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C-Memories  作者: 涼平風月
第1章  再会
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第1話  1つ傘の下で

 今日が特別というわけではない。

 しかし、いつもより一挙一動が軽いような気がした。

 誰が何と言おうと、訪れるこの日、高校生活の始まりである。

 中学時代の失態を知らない女子たちにモテるため、紳士を演じるのが一般的らしいが、それにのっとるつもりは微塵もない。

 特に、恋愛に興味はないし、リア充を発見しても、爆発しろなどという衝動には駆られない。

 そもそも、中学時代に失態を犯すヤツのほうが少ないような気がする。

 いや、中二病とかいう、深刻な病気を発症したヤツがクラスに何人もいたっけ。



 僕は特に、学校にこだわりはなかったから、家から近く、それなりの進学校である、栄花(えいか)高校に進学することにした。

 というのも、中学卒業後に引っ越してきて、土地勘もない、友達もいないってことで家から近いほうがいいだろうということになったのだ。

 クラス分けの紙が張り出されている正面玄関には、新入生が殺到している。

 特に興味はなく、人混みも苦手なので、後で人がいなくなってから確認すればいいと思い、入学式までには、まだ時間があったので、人が少なそうな中庭でも散歩することにした。

 本来は、まだ春休み中の2、3年生の部活動の様子を見たりするために設けられた時間なのだろうが、関係ない。



 マップを頼りに、なんとか中庭までたどり着いた。

 公立高の割には、校舎が綺麗だった。

 中庭もそれなりに手入れされているのか、草木や枯れ葉の後処理が行き届いている。

 誰もいないと思っていたが、池の前に一人の女の子がいた。

 2年生だろう。

 ネクタイの色が、緑だ。

 その子は、小さな池の水面をじっと見つめている。

 よく見たら、口が少し、動いている。

 なんと呟いているか、イマイチわからない。

 病み系か?

 あんまり、人のことばかり批判するのもなんだが、何か見えないものにボソボソ呟いている子がまともだとは考えられない。

 絡まれると、ろくなことがなさそうだから、さっさと立ち去ることにした。



 特に、行く場所を失った僕は、そのままぼーっと時間を潰し、各クラスで行われた自己紹介を、定型文と化している、印象に薄い、平凡なもので済まし、入学式に臨んだ。

 その後、事件といえばいいのか、それとも僕自身のミスといえばいいのかは皆さんにおまかせするが、世界を震撼させるような事が起きたのだ。



 入学式を終え、あとは適当なオリエンテーションで今日は終わりだろうと、西の空に浮かぶ黒雲を眺めていた。

 夕方までもつとか、天気予報では言っていたから、傘なんて持っていない。

 最近の異常気象で、天気予報ももう信用できない。

 そんなことを考えていると、背後から僕を呼ぶ声が聞こえてきた。

 「都鳥(みやこどり)くん……だっけ? 

 席、間違えてない? そこ、私の席だと思うんだけど」

 

 嘘だ……。

 そんなはずないと思って、机の右上の名札を確認する。

 そこには、三串(みくし)彩葉(いろは)の文字があった。

 最悪だ。

 僕の席は三串さんの1つ後ろだ。

 席順は、出席番号で決められている。

 何という失態だ。

 これから、凄く気まずいではないか。



 僕は、しっかり謝罪をして席を譲った。

 すると、雨が降り出した。

 まるで、お天道さまが僕の心情を理解したようなタイミングだった。



 明日の用意などの注意を受け、すぐに解散となった。

 雨はまだやみそうにない。

 僕が下足場でどうしようか考えていたところ、三串さんが話しかけてきた。


 「都鳥くん。

 さっきはごめんね」


 「そんなそんな、悪いのは僕の方だよ」


 「ううん、優しいね。

 そういえば、どうして空ばかり見てるの?」


 「傘、もってないんだ……。

 雨は夕方からだってきいたから」


 「それは大変だよ!

 都鳥くんの家ってどの辺??」


 「駅前の公園の横のマンション。

 ここからも見えるよ」

 僕はそう言って、何の変哲もない茶色のマンションを指差した。


 「ほんと!!??

 私もその近くに住んでるんだ!!

 傘、入れてあげるよ。

 これも何かの縁だね!! 」


 頭が混乱している。

 そもそも、女の子とまともに話したこともなかった。

 その上、相合傘なんて、刺激が強すぎる。

 なんてことを考え、頬を赤らめているうちに、もう、ひとつ傘の下に入っていた。

 こういうのは、男が先導するもんじゃないのか。

 しかも、至近距離で改めて見た三串さんはすごくかわいい。

 心臓がブレイクしそうだ。

 歩くだけで、意識をハッキリさせることだけで精一杯だ。

 もう、蒸発……

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