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禁忌×戦闘ディストーション  作者: Riviy
第一章 戦闘支部第十五期候補生
6/85

Mission6.勝率も勝利も上々の出来です


次の2回戦も3回戦も順調に勝ち、初戦は勝利した。模擬試合は全7試合。3日間(1日予備日)の構成だ。


国彦は次の相手である1番と闘う千聖と光希を見て羨ましそうにしていた。

千聖の作戦は国彦を温存し、なるべく千聖、光希、壱華で決着をつけると云うものだった。

国彦の大太刀での一撃は確実に相手を撃沈できる。しかし、その一撃を何度も何度も使えば国彦が相手に倒され、一緒に出ているチームメイトも大打撃を受けかねない。よって国彦は最終手段、4回戦以降までもつれ込んだ場合のみ出ると云う作戦だ。


「………………出たいなぁ」

〈試合にか?無理に決まっておろう?そう云う作戦なのだ、我慢せい〉


国彦のポツリと言った事に灯茉がそう言う。灯茉の声色も国彦と同じく、羨ましさが滲んでいるように国彦には感じた。「そうだね」と苦笑して国彦は模擬試合に目を向けようとした。


ークイクイー


「?」


ズボンの裾を引っ張られた。立っている国彦の隣に座っているのは休憩中の壱華とシルクのみだ。国彦は何か用事かなと思いながら壱華を見下ろした。壱華はシルクを抱きしめながら今だ国彦のズボンの裾を引っ張っていた。


「……壱華さん?どうかした?」

「……………………………」

〈えぇと、我が主は国彦様は模擬試合に出たいのかと聞いております〉


シルクが少し戸惑ったように声を上げたのち代弁した。今だ壱華はズボンの裾を掴んで国彦を見上げている。国彦は小さく頷いた。それに壱華はにっこりと笑った。今度はその意図に国彦が首を傾げたが壱華は手を離し、模擬試合に目を向けてしまった。国彦が疑問に思っているとシルクが国彦の肩に登って来た。


〈先程の表情ですが、我が主はちゃんと出れるので心配しないで、と申しております。貴方は強い、どうか自信をお持ちくださいませ〉


パタンとシルクの尻尾が国彦の頭を撫でた。国彦は驚いたが嬉しそうに微笑んだ。シルクが壱華の元へと戻ると同時に言った。


「ありがとう、壱華さん、シルク」


模擬試合を横目に壱華がにっこりと笑った。灯茉もそれを横目にクスリと笑った。


〈良い子じゃ〉


**


本日の戦績、3勝0敗。

今のところ、3戦3勝である。国彦は一度も出ていない。千聖、光希、壱華が3回戦までできっぱりと終了させたためだ。模擬試合で全員出ると云う規則ルールはないので大丈夫だ。


「お疲れ様、みんな」

「お疲れ様ー!」


国彦がそう言うと光希が返す。光希が国彦に手を挙げ、2人してハイタッチした。千聖が片手をあげてそれに答える。答える気力がないのかもしれない。壱華はお疲れ様と頭を下げた。


「明日は残りの4戦、頑張ろう」

「でもゆっくり休まなきゃね!」

「そうだね」

「俺は今すぐ寝たい……」

〈ちーちゃんたらぁーワタシは元気よー?〉

「亜矢都は試合前まで寝てたからだろ!!」


亜矢都に千聖が言い返すと光希がクスリと笑った。


「本日の模擬試合は此処まで!明日も模擬試合は続く。明日に備え、ゆっくり休め。解散!」


小乃刃教官が大声で告げると候補生達が喜んだり、背伸びをしたりして今日の終了を喜ぶ。


「じゃあ、また明日!お疲れ様!いち兄行こっ!」


光希が国彦と千聖に手を振って試合後だと云うのに元気に明るく挨拶をして壱華の腕を引っ張って行く。光希に引っ張られながらも壱華は2人に手を軽く振り、彼の肩に乗ったシルクが頭を下げた。そんな2人と1匹を見送り、千聖が言った。


「俺も帰るな。また明日」

「うん、また明日ね、おやすみ」

「ん」


千聖が歩き去る。時折、亜矢都と言い争っている大声が聞こえ、その後ろ姿に国彦は笑った。

さて、そろそろ。


「灯茉、僕らも行こう」

〈嗚呼、帰ったらジャスミン茶が飲みたいのぉ〉

「分かった、淹れるね」


灯茉が国彦の隣に降りて来て2人は並んで寮の自室を目指す。廊下はわらわらと他の候補生と臣下で埋まっている。

国彦は灯茉とたわいもない話をしながら寮の自室に向かっている際中、同じ戦闘支部第十五期候補生らしき男女4人(プラス臣下男女2人)の集団とすれ違った時、耳を疑った。


「え……?」

〈国彦?どうした?〉


立ち止まって振り返った国彦を心配そうに灯茉が声をかける。国彦は戸惑ったような、恐れるような表情で過ぎ去って行く彼らを見つめる。

……………聞き違い、だよね


「……なんでもない、行こ!」

〈…全く〉


明るく言い放った国彦に灯茉の疑問も心配も吹っ飛んだ。そして2人は自室へと急いだ。

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