第四話 恥ずかしい朝
波乱の夜が明け、次の日の昼頃。
「....私恥ずかしすぎる」
アリーシャはベッドにくるまり昨日の自分を思い返し顔を真っ赤にしていた。
なぜアリーシャがこんな状態になっているのかは、今朝の出来事から話さなければいけない...
今朝、私が目を覚ますと日当たりのいい部屋の中にある青いきれいなベッドの上で寝ていた。
あまりにも心地がいいので二度寝でもしようかと思ったが、昨日のことを思い出してすぐにぼやぼやとした目が覚めた。
昨日は、変な水の化け物をみて、いやな剣士を助けてやって、あやしいやつに追われて、私が気絶しちゃって、剣士に後を託して。
昨日はいろいろなことがあったからつい変な気分になっちゃってなんかかっこつけて剣士に語っちゃった。
恥ずかしい...
なんだかほんとに前の世界じゃありえない振り返りだ。
いやいや、でもその前になんでこんな高級ホテルみたいな部屋でくつろげてるんだ。
その振り返りの感じだと結構私やばい状況だったよ。
ガチャッ
すると部屋の扉があいてメイドのような人が少し驚いた顔で私のほうを見てきた
「おはようございます。気分はいかがでしょうか。」
「あ、はい。」
「それでは騎士団の方がお待ちしておりますのでお部屋にご案内いたします。少々お待ちください。」
「あ、はい。」
もうここは本当に高級ホテルなのかもしれない。
どんな対応をされるのかとびくびくしていたら淡々と話が進んでいくから呆気に取られてしまった。
それにしても騎士団か、本当に異世界にはそんなのがあるのね。
バァン!
すると部屋の扉が蹴破られ怪物のような生き物がぎょろりと私のほうを見てきた。
「体調はどうかしら!?あら!?どうしたのそんな化け物をみるような顔をして。」
さっきとは打って変わって化け物...いや昨日追っかけてきたマリムとかいう青い肌の女が扉を粉砕して入ってきた。
後ろには腕に包帯を巻いたアイルという男もいた。
二人とも同じような服を着ている、ということはこの二人が騎士団...?悪者ではなく...?
「マリム、なんで壊すんだ。扉は開けるもんだ。もうお前の給料からこういう修繕費を引く準備はできている。」
「心が狭いわよ。私たちは水のように大きな心を持たないとだめよ!でもアイルちゃんの書類整理能力は助かってるし、我慢するわ!!」
するとマリムの体はだんだんと小さくなり平均的な女性ほどの体になった。
しかし相変わらず異質なオーラを放っている
どういうこと?この人たちは昨日追いかけてきた人と同じ。
でも騎士団のような制服を着ているし、なんだか私を差し置いて談話しているし...どういうこと?
「どういう状況なの?あなたたちは何者?」
「本当に昨日俺が話したことを何も聞いていなかったのか...私たちはこのサムダイルを中心に活動しているロウダイル大陸一の騎士団だ。最近このあたりで水の怪物、そしてマリンストーン通称マリストの異常が問題になっていてな。そこで...」
「そこで隠れてサムダイル全域を調査してたらかわいこちゃんたちを見つけたってわけ!それで詳しい状況を聞こうと思ったら全力で逃げ出しちゃうから強硬手段に出たのよ。でももっと重要で私のかわいこちゃんセンサーのすごさがわかることがあるの!それはぁ!...」
「お前が、水神からのおつげにあった青い髪の少女というのにとても酷似しているということだ」
「もう!よこどりするなんて!!」
「お前がいると話が進まない。」
「そんな...」
「ふっ、そのまましおらしくいてくれ」
「もー、安心して!いつも通り元気よ!演技!」
この二人、仲がいいのか悪いのかわからないけど悪い人たちではなさそう。
でもその話が本当なら私の見当違いで攻撃してしまったことになる。
「ごめんなさい、まだこの辺りの環境に慣れていなくって。感情的になってしまったわ」
そう私が二人に謝ると、マリムとアイルは少し驚いた顔で答えた
「ははは、昨日の感じから、マリムみたいにもっと素直に謝らないやつだと思っていたんだが、どうやら杞憂だったようだ」
「ふふん、私はわかっていたわよ。何せ水神の予言した子だもの。私のように知的で強くて...え、アイルちゃん、私のことそんな風に思ってたの?!」
「さてと、そろそろ本題に入ろうか。」
それから約一時間ほど主に水神について、そしてその予言の子である私についての説明を受けた。
水神というのは、大きな地域を代表して支配するものに与えられる称号でマリムとアイルの属する騎士団の実質的なトップでもある。
しかし水神は少し特殊でロウダイル大陸そして水上都市という遠く離れた二つの土地を支配している。
しかも水神はめったに表には出てこない、そして土地の支配もロウダイル大陸はマリムに、水上都市はまたほかの人にほぼ任せっきりだそうだ。
また、マリムは意外にも全大陸で見ても数人しかいない勇者という称号も持っている。
次に話されたのは私について。
とあるルートで水神からマリムにサムダイルに青い髪を持ち水神と縁の深い時神の権能を持った少女が現れるから保護するように、そしてその少女はロウダイル大陸で起きているマリンストーンの異常に大きく貢献するとお告げがあったそうだ。
最後に、アイルの腕のけがは私のせいらしい、感情的になっていた昨日の自分が恥ずかしい。
本当に申し訳ない
「まず伝えるべきことはこのくらいか。君が何らかの理由で別世界からこの世界に来てしまったことについても理解しているが。その理由については全く分からない。だからとりあえずはこの世界で生活できるように私たち騎士団が全力で保護しよう。」
「水神がわざわざこんなに特定の人物に干渉することはあまりないのよ。私妬いちゃう!まぁでも言われたからには明日からみっちり私があれこれおしえてあ、げ、る。」
「今日のところは私たちはここで失礼する。またあした君のもとを訪れよう。君は助けようとした剣士と途中で現れたパーティに状況を説明しに行くことを強く進める」
こうして二人は部屋から出ていき、のちにメイドがドアの代わりにカーテンをドアがあった場所につけてくれた。
いろいろなことが次々に説明されたがもう理解し終わった。
すると恥ずかしさがこみあげてくる。
一人で舞い上がり二人に攻撃を仕掛けた上にあの剣士を勝手に助け巻き込んで、お世話になったあのパーティーの誘いをすっぽかしてまたまた迷惑もかけてしまったのだ。
そうして恥ずかしさのあまり外に足が向かわずベッドでくるまっていたということだ。
そこに誰かが私の部屋を訪問しに来た
「ジルドという剣士の方が面会を希望しているそうです。」
メイドのいったその名前には全く心当たりがなかったけど。とりあえずOKを出してみた。
「よう、お尋ね者さん」
「うぇ、、、、」
そいつは私が助けた剣士だった。
「顔が真っ赤だな。泣いてたか?いや、それともこの大陸の騎士団のトップのお二人を知らずに大喧嘩したことが恥ずかしいのか?」
「そうよ、私は何も知らなかった哀れな嬢ちゃんよ」
「はは、そうすねるなよ。その、、酒場での件は本当に悪かったと思ってる。俺を助けようとしてくれたことだって、感謝してる。」
「....」
意外だ、でも、確かにわざわざここまで来たんだし。その言葉は本当だろう。見ても反省していると脳が判断しているから違和感も感じない。
「もういいわよ。私も巻き込んじゃったパーティーとあなたに話をしに行こうと思ってたところなの。」
「もしかしてそのパーティってアウレイヒとかいうのがいるとこか」
「そうよ、知ってるの?」
「ああ、あの時一緒にいたからな今日も俺が先におまえが大丈夫か確認してくることになってたんだ。
多分したの通りにいるはずだ。」
ということで私は部屋を出た。
するとメイドさんが出口まで連れて行ってくれた。
なかなか上のほうにいたみたいだ、ここは街の真ん中の水に囲まれた搭。
さぞかしきれいな風景だったろうに、ほかのことに気を取られていると身近にある良いものに気がいかなくなってしまう。
残念だとつぶやくと、ジルドが「なんかあんた騎士団に目かけられてんだろ?頼めばまたこれるだろ」
と返してきた。
そのあともぽつぽつと会話をしながら歩いた。
ジルドは炎の国で冒険者業をしていたが訳あって冒険者を多く呼び込んでいるロウダイル大陸に移動したそうだ。
その話をするジェラルドはどこか悲しい顔をしていた。
また別の機会にすこし話を深めてみよう。
そうして歩いていると出口に来た。
「それではお二人ともこの橋をまっすぐ行くと大通りに出ます、門番には話を通してありますのでご心配なく」
白い橋の下にはきれいな水が流れていて、橋の周りには水球や噴水が魔法的にきれいに存在している。
発達したこの私の体でも異世界には驚かされっぱなしだ。
ジルドにその感じたすごさを語りながら橋をわたって大通りに出ると少し離れたところにアウレイヒたちがいた。
「アリーシャが来たぞ!」
「あ、ほんとだ!トリウスー!」
私を見つけるとアウレイヒとキーシャが、雑貨屋を見ているロウレイヒとトリウスを呼んだ
「まさかあの騎士団トップのお二人と喧嘩をするとは、やはりアリーシャさんはすごいお方のようだ。
お時間のある時に剣の修業をぜひぜひ。しかし、もっとこの町のことをお教えして差し上げるべきでしたね。」
ロウレイヒは私のほうに走ってくるとそういってきた。申し訳ない、今度一緒に剣の練習をともにすると約束した。
「僕たちが酒場で待っていたのに一向に来る気配がないから探してみたら。まさかあの二人と戦っているとはね、馬車のときの戦いといい、アリーシャさんにはこの短期間で二度も驚かされましたよ。」
「そうそう、私もアリーシャちゃんのことを魔力探知で探してたら、ものすごく早く移動してたからびっくりしたよ。しかも追いついたら倒れこんでたしね!もう大丈夫そうだけどなんかあったら私を頼ってね!」
次にトリウスキーシャコンビが勢いよくしゃべりかけてきた、若い二人にとっては大好物の内容なのだろう。
キーシャは私の体調をとても気遣ってくれてトリウスは近くの店で甘いスイーツを買ってきてくれた、もちろんキーシャの分も。
あらやだいい男、、、はっ!マリムの思考が移ったか。
糖分が身に染みる。
アウレイヒは朝っぱらから酒を飲んでいるようでほかのメンバーと私が話していると、大丈夫だと思われたのか少し挨拶をして酒を片手に露店を見に行ってしまった。
「アリーシャちゃん、体調が戻ったなら私たちと少しクエストに行かない?」
「もう明日には騎士団のほうに行ってしまうんでしょう?それならここらの知識もつきますしほどほどのクエストにでも行って今度こそよる一緒にご飯でも食べましょうよ!」
「それはいいですね!ちょっと兄さんを呼んできますね」
「…」
話がひと段落するとキーシャたちがそう話を持ち掛けてきた。確かにいい経験にもなるだろうし喜んでついていこうと思う。...それにしても少し離れたところでジルドがもじもじしている。
ついてきたいのか...?いまいちジルドのことはよくわからないがここに来るまで接していて割といいやつだと分かったし関係を深めてやるとするか。知り合いなどゼロの異世界生活だ縁は大切にしていこう
「ジルド、あなたもついてこない?その...迷惑もかけてしまったことだし。それに私ここら辺に来たばかりで知人が少ないの。仲良くしましょ?」
「へへ、ちょうど俺も今日は予定がないからな!ついていってやる」
やっぱり若干むかつくがとりあえずみんなでクエストに行くことになった。
まずはギルドに行って申し込み。
A-EランクまでのクエストのうちCランクを受けた。
ほどほどというから少し難しいDくらいだろうと思っていたが、このパーティーは思ったより高く評価されているそうでCランクになった。
「そういえばアリーシャちゃん武器持ってないよね...ちょっとお店寄っていこうか」
「そうね、短剣がいいわ!」
「ハッハッハ!その身一つでここまで来たとは!最近魔物が活発化しているしな、少し遠いが行きつけの魔道具店へいこう!」
武器!やっぱり剣と魔法の世界!
そうしてうきうきと少し顔を赤くした私とふらふらと歩く赤ら顔のアウレイヒとともに店に行った。
「あのおっさん大丈夫なのか?これからクエストだってのにフラフラだぞ」
「兄さんは大の酒好きでして...でもいざとなったらシャキッとするので。なんなら解毒魔法でむりやり」
「やだなぁ、だって私が解毒魔法使うとアウレイヒ不機嫌になるんだもん!」
「ハハ、せっかくの酒が!ってね。」
「へぇ、今度飲み比べでもすっかな」
「ちょっと、あなた酒癖悪いでしょ」
「アリーシャ、男ってのは酒が命なんだ...なに、あんな悪酔いはもうしないよ」
店までの道のりではくだらない話をして少し仲が深まった。
そしてついに店についた。
人通りが多かった大通りから少し離れたところにある店だ。
そして中に入るとなかなか癖の強い光景が広がっていた




