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禁忌×戦闘ディストーション  作者: Riviy
第五章 散ってしまった花言葉
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Mission57.双神



〈なんでオレらが行くのさ〉

〈それ以上文句を言うつもりなら、白鉄のように拳を落とすぞ?〉

〈ご勘弁〉


自分以外の神達の会話に国彦は微笑ましそうに笑った。

螢は白鉄の案を承諾し、双子の兄弟に許可を求めた。すると片割れが勢い良く〈行く!〉と答えたので了承の意とした。もう一人は不機嫌そうだったが。


居残りは螢と弥厳。理由は弥厳が少々、朝陽から医学について学んでいたためである。一応に備えて学んでいたらしく、また両のオッドアイの力も朝陽によれば多少なりとは役に立つらしく、万一を考えて居残りとなった。螢は足が速いため、それに従姉妹である飛鳥とも何かあった場合はすぐに連絡が取れると云う理由からだった。


だが国彦は双子の事を心配していた。勝手に連れて行っても良いのか、と。それに双子の知り合いらしい白鉄は


〈こいつらの契約を結んだ人間あるじさまは特殊な体質でな、いくら離れても異変が起きんのや。それに、こいつらが勝手に任務ほっぽり出して行くのはいつもの事や。安心せい〉


何に安心しろと。

ちなみにその時の白鉄、恐ろしいほどに満面の笑みでした。


螢は任務内容を国彦の頭にインプットさせて知り合いのオペレーター部隊の任務状況担当にこの事を伝えた。するとこう云う事は何度かあるらしく許可が下りた。

螢は臨時の隊長を国彦、臨時の副隊長を灯茉とし、常に連絡する事を伝え、任務に送り出した。灯茉には螢がそうした理由がなんとなく分かっていた。それは弥厳や千聖もそうらしく、一人理解できなかった国彦はむくれていた。


はてさて、任務に出かけた一行。任務先が遠いので少々歩く事になった。


〈拳落として欲しいの?Mなの?Mなの?〉

〈んな訳ないでしょ?!うるさい!〉


また隣で言い争いを始めた双子の兄弟。と言っても片割れが片割れを弄って遊んでいるようにしか見えないが。灯茉はこめかみを抑えて溜息をついた。灯茉は地面に足をついて普通に歩いている。国彦が小さく声を上げる前に灯茉から微かな殺気が漂い出す。それに双子が気付き、途端に口を閉ざした。


〈お主ら……好い加減にせぬのなら…分かっておるな?〉

〈〈分かってますごめんなさい!!〉〉

「灯茉ー」


同時に謝る双子に灯茉はよし、と頷くと国彦がやりすぎと声をかけた。それに灯茉はクスリと笑った。


まさちかもいい加減にしないと僕が怒るよ?」


国彦の言葉に双子は顔を見合わせ、クスリと笑った。一人の青年が閉じられた状態の扇を出現させ、それを開いて口元を隠す。その扇には美しいほどのアサガオが描かれている。青年は口元を隠し、妖艶に笑って国彦に言う。


〈アンタが怒っても変わらないと思うけど?〉


再び、灯茉から漂う殺気を振り払い、挑戦的に言ってのける。彼は双子の兄弟もそう思っていたから言っただけ。興味を注がれるか否か。

国彦がにっこりと笑った。それはもう、普通に、にっこりと。だが、ゾクリ。双子の背筋を何かが走った。悪寒か、それとも噂に聞く“憑依”の鱗片か。


嗚呼、面白い。


双子はニィと口元を歪めた。


国彦はそんな事などいず知らず、頭の中で螢によってインプットされた任務内容を確認しながら、連れて来た双子の兄弟を横目で見やった。(ちなみに行く直前に自己紹介は済ませてある。)


扇を閉じ、それを軽く振りながら灯茉に話しかける青年。彼は片割れのまさ。梔子色の長髪を首根っこ辺りで一纏めにし、牡丹の花の髪飾りを結び目にしている。瞳は薄いピンク色。服は黒めの軍服で右肩から灰色の外套を垂らし、外套を金の紐とピンで留めている。下は黒の長ズボンで少し白が入ったニーハイブーツを履いている。


もう一人の、同じく灯茉に話しかけている青年は片割れのちか。朱鷺色のショートで左側に髪を纏めて結んでいる。牡丹の花の髪飾りを結び目にしている。瞳は明るさを押さえた黄色。服は同じく黒めの軍服で左肩から灰色の外套を垂らし、外套を銀の紐とピンで留めている。下は黒の長ズボンで黒が多めの茶色の革靴を履いている。


服こそ似ているが顔と性格は双子だと云うのに全然似ていない。

国彦はそんな疑問を彼らが神だからと云うことで放置し、任務内容を確認する。今回の任務はある街の近くの荒野にて『忌鬼』討伐である。元々はそこに以前の街があったらしいが『忌鬼』によって崩壊し、今のところに移り住んだ。その荒野にはもう何もないが取り壊し残しが少しあるためそれを利用して『忌鬼』が住み着きつつあるらしい。元街だけあって広さが広さだ。2人では到底無理である。

国彦は任務内容をちゃんとインプットしている事に胸を撫で下ろす。


〈ねぇー聞いてる?〉

〈……煩い!妾に構うなっ!〉


双子に思わぬ形で懐かれた灯茉は困惑気味に国彦に助けを求めるが国彦はそれを微笑ましそうに見るだけである。目的地に辿り着いてようやっと国彦が灯茉を助け出すのはその数分後。


**


その頃、狐幸と白鉄が去り、二日酔いの薬を飲んだ千聖が自らの臣下と同じように寝息を立てながら寝始めた。螢と弥厳が話し込んでいるとそこに竜胆華丸と緋暮がやって来た。


〈〈あれぇ~?“鬼眼”の2人は~?〉〉

「国彦と灯茉なら任務に行ったよ。ところで何してたの?今の今まで」


螢がそう問うと竜胆華丸が疲れた様子で答えた。


〈緋暮の事情聴取ですよ。緋暮が担当の方と予想以上に仲良くなっちゃって時間を食いました〉

〈それは…それは…〉


弥厳が労わるように言いながら隣に座るよう促した。それに竜胆華丸は軽く頭を下げた後、その席に座った。緋暮は空中に漂っている。


〈〈だってぇ~あの人、楽しいんだもん。もうちょっと話し聞きたかったなぁ~〉〉

〈ちゃんとやってよ緋暮ひー。俺にも迷惑がかかるんだからね〉

〈〈はぁーい大将様〉〉


敬語を崩した口調の竜胆華丸。よほど此処が安心出来る空間だと云うことがその声色からも顔色からも見て取れる。それに螢と弥厳が顔を見合わせ、笑い合う。とその時、寝ていたはずの千聖がムクリ、と音も立てずに起き上がった。


〈千聖?〉

「………………」


寝惚けているのか弥厳の問いかけに答えない。軽く頭を振って眠気を振り払い、千聖は頭を掻きながら小さく片手を上げた。

その時、オペレーター部隊から借りた通信機器から国彦の声が響いた。


近の髪色と目が螢みたいになったけど、違いますから!

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