48.怒らせちゃいけない人っているよね
遅くなりましてすいません。
更新頻度を落としたのは単純に忙しくなってきたから、というのもあるのですが、他にも理由がありまして。
それについて活動報告に上げますのでよければ見てください。
「キョウちゃん!」
ナツキの叫びも虚しく、キキョウの満タンを示す緑HPバーは急速に短くなっていき、それにつれて黄、橙、赤と変化していき、ついには無くなった。
彼女の体が光の粒子となって消えていく。
今までにこのメンバーから死に戻りが出たのは、ゲートキーパー戦だけだった。
その時に死んだのはレナとナツキの2人。
今回は1人だけなので損害は軽いように見える。
しかし、俺にとっては違った。
もう少し草を斬るのが速かったら、結果は違ったものになったはずだ、そう思わずにはいられない。
巻きつかれた時、ボサッと見ていないで、すぐに切断していれば、キキョウは死ななかった。
自分が魔法を唱えるのが遅れた所為でメンバーを死なせてしまったという事実は、ゲートキーパー戦では無かったものなのだ。
それがショックで、しばらく思考が止まってしまった。
草の切断に使用したウインドソードの補充もせず、ただ立っているだけ。
「トウキ!」
レナの声ではっと思考を切り替える。
キキョウには後で謝るとしよう。
それを木にする前に、ここを乗り切らなければならない。
全力でこのハマドライアドを殲滅することに決めた。
新スキルを一切の躊躇なく使う。
『影写し!』
俺の足元の影から、ローブが灰色であること以外は俺とそっくりな分身が姿を現す。
驚いたのは、その分身が、俺の装備である鉄の剣、さらに、まだ使わずに残っていた4本のウインドソードまで写し取っていたことだ。
現れた分身は剣を抜き、ハマドライアド達に突進していく。ハマドライアドたちは魔法が使えるようで、次々と風魔法が飛んでくるが、もう1人の俺は気にも留めない。
手に持っている剣とウインドソードでその悉くを搔き消していた。
木の近くにたどり着きハマドライアドに斬りつけたかと思うと、周囲に漂っていたウインドソードが相手に殺到した。
HPバーが瞬く間に消え失せ、1体のハマドライアドが脱落する。
そこまで見ている間に、俺も1体仕留めている。
ハマドライアドと一番相性がいいのはナツキのようだ。
虎哮拳を連発し、蹂躙と言ってもいい活躍を見せている。
すでに仕留めたドライアドの数は3体。
キキョウを倒されてかなり怒っているらしい。
「許さないよ!とっとと私の前から消えて!一瞬で消しとばしてやる!」
若干キャラが怪しいことになっている気がしなくも無いが、まあ頼もしいのであえて触れることはしないでおこう。
コウ、タカアキ、レナも今まで無いほどに鬼気迫った雰囲気で敵を殲滅している。
コウは片手剣二刀流なので、木であるハマドライアドとの相性は悪いはずなのだが、手数で相手を圧倒し、俺と同じくらいのタイムで1体倒している。
レナの闇魔法は強烈で、ダークトマホークという、黒い斧を作り出す魔法で木の幹をどんどん削っていっていた。
タカアキはメイスを振り回し、パワーだけでゴリ押している。
バーバリアンのような戦い方だ。
ちなみに、池のほとりに生えている草は、俺と分身が全て刈り取ったので、俺たちを拘束することはもうできない。
ドライアドの攻撃は、草による拘束、枝による鞭のような攻撃、風属性魔法の3つ。
最初の1つは俺によって封じられた。
枝の攻撃は素早いナツキとコウならなんとか避けられる。タカアキに当たってもさほど痛くは無いので構わず攻撃を続けるので意味は無い。
さらに言えば、そもそも俺とレナには当たらない。
風魔法は中々の威力と範囲だったので、数発食らった俺の分身が消えてしまったが、たいしたことでは無い。
それに魔法には詠唱が必要なため、どうしても手数が減る。対して手数を武器とするコウとナツキには愚策であり、殲滅速度を速めるだけだった。
振り返ってみれば、こんな奴らにキキョウは死に戻りさせられたのか、と腹立たしく思うほど呆気なく、ハマドライアドたちは全滅した。
「あんたら如きがキョウちゃんに手を出すな!」
ナツキさん大荒れです。
口調口調。
フンス、と鼻息が出ているような気さえする。
「……ボスに挑むのはキキョウのデスペナが解除されてからにしましょうか。」
レナさん若干引いてます。
みんな怒っていたとはいえ、ナツキ以上に怒っていた人はいない。
後ろに般若を幻視するレベルだ。
アバターは墓守、なんてエジプトっぽいものなのだが、やはり般若というのがぴったりだな。
そうして一旦ホームに戻ろうかと話をしていた時、地揺れが起こり、後ろから、内臓まで震えるような低い咆哮が轟いた。
「グォォオオオオオオオ!!」
〈怨霊樹Lv.23〉敵対
先ほどのハマドライアドを一回り、いや二回りほど大きくした巨大な木が枝を振り回し、幹についた顔を歪めて唸りながらこちらに進んでくる。
ボス戦では逃げられない設定になっているのか、通ってきた道には透明な壁が出来ていて出られない。
ヒーラーがいない状況でのボス戦。
普通なら無茶なことであり、全滅は必至だろう。
それにも関わらず、俺は危機感を全く抱いていなかった。
その理由は察していただけるだろう。
「今出てこないでよ!私は早く帰りたいの!」
…………ボスさんや、このタイミングでナツキの前に出てくるのは、自殺志願と思われても仕方が無いと思うんだ。
とりあえず心の中で気の毒なボスに忠告しておこう。
(怨霊樹さん!逃げて!超逃げてええええ!!)
プレイヤー名:〈トウキ〉
系統:〈不死系〉
種族:忌魔Lv.21
HP…420
MP…380
str…13(+7)[+24]=44
int…47(+3)=50
vit…13
agi…23[+8]=31
dex…20
soul…8
SP…0
【装備スキル】
[詠唱短縮・微]
【特性】
〈忌まわしき者〉
【種族スキル】
〈幻影Lv.11(↑1)〉〈禁術Lv.5〉
【通常スキル】
〈風魔法:剣戟Lv.29(↑1)〉〈識別・改Lv.7〉〈魔力遮断Lv.9〉〈錬金術Lv.6〉〈剣術Lv.6〉〈自然体Lv.6〉〈残心Lv.1〉
武器1:なし→鉄の剣
武器2:なし
盾:なし
頭:なし→精霊の仮面
胴:なし
足:装備不可
装飾品:なし→精霊の鞘




