第18話 譲れぬ想い
すっかり仲良しになった沙織と皆川は、
美術館のカフェに行ったあと
美術館の近くに住まいがある健くんの家に遊びに行くことになった
健くんの家は、想像と違ってかなりの広い建物で、入ってみると生活感のない、、
だだっ広い倉庫のような、、ところだった
書きかけの絵が何枚も置いてあって、、
沙織「あれ?絵を描いてるの?
アトリエなの?ここ」
健「うん、そうだよ。
僕が描いてるんだ。
僕が赤い花シリーズを描いてるんだよ。」
沙織 (え、、? なんか変? 様子が、、)
沙織「赤い花シリーズって、、大河原毅俊が描いてるんだよね、、」
健「僕は大河原毅俊のゴーストライター。
ぜーーんぶ僕が描いてるんだよ
でもあの人、最近
肖像画や裸体画や自分で描くようになって。
でもどの作品もイマイチで、冴えないけどね。。 笑
世の中の人は、まさか大河原の絵をゴーストライターが描いているとは思ってもみないだろう。」
アカイシリーズ
キレイ デショ
不気味に ニヤつきながら、健くんはそう話す。
健「あのおじいちゃん、昔は自分の思い描いている絵を描けていたんだけど、少し前から書けなくなっちゃったんだ。それで暗い絵ばかり描くようになって、でも世の中はおじいちゃんに、「次の作品を次の作品を」と求めてくる。
大河原先生の家と僕の家は近所で、僕は小さい頃から先生に絵を教えて貰っていた。僕が高校1年の時、僕が描いた絵を見て、先生が驚かれて、「君は画家になれる」って言ったんだ。「僕のゴーストライターにならないか」って。内緒で。代価も支払うし、欲しいものはなんでも与えると。
僕の家はね、貧しかったから、ゴーストライターでもなんでもいいから僕はお金が欲しかった。
それ以来、僕は大河原毅俊の代わりに絵を描いているんだよ。
でもね、今回はね、大河原先生と僕の意見の相違があって、話し合いをしに、先日、大河原先生のご自宅に行ったんだ。大河原先生は「赤い花のシリーズの赤色は情熱と野心の色だ」って言うんだ。でもね、僕は女性の美しさを表現したかったの。
僕はね、この作品には人生をかけてたんだ。
僕はね、僕の作品に対しての想いや考えを変えることは出来なかった。
譲れなかった。
今回でゴーストライターをやめて、健の名で、世の中に僕の作品を出していこうと決めていた。その話を大河原先生にしたんだ。そしたら大河原先生が、『君はわたしの影武者にしか過ぎない、君にアイデンティティなんてないんだよ。しかし結構結構、もうわたしのゴーストライターをやめてくれ。私もそろそろ潮時だと思っていたところなんだ。ちょうどよかった。君はもうこれからは、君自身の絵を描いていきなさい。ここから君の本当の勝負が始まるんだよ。君の名で世の中の人が君の絵を認めてくれるかどうか。はっきりするだろう。』って言うんだ。
僕、ゴーストライターをやめることは理解したんだけど、今回の赤いシリーズの表現内容については譲れなかったし、アイデンティティがないなんて言われて、命がけで描いたこのシリーズを、随分自分勝手なことを言うなって、頭にきちゃってね。
大河原先生がいなくなれば、赤いシリーズの赤の意味を僕の表現で、世に出すことができると思って、もうここで、僕の画家生命が終わったとしてもいい、僕が持つこの作品への想いが、全く違った意味を持って世に出されないように、その日からずっといつか大河原先生を殺そうと心に決めたんだ。
それでね、昨日、ナイフを隠し持って、大河原先生の家に行ったんだ。ナイフで先生の胸をたくさん刺すしかないって。僕は返り血を浴びて、汚れちゃうだろうけど、いやだったけど、しかたないっておもってね。
でもね、、、、せんせい、、、、いなかった、、、、、しばらく旅行なんだって、、、
突然..旅行、、
僕から逃げるように
そんなことはないとおもうんだけど、、
誰かが、大河原先生に 僕が殺そうとしてるってこと 言ったのかな..」
加奈子の方を無表情で静かに見る健
沙織 (まずいなぁ、、この展開、、)
健「僕の赤いシリーズもこれで最後なんだ。
赤色を
美しい赤色を
キャンバスに表現するために
リアリティを追求して、美しい女の血を使って 花を描くんだ
花はキャンバスの上で 瑞々しく生き生きと まるで本当に生きていて咲いているかのように 描かれる。
女の美しさが 花にヤドル
生きてる時も美しいけれど
いなくなっても 美しさは
ノコルンダヨ エイエンニ
みーんな、「大河原先生に裸体画を描いてもらうの」と、嬉しそうに光栄そうに 僕に話してきたよ。
青葉さんは、綺麗だけど気が強くていつも忙しそうで、でもカフェに来て、僕と会うと、ほっとすると言っていたよ。彼女は仕事への熱い思いを話してきた。一人で勇敢に挑む姿と青葉さんの美しさが、あの赤いハイビスカスには描かれている。
ハイビスカス、花言葉は勇敢。そして、青葉さんは恋愛が上手くいってないって、恋愛相談も僕にしてきたんだ。男に見捨てられたって、、 それでも忘れられなくてまだ好きなんだって。だから僕はハイビスカスの横にアネモネの絵を添えたんだ。 アネモネ、花言葉は、、儚い恋。見放された。恋の苦しみ、それでも私は君を愛す。
ほかの三人も、、、
叶実ちゃんは学芸員と画家になる夢を僕に語ってきたから、大河原先生のことをすごく尊敬していてね、僕はその情熱を薔薇に書き写した。薔薇の花言葉は情熱。
ようこさんは旦那さんが自分を大事にしてくれるって僕に自慢してきてね笑 ヨカッタネ、幸せそうな新婚生活だねって言ってあげたんだ。 ようこさんは微笑んで、その微笑みも美しくて これを世に残さなければと僕はその時 体が震えた。ようこさんは ゼラニウム。花言葉は、、あなたがいてしあわせ。
つくしちゃんは、高校の文化祭に展示する作品を頑張ってるって、、たしか、、グスタフ・クリムトの接吻、、。えらいねぇ、がんばってねって僕褒めて応援したんだ。まだあどけなさが残る純真な瞳をしていた。つくしちゃんは ガーベラーになった。ガーベラの花言葉は チャレンジ、常に前進。
彼女達はみんな赤い花になった。
美術館に飾られてある彼女たちを見ただろ?
いまもほら、 彼女たちの心にあった情熱やら
美しさが
微量も 減らずに いや それ以上に 増していっているのさ。
僕は、この美を、世界に発信する
世の中に感動を与え
世の中のために
僕は
生きているんだ
僕はついに、今日 完成させるんだ
このシリーズを。
絵は 1つ2000万で売れる
そのモデルになれるんだよ、それにずっと美しさも残るし、光栄だとは思わないかい?」
沙織 (正気の沙汰ではない..)
沙織 ( 加奈子ちゃんが、危ない。。
犯人、大河原毅俊じゃなくて、
この子だったんだ!!
加奈子ちゃんどこ、??!!)
沙織は少しの震えが止まらず 後ずさりして、すると自分の後ろに加奈子がいるのを見つけて、
すぐに加奈子の手を握って、家のドアから出ようとした。
沙織 「加奈子ちゃん、すぐにここから離れよう、、!!!」
しかし、加奈子はドアから出ていこうとせず、そこに立ったまま、沙織と手を繋いだまま 喋りだした。
皆川「沙織ちゃん、
私は公開レッスンに参加したけど、
殺されないのよ、、ごめんね、、。
私は健くんの友達だから。」
沙織 「、、、、え?、、、、」
つづく




