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禁忌×戦闘ディストーション  作者: Riviy
第一章 戦闘支部第十五期候補生
7/85

Mission7.意味が分かりました



小乃刃教官は候補生達の資料を読みながら朝食代わりのコーヒーを口にした。整理整頓が行き届いた自室で訓練の時間になるまで小乃刃教官は時間潰しをしていた。


本日は模擬試合2日目。どんな闘いを見せてくれるのか、小乃刃教官はワクワクしていた。


「ん?」


小乃刃教官の資料を捲る手が止まった。そしてその資料に書かれた情報に目を通し、コーヒーが入ったカップを置くと目頭を抑えた。


「あ"ーやっかいな奴らがこんなところに……こういう奴らって平等って云う理想を振り撒きながら分かってないもんなぁーそんで権力に走る…うっわ…」


バサリと資料を机の上に投げ出し、小乃刃教官はコーヒーを飲み干した。とちょうど、コンコンと扉をノックする音がし、その後に「教官、時間ー」と扉越しに声が聞こえた。後輩の声だ。


「おう」


短く一言答えて小乃刃教官は椅子にかけてあった上着を羽織り、机の上に投げ出した資料を机の引き出しにしまった。そしてコツコツと踵を鳴らして自室を後にした。


**


「ねぇーちー兄、くー兄、元気ないよ」


光希は亜矢都と何やら言い争っていた千聖にそう声をかけた。千聖は光希の言葉に怪訝そうに国彦を見る。本当だ、彼は感情が表情に出やすいようで見るからに元気がない。


「どうしたんだ?俺達と別れた時はいつも通りだったのに」

「うーん、分かんない。灯茉さんに聞いてみる?」

「おう、そうしてくれ。その方が早い」

「うん」


光希が国彦と壱華が話している隙に灯茉をこちらに連れて来た。

契約や縁を結んだ人間と神には限界距離というものがあり、主である人間から半径10kmは離れてはいけない。離れたら何かが起こる、らしい。というか10km離れる用事も滅多にないのだが。

一人連れて来られた灯茉は不機嫌そうな顔で千聖と光希を空中から見下ろす。光希が国彦が元気ないと云う事の理由を求めると灯茉はそういえば…と顎に手を当てた。


〈心当たりあるの?灯茉〉

〈うむ。昨日、部屋に戻る際、国彦が何か聞いたのか振り返った集団がおってな。しかし、すぐなんでもないと言われ、妾は気にしなかったが…それかの?〉


国彦の元気のなさと灯茉の心当たりが合致しているかどうかは分からない。とりあえず、と前置きをして千聖が言った。


「何か様子が変わった場合は俺に言ってくれ」

〈お主のような童に言われるのはなんだが癪に触るが…心得た〉


国彦の事なのに傲慢だなぁと千聖は苦笑した。


その頃、国彦は闘技場を見回しつつ、心は不安に満ちていた。

昨日の事は気にしていない。けれど、胸の奥が痛い。

隣に立ってシルクを撫でている壱華に悟られぬように国彦は左胸の服を握り締めた。


「?!」


嘘だ。

その一言が心中を覆い隠す。今日の対戦相手は男女4人グループで人間の姿の臣下が2人ほどいる。

大丈夫、大丈夫。

国彦は自分に言い聞かせ、スッと前を向いた。


〈国彦〉

「ん?ナニ、灯茉」


いつものように自分の頭上の空中に陣取っている灯茉が国彦に言う。いつも以上に表情が読み取れない気がする。契約の証であるお揃いのイヤリングが同時に揺れ動いた気がした。


〈………大丈夫だ〉


力強く言った灯茉の言葉が国彦の不安を取り除く。しかし、横目で対戦相手が不愉快そうに嗤っているのが見えて嫌な予感がした。


**


本日の対戦相手は5番。噂の王太子やら騎士見習い、武家の奴がいるというチームである。

彼らとの一回戦目は千聖と光希だ。相手は王太子と武家の者だ。2人はあとちょっとの所で負けてしまった。が2人は次々と切り替える。対戦相手の横を通り過ぎようとしたその時、


「大太刀を持ったあいつは腰抜けだから使わないんだ」


故意に千聖と光希に武家の者が小声で言い放った。光希が憤怒の表情で振り返り、鞘にしまった剣を抜き放とうとしたのを千聖が止めた。


「ちー兄!」

「落ち着け光希。行くぞ」

「…ちー兄…」


光希は納得いかない様子で千聖の後をついて行く。対戦相手は薄っすらと嗤っていた。


「?!」


国彦と壱華の元へと戻ると国彦がビクッと怯えた。その意味が分かった千聖は人知れず、舌打ちをかました。自分の肩に担がれた大斧、亜矢都が何か喚いている声が聞こえたが無視し、大斧を背後にいる光希に投げ渡した。


「あ"あ"………ムカつく、クッソ、ムカつく!」

「…ち、千聖?!」


突然、言い放たれた言葉に国彦は怯えたように身を縮め、灯茉が彼を庇うように立ち塞がった。壱華がシルクを抱き締め、大斧を渡された光希が大斧の柄を握り締めた。


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