Act.6「再び戦場へ」.2
メルクリウスの整備場では、ファインが中心となって機体のアップデートを行っていた。
「タキオンエンジンの出力なら、多少の装甲増加には対応できる。何より防御と攻撃を引き揚げるんだ。AIユニットの保護を最優先に考えろ。あいつが落ちたらどうしようもないんだからな」
「試作型の重力子ビーム砲を搭載してみるのはどうだ? あれなら敵の装甲に関係なく、命中箇所を重力崩壊させることができるぞ」
「偏光コーティングを装甲の上に塗布するのを忘れるな。こいつはちょっとやそっとのビームでは貫けんぞ!」
「フレーム自体はどうしようもないんだ。モノコック構造を生かして装甲で機体を守れ。でないとタキオンエンジンの出力に耐えられないぞ」
メルクリウスの外観は、先ほどの流線形の構造は維持しながら、ずいぶんといかつくなっている。緊急で製造される装甲を追加され、さらにいるのかわからないミサイルポッドやらビーム砲が外付けされ、パージ用の爆砕ボルトが装填された。
「これでデッドウェイトを防げるぞ。使い切ったり不要だと思ったらすぐにパージしてくれ。どうせまだまだ実験段階の試作機だ」
「しっかしまあ、深宇宙探索を主任務とするのに、いろいろ作ったな。兵器」
「それくらい作ってないと、奴さんらから投資が入らねぇからな」
四大勢力の協同資本で成り立ちながら、その資本を使って四大勢力に盾突いて中立性を維持する。なんとも矛盾した状況だが、そうしようとしてできるだけの戦力がある。
おそらく、四大勢力ですら、このコロニーがどれだけの何を作っているのか、明確に把握していないだろう。なにせ、先ほどからそんな会話ばかりしている。
「んー、多次元探査レーダー、王国の依頼で作ったものだが、帝国に見せびらかしてええんかの」
「どーせ最終的には全勢力に公開するんだからいまさらいまさら」
「ゆうてこの装甲材も偶発的に発見したもんで、どの勢力にも報告しとらんし」
「発掘部門なんてそもそもまともに報告したことあったんか? AIユニットのだって、アーブ博士が見つけたもんを解析したデッドコピーを見せて、三割虚偽報告やで」
そんな会話がしたとき、テイはアーブにモニター光を向ける。
「アーブ?」
「あーいやー、なんのことかなー。私は私の研究に忠実だっただけなんでー」
「それでいいのか、主任研究員が」
このテキトーさは、若さの特権とでも言うべきか。
ふと、最後の瞬間に一緒だった少女を、テイは思い出した。
彼女がこの場所にいたら、たぶんアーブとは仲良くなっただろうな、なんて場違いなことを想いながら、自らが接続される時を待った。
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