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第1章 転移 第一話 転移と力

目が覚めると、曇り空、そして荒野が広がっていた。

外国? これはまいった、私はコミュ障とまではいかないが初対面の人にグイグイと関わるのが苦手だ。

言葉も通じないとなると、とても困る。

一応、施設での勉強でほとんどの国の言語を覚えたが上手くできるかな。

でもまずは人と会うまでに生き延びなければ、こんな荒野であてもなくウロウロしていたらパタリと倒れてしまう。

いや、でもこの体なら結構持つかもしれない。


[ーーー!!ーー!]


遠くから声が聞こえる。

ガタガタと言っているから馬車か何かかな。

施設の中にいたからよく分からなかったけど、この体は耳もとても高性能だ。

でもおかしい、少し遠くて聞づらいが何を言っているのか全く分からなかったし全く聞いた事のない発音だ。

そうこう考えているうちに馬車は近くまで来ていた。

御者が私に気づいた。


[ーーーー?ーーー!]


こんな荒野に馬車なんてなかなか通らないだろう、千載一遇のチャンスだ。

今の私は演技派女優。

水が欲しくて、助けて欲しいというような印象をつけよう。


[ーーーー。ーーー]

[ーーーーーー?]

[ーーーー]


御者が乗客の何人かと話し合っている。

中がよく見えないが5人ほど乗っている。

女性と、子供と、ごっつい男の人がいる。


[ーーーー!]


手招きされた。

乗っていいようだ、水もコップ1杯くれた。


[ありがとう]


言葉が通じなくても、自分なりのお礼の言葉と誠意を見せればきっと伝わるはずだ。

現にそのまま快く荷台に入れてくれた。


---


それから数時間馬車に揺られて荒野を進んで行った。

ひとまず安定した居場所を確保出来たので今の状況を確認しようと思う。

こんな荒野で倒れる前の記憶が上手く思い出せないが、何が起きたか大体は分かる。

私は施設に違和感を抱き、できるだけその不信感を表に出さず今の状況を知るために行動した。


まず、男が言っていた脳の研究というのは本当のようだ。あの後待っていると実験が始まった。

薬をうたれたり、手術をしたり、特殊な運動をすることで私の体はどんどん進化していった。

運動能力の向上や、脳の進化により天才と呼ばれるような瞬間記憶や学力を習得した。

また、周りの動きがスローになるようにしたり物理演算など、pc以上に自分の思う通りのことが殆どできるようになったりした。

自分の体の全てが思うがまま。

全能感を感じるほどに。

ただただこの世界が心地いい的な感覚だった。

その男の研究は常軌を逸していた。


そして、男は度々私のところに来て話をしてくる。

しかし、ここまで進化したのにこの男の奥は全く見ることが出来なかった。

そして少し経つと最初の時のようにお菓子を持ってきてくれる。


だがこれが罠だ。

私の好みでとても美味しそうなものを持ってくるがこれを摂取すると思考が曖昧になる。

私の反抗心を消すためのものだったのだ。

この罠に何度も私は引っかかった。

脳が疲れているから反射で口に入れてしまう。

この罠に何回かかったかって?

約50回は引っかかった。

頭ではダメだと思ってるんだけど、手を変え品を変えてくるからつい。

だけど、私の力を使ってこの美味しいお菓子輪廻は断ち切られた。


そう、コップを落とした時だ。

私の脳は本能でこの施設に危険を感じて私に強い違和感とそれを食べることへの拒否感を植え付けるために力を使った。

それにより美味しいお菓子輪廻は断ち切られ、私は自分の力を自覚して毒を感知、そして排除した。

そして私の体の進化が、ピークになるまで耐え忍んだ。


その後からの記憶があやふやだ。

力を使って施設から出ようとしたっていうのは分かる、そしておそらく一気に大きな力を使ったことで施設の外に出たはいいがこんな辺鄙な場所に後遺症付きで倒れていたんだろう。

でも、自分の持つ知識、身体能力、進化した脳、そして、力は今も受け継いでいる。

私の持つ力は


グオオオオオ! グルルルル!!


心の中で今に至るまでの経緯とこれからへの決意を固めようとしたら馬車の外から宙を裂くような鳴き声が聞こえてきた。


[[!?]]


な、なにあれ。

全く見たことの無い生き物が群れをなしている。

自慢げに知識が受け継がれているとか言った自分が恥ずかしい、全く分からない。


[ロウドレイクだ!! 仕事だ!! 気合い入れろ!]

[結構な群れだな、この人数で太刀打ちできるかどうか]


一緒に馬車に乗っていた屈強な男たち含め4名が外に出ていった。

護衛だと思うのだが。

なんか鎧とか剣とか持ってるマジでクレイジー集団だ。

というか、ろう、、どれーく?なんだそのファンタジーっぽい名前は。

地域特有の呼び方とかなのかな。

でも危険だ、クレイジー集団よりもこの生き物は危険だ、私の本能がそう告げている。


[私も参戦するわ! こっち側は任せて!]

[あぁ? お前に何が出来る。馬車の中にいろ!]

[こっちは任せてって、そんな数相手に一人でどうするんですか!]


ーしかし、馬車を護衛しようとする男の声など気にもせず、その女は戦闘態勢にはいった。

そこからは凄まじい光景だった。

彼女はむれの中心に一瞬で移動し数体ののロウドレイクの頭を殴り飛ばした。

それにより左右のロウドレイクも俊敏に女に噛みかかろうとした。

ロウドレイクは群れで相手の動きを見極めて俊敏に攻撃する厄介な生物だが、女はものともせず2匹のドレイクの頭に手をおき宙に舞い、それと同時に2匹のドレイクの頭は塵となり消えた。

女は宙でドレイクの群れを見渡し、素早く地に降り、しっぽを掴んで振り回したり頭部をもの凄い速さで投げたり、全くダメージを受けず、馬車に1匹も向かわせずに着実にドレイクを倒していった。

頭部を塵にした力。

それこそが彼女が発現した力。

時を操る力だ。

彼女が望めば時空はねじ曲がり、青い閃光を放ち転移すらも可能とする異質な力だ。ー


[ふう、まずまずの出来ね。記憶以外は特に後遺症もなく体も動かせるわ]


そういえば普通に会話ができた。

乗客がおしゃべりな人たちばかりだったので、何とか言語を解析できないかと数時間少し脳のリソースを割いて聞いていたら知らぬ間に使えるようになっていたようだ。

赤ちゃんも親の言葉を聞き続けていれば言葉を理解するし、進化した脳ならば別におかしな事ではないかな。


[ぐっ、ローレイヒ!大丈夫か!]

[今はまだ大丈夫だけど、このままだとまずいかな]

[ん?そういやこっち側は任せろとか言ってた女の方妙に静かじゃねえか?]

[確かにそうだね、トリウスとキーシャ向かわせたけど、こんな短時間でこの群れを倒せるわけないと思うけど、、]

[ローレイヒさん! アウレイヒさん! 下がって!!]


ザンッ ザシュッ ボッッ ガッ!ダッ!ドッ! ヒュン!


2人がトリウスとキーシャにより後ろに下がったことを確認すると、女は瞬く間にロウドレイクの群れを全滅させた。

キーシャという女性から剣を借りて首を斬り、その頭部を投げ2体のドレイクを貫通し、時には頭が塵になり、時にはしっぽを持たれてドレイクは振り回され、4人はその狂気の惨状を目の当たりにして呆然とたっていた。


[あ、あの。つい、夢中になってしまって。あ、でも皮とかはとれますよ?]


施設ではこんな自由に体を動かせるのは限られていてつい夢中になってしまった。

この人たちは護衛の仕事をしていて、プライドもあるだろう、たとえ私一人で対処できるものだとしても、人には役割もある。

そういう時は周りを見て、行動しなければいけないというのに私は、、、と反省していると


[さっきは舐めた口聞いてすまねぇ、あんたがそんなに強いとは思わなかったんだ]


アウレイヒという男が私に謝罪してきた。

だけどおかしいな。今の私の動きを見て何も感想は無いのか。

自分で言うのもなんだけど相当人間離れした動きだったけど。


[ねぇ、どこか怪我はしてない?私が治してあげるよ!]


すると、短めの黄色い髪をした女の子が話しかけてきた。

治す? とはどういうことだろうか。

少し足に傷がある。

治してと言ってみよう


[えーと、うん。足に傷を負ってしまったから、治してくれる?]


[分かった! ちょっと触るね! 神よ、傷を癒す力を私に。ヒーリング!]


治った。

私と同じように脳が進化しているのだろうか。

いや、違う。

ヒーリングにロードレイク。

そしてこの護衛の人達の着ているロマン溢れる装備。

異世界だ、そうに違いない。

ヒーリングという明らかに異質な力、そして私の力の特異性。

また、ドッキリとか、そういう民族だとか、そういう類ではないのはこの私の脳が証明している。

どっかにカメラがあったり、雑なセットだったり、そんな違和感もない。

これは、異世界転移と言うやつだ。


[よし! でもなんだか申し訳ないな。私たちが不甲斐ないせいで倒しきれなかったドレイクをあんなに倒してもらったのに。

私にはこれくらいしかできないよ]


[そうだね、そうだ! もうすぐ街に着く。そこでご飯と宿代を奢らせてくれないか]


私がこの今の状況を理解して興奮していると、キーシャともに私を助けに来たが呆気に取られていたトリウスがそんな提案をしてきた


[そうですね、本当に助かりました、兄さん、そのくらいのお金はまだあるでしょう?]


[ああ! このドレイクの皮も売れば相当な金も入るしな!]


アウレイヒとローレイヒもそう言って賛同した。


[あぁ、そういえばあんた、名前はなんて言うんだ。そんなけ強いんだ、ギルドでも名を馳せているんじゃねぇか?]


アウレイヒがそう聞いてきた。

ギルド、、!という気持ちを抑え、返事をする。


[ギルドには行っていないけれど、私の名前は、、、、]


あ、名前。本名言っても日本だからな、異世界に合った名前の方が都合がいいかな。


[アリーシャ。アリーシャです。]


こうしてアリーシャの異世界生活は幕を開けた

---


[、、、、あいつはいつか本当に実行する。俺の力だけではもはや止められまい。時空を超えやってきた異世界人か。ローダイル大陸、、、行く価値はあるだろう。]















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