第四十七話
俺が暴徒だった人たちの急変に戸惑って固まっていると、先に正気に戻ったアリシアが話しかけてきた。
「あの、雄一様。先程はありがとうございました。雄一様が間に入ってくださったお陰でこの場を治めることができました。本当にありがとうございました!」
アリシアはそう言うと、俺に頭を下げてきた。
俺はそれを見て、ようやく正気を取り戻すと、「いやいや、俺は何もしてないって!頭を上げてくれよ!」と、慌てて返事をした
「それにしても…さっきのは何だったのかしらね?あなた、いったい何をしたって言うのよ?」
「いや、だから本当に何もしてないんだって!俺も何がなんだか――(あれは相棒の手柄で合ってるぜっ。)へ?」
ウリルの問いかけに答えていると、突然ギール・アルガーに話しかけられて間の抜けた声を上げた。
(どういうことだ?)
(いやな、あれは相棒がオレを無意識に使って起こしたことだって言ってんだよっ。オレっつう武器を物体じゃなくて、音波として拡散することで精神干渉を受けていた奴らの状態異常を治しちまったんだよっ。まさかオレもあんな使われ方するとは思わなかったぜっ。すげぇなっ!!)
(…マジか。)
(おう、マジだぜっ!だからあれは相棒の手柄だっ!!)
「ねえ、あなた、どうしたの?」
俺がギール・アルガーと話していると、ウリルが心配そうに話しかけてきた。
まあ、ウリルからしたら突然黙ったように見えてたもんな。
「いやさ、さっきのやつなんだけど…俺がやってたみたいだわ。」
ついさっき否定したのに手のひら返しのように言うのがなんか気まずくなっているとウリルだけでなくアリシアも詰め寄ってきた。
「それ本当!?それで何してたの?詳しく教えなさいよ!!」
「雄一様、流石ですわ!!やはり、わたくしの運命のお相手は雄一様なのですね!!」
ウリルは未知の技が気になって問い詰めるように聞いてきたが、アリシアはなんかよくわからないことを言っていた。まあ、アリシアに呼ばれたんだしある意味運命の相手?ではあるんだろうけど。
「っ!?」
そんな2人に迫られて俺が動揺していると、不意に鋭い視線を感じた。
反射的にそちらに目を向けると、すっかり落ち着いた様子の民衆の中にいたゲイツ・ガルムが親の仇でも見るような形相で俺を睨みつけていた。
(あいつどうしたんだ?)
(相棒、忘れたのかっ?あいつはアリシアのことが好きらしいじゃねえかっ。)
(そうだけど、それがどうかしたか?)
(どうも何も、そのアリシアは相棒のこと好きみたいじゃねぇかっ。だから嫉妬してんだろうぜっ。)
(え?アリシアって俺のこと好きなのか?)
(いや、どう見てもそうじゃねぇかっ!相棒はかなりの鈍感野郎なんだなっ。)
(マジか。それは申し訳ないことをしたなぁ。)
ギール・アルガーの呆れたような反応を聞きながら、俺はまた違ったことへの申し訳なさを感じていた。
(どうせ、離れ離れになるのに好きになってもらってもなぁ。断る以外ないじゃねぇか。)
そんなことを思いながら俺は熱視線を向けてくるアリシアを困ったような顔を向けた。
そんな時、ガシャン、ガシャン、ガシャンと音が聞こえた。
目を向けると、1人のアルミダ兵がこちらに向かって歩いてきていた。
なんだろうと思っていると、俺達の近くまで来て話し始めた。
「アリシア様!会見の準備が完了いたしました!」
「わかりました。教えてくれてありがとうございます。」
「いえ、これが私の仕事ですので!それではこちらになります!」
そう言うと、その兵士はアルミダ城の中へと入っていった。
「会見?」
「はい、今回のことをアルミダ星の民たちにもしっかり伝えて謝罪した後に、今後このようなことにならないようにすることなどを伝えるつもりですわ。」
「そうなんだな。ついていってもいいかな?」
「ええ、もちろんですわ!」
アリシアの許可も出たので、俺やウリルも一緒に会見を見に行くことにした。
いろいろあったけど、これでようやく全てが終わるんだなぁと、そんなことを思いながら俺はアリシアの後についていった。




