士の相手を受けた覚えはねぇぞ」

サイランの話し相手はギル。

イッシン達と同じダンジョンへ向かい、レグリオルと戦闘を行った男だった。

「貴方にそこまで言わせる剣士ですか……一体何者でしょうね」

クスクスと笑うサイランに、ギルはとある事を伝える。

「あぁ。獅子王の騎士って言ってたぞ」

「ほぅ。それは興味深いですね……獅子王。まさか……ね」

「ただ、俺はダンジョン攻略を諦めたが、上手く行けばもう少ししたら終わる頃じゃねぇか?」

ネフィリス王国からダンジョンまでは、そこまで遠く無かった。

「盗賊らしい良い発想ですね。難易度的に挑戦してるのは恐らくノヴァリスの戦闘姫達でしょう」

パチンと指を鳴らした瞬間、見張りの男が部屋に入って来た。

「至急、湖から一番近い部隊に連絡しなさい」

「ハッ! 魔法具マジックアイテムですぐに連絡を取ります!」

(この際、弱ってる相手なら一般兵でも大丈夫でしょう)

「じゃあ依頼があったらまた連絡くれよ。金次第では動いてやるから」

「えぇ。今度はしっかり頼みますね。元団長ギル

ギルはネフィリス王国を後にした。

そしてネフィリス軍が動き出していたことを、イッシン達はまだ知らない。

ーー

「アヤカ、意識を持って。町には医者もいるはずだよ」

「ローア、お前は大丈夫なのかよ」

走りながらもローアを気遣うイッシンに対し、ローアはムッとした表情を浮かべる。

傷は塞がったとはいえ、ローアも深手を負っていた。

「戦闘姫になったお陰なのかな? 受けたダメージ自体は忘れるくらい治ってると思う。でも体力の消耗は酷いね。慣れない武器とはいえ、神器の力を使うって相当なものだよ。だからアヤカ達、戦闘姫の存在は国にとって宝なんだと思う」

イッシンには理解できていた。

以前、イッシンもネフィリスの襲撃を受けた際に神器を使用したことがあったからである。

「まだ私は動ける。最前線を張ってくれたアヤカは死なせない」

「森を抜ければ、そろそろ見えてくる頃だぜ」

三人は町を目指し、速度を上げる。

それを見つめる一人の男がいた。

「敵影発見。四人……。一人は重傷の模様」

「四人か。聞いていた冒険者かもしれん。怪我人がいるならこの先の町で休むつもりかもしれん。怪我人とはいえ、ダンジョン攻略者かもしれん。気を抜くな」

「森を抜けた瞬間……仕掛けるぞ」

ネフィリスの魔の手は迫っていた。

ーー

森の中、イッシン達はモンスターにより行く手を阻まれていた。

「チッ……! こんな雑魚でも今は厄介だな」

「雑魚はアタシらで何とかする。イッシンはアヤカを落とすなよ」

「弱いけど、ダンジョン以外でも湧くなら一般人には脅威になるよな」

その時、ローアはモンスターとは違う敵意を感じ取る。

「……殺気!?」

来た方向を振り向いても、そこには誰もいない。

しかし、この時に感じた違和感はアヤカにも伝わる。

「流石ね……ローア。いい勘よ」

「アヤカ! 目を覚ましたのか」

アヤカが目を覚まし、ローアに話しかける。

「それより何処に向かってるの?」

「逆方向だけど近くの町だ。それより大丈夫なのかよ」

「問題ないわ……話すくらい。それより迷惑かけちゃったわね。情けないわ」

「迷惑なんか掛かってねぇよ。アヤカがいなかったら皆死んでる。お前は俺達の英雄ヒーローだよ。だから絶対死なせない」

三人は足を止め、考える。

引き返してノヴァリスを目指すか、それともすぐ先の町へ向かうか。

「アヤカを助けるなら突っ切ろう。戦えるか? 皆」

「ったく。ウチの指揮官は荒いぜ」

「無論だよ。アヤカちゃんを助けるんだ」

三人は森を抜ける選択をした。

「行こう……!」

三人は一気に森を駆け抜ける。

「目標、突然加速しました」

「どのみち我等からは逃れられん。DA部隊、攻撃態勢を取れ」

DAディストラクションアームズとは、ウェポンズ同様に魂を宿した武器を体に取り込んだネフィリスの戦士である。

「隊長……おでは」

指揮官の横に、大柄の男が姿を現す。

「お前には万が一この攻撃を逃れられたら戦ってもらう。俺について来い! 残りはここで構えろ」

森の出口は、ネフィリスの部隊に包囲される。

「殺気が濃くなったよ。本気で殺りに来てる」

「手はず通り行こう。3、2、1――走れ!!」

三人は薄暗い森を駆け抜ける。

そしてこの選択は、イッシンにとって大きく未来を変える選択となる。

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