第十一話 《drop of sun》リリース!
「あぁー……。中間考査やっと終わったー……。」
六月の終わり、鷹矢はパソコンクラブでそう呟いた。同じ部屋には崇と咲枝がパソコンに向かっている。
「鷹矢は勉強苦手だもんな。」
崇はパソコンをやる手を止めてこちらを見た。
「理学系が意味わからん……。歴史とかは好きだけど。」
「珍しいね。崇君は?」
咲枝がキーボードを打ちながらそう言った。彼女は今何かプログラミングしているらしく資料やらかき集めて作業している。
「んー……平均的だけど古文とか漢文、数学は得意だな。」
「ふーん……。」
「咲枝は何が得意なの?」
この頃は咲枝とも打ち解けて下の名前で呼びあっている。
「理科系。」
二人は意外!と声を揃える。
「……松三浦は京都じゃ名家だし……小さい頃から勉強させられていたんだよね。」
「そっか……。」
「だからパソコンゲームやってたの。いわゆる現実逃避だね。よし、できた!」
そう言って咲枝はノートパソコンを持ってきた。そして画面を見せる。
「……《drop of sun》専用のアバター。」
「……何したの?」
「うーん。簡単に言うと《drop of sun》のホームページに忍び込んでその中のアバター作成を引っ張って作った。」
咲枝は平然とそう言った。そして3つという指サインを出す。
「ついでにシステムを3つ取ってきた。」
「はぁっ!?」
咲枝の発言に二人は驚いて声をあげてしまった。
「……《ノア》に一応許可貰ったんだ……。」
「うん。《アマテラスオオミカミ》をそのまま使いたくなくて。どうせなら新しく作ろう!と思って。で、ちょっと情報集めってことでシステムを3つ取ってきたってわけ。」
咲枝はそう説明して笑った。
「まぁ、いいんじゃないか?鷹矢の《ツクヨミ》も消えてしまったわけだし。」
鷹矢はそうだった、と思い出す。あれから結局元に戻せていない。
「……私……ちょっとバックアップしてたしこれでいいなら。」
そう言って咲枝はUSBメモリーを鷹矢に渡す。首をかしげながら自前のノートパソコンに挿してみると《ツクヨミ》と名のついたアバターがそこにあった。以前は黒い着物を着た少年のアバターだったのが今は橙色と黒の着物になり、背中に満月をイメージしたような羽があった。
「え!?」
「……《drop of sun》はRPGらしいから。それは基本ね。」
「ありがとう!」
「……咲枝、システムを3つって言ってたが……どんなのが?」
「あー。秘密にしときたいけど……教えよっかな?まずは世界観。これがね面白いの。妖精、天使、悪魔、妖怪とね色んな世界があるみたい。」
「色んな世界?」
「そう。魔法とかもあるけど職業も豊富で。色んな世界を巡った最後には《神様の国》って言うのがあって先着百組に次のゲームの招待があるんだって。」
「凄いな……。」
「二つ目は職業ね。なんと!最大で10個も得られるのです。」
「嘘ぉ!?」
職業が10個も得られるのは初めてだ。
「まぁクエストの報酬とかレベル褒賞だけどね。最初は2つかな?」
「楽しみ!早くやりたいな。」
隣で崇はそう言った。
「3つ目はパーティかな?最低3人、最高で8人。」
「へぇ。じゃこの3人で足りるな。」
崇の言葉に咲枝は頷いた。
「リリースが楽しみだね。後……って明日!?」
咲枝はニコッと笑う。
「明日の4時にリリースだよ。放課後パソコンクラブで出来るね。」
そうして《drop of sun》はリリースされ、俺達は新たな冒険に向かうことになる。これからも旅は続いていくことになると思う。《アマテラスオオミカミ》が導いてくれた世界は広がり続けていく。
―――そう信じて。
―end―




