第四十四話
「す、すごい……」
「こんな事って、あるのね。」
わたくしとウリルは雄一様の後ろで事の成り行きを見守っていました。
雄一様が手にかけた方達だけではありますが、生き返らせることができると聞きましたが、わたくしはあまり信じられませんでした。
雄一様を疑いたくはありませんでしたが、それはありえないことだと思っていたからです。
それなのに、今、目の前では遺体だった物の半数以上が生き返っていました。
先程、雄一様が作り出した杖も、とてつもない迫力を持っていました。
あれはギール・アルガーなのだと思いますが、もう神の杖と言われた方が信じてしまいそうでした。
それに加えて先程の出来事は、現実味がなさ過ぎてうまく言葉が出てきません。
ウリルの方を見てみますが、ウリルも同じように言葉が出ないようで口を開けたまま固まっていました。
それを見て、少しだけ心に余裕が出てきたわたくしは、ウリルに話しかけます。
「ねぇ、ウリル。このようなことってあるのですね。現実味がなさすぎて、未だに信じられませんわ。」
少し硬い口調になってしまいましたが、口にすることで自身の中でも整理していくことができました。
まあ、それでもやはり、ありえないことが起きたという認識が変わることはありませんでしたが。
「ええ…そうね。現実味がないわよね……ははっ…はぁ。なんかもうこれ、神の御業とでも言った方が信じるわよ。なんなんでしょうね。あの人って。」
ウリルはそう言うと、苦笑したままで雄一様の方に目を向けていました。
「神の御業、ですか。確かにそう、ですね。……はぁ、雄一様。」
わたくしは、雄一様のことをもっと愛しく想い、吐息とともに熱い視線を送るのでした。
――――――――――
俺は一通りの状況を見終わると、後ろの2人に声をかけるために振りかえろうとした。
その寸前に「おお、神様!」「ありがたや!ありがたや!」「神様、ありがとうございます!」と、様々な声が聞こえたので見てみると、遺体のそばにいた人や、その死んでいた人達までが跪いていた。
「っ!?いや、俺、神様じゃないしなぁ。」
気持ちはわからなくもないけど、こんなに大勢が自身に向かって跪いているのはちょっと、いや、かなり居心地が悪い。
なので、俺は無理やりそれを無視して後ろの2人に振りかえった。すると、
「あなた、何者なの?」
「雄一様、流石です!」
ウリルは俺の行いに得体の知れなさを感じたのか驚いており、アリシアはなぜか熱い視線を向けたまま俺のことを称賛してくれた。
まあ、ウリルの気持ちはもっともだろうな。だって生き返った数が数だしな。パッと見だけでもここにある遺体の6~7割が生き返っている。
つまりそれだけ俺が殺したってことだしな。
普通に考えておかしい。これじゃあ、ほとんど俺VSウルミダ兵団みたいなもんじゃん。
まあ、これだけの人数を救えたのは良かったって素直に思っておくけどな。
アリシアは…何でそんな目で見てきてんだろ?
ちょっとわかんないな。
(くくくっ。相棒は鈍いなっ。)
(何だ、いきなり?)
(くくっ。いんやぁ、何でもねぇよ。)
ギール・アルガーの言葉に疑問を覚えたが、さっきまでのアリシアの暗い様子を思い出した俺は、アリシアに声をかけた。
「アリシア。」
「は、はい!どうされましたか?」
「さっき言ってたアリシアの用事って何だったんだ?なんか思いつめたような顔してたけど。」
俺がそう言うと、それまで頭から抜け落ちていたのか、ハッとすると、非常に言いにくそうにしながらも口を開いた。
「はい、そうですね。その、要件と言いますのは……」
そう言い、言葉を止めると、アリシアは覚悟を決めたような顔をしてその先を口にした。
「わたくしたちの星、アルミダ星の民たちの一部が暴動を起こしてしまったのです。」
「……へ?」
どうやら、まだ今回の件は解決しきっていないようだ。




