Mission52.堕ちる
本日は2つ投稿!
〈…………〉
〈〈どうしたのぉ〜?大将様?〉〉
突然、黙りこくってしまった竜胆華丸を緋暮は覗き込んだ。竜胆華丸は突然、緋暮の頭を優しく撫でる。それには緋暮が驚いた。撫でられた事など今まで一度もなかった。撫でられた頭を抑え、彼を見上げると彼は笑っていた。
その笑みの意味を緋暮は理解する事は出来なかった。
**
現れたのはやはり、『忌鬼』だった。数は10体ほど。誰が言うまでもなく、全員は『忌鬼』に向かって跳躍していた。
国彦はこちらにやって来た『忌鬼』に向かって大太刀を振った。相手の片足を薙ぎ払った。がそれでも『忌鬼』は国彦に向かって刃物を振り上げる。片足をなくしても強い一撃。両者の刃物が交わる。国彦は相手を弾き返すとブンッと大太刀を振る。後退した『忌鬼』の背後から別の『忌鬼』が滑り込んで来た。誰が相手をしていたかは不明だがこちらに来たのならば、
「倒す」
国彦は足に力を入れ、滑り込んで来た『忌鬼』に向かって大きく跳躍した。頭上から大太刀を振り下ろす、が躱されてしまった。『忌鬼』がすぐさま国彦が行動に移せないのを知ってか、先程後退した『忌鬼』と同時に攻撃して来た。国彦は大太刀を軸にし、『忌鬼』2体に向かって回し蹴りを放った。まさか蹴りが来るとは思っていなかった『忌鬼』は防ぐと言う行動を取る事すら出来ずに吹っ飛ばされた2体は国彦の上空に飛んで来ていた灯茉の一撃によって真っ二つに切断された。地面に足をついて国彦の方へやって来た灯茉とハイタッチを交わし、2人は残党がいないかと辺りを見回した。螢と弥厳が倒し、西珠、管狐、そして千聖が自分の相手をしていた『忌鬼』を倒し、全滅した。
「よぉーし、全滅したなー」
西珠が大剣を持った腕を上へ伸ばし、そう言った。管狐がそれでも「油断はするな」と付け加えた。終わったー!と言わんばかりの西珠、千聖の態度に螢がクスリと笑った。
「狐の言う通り、油断しちゃダメだよ。隊長がそう言うのはフラグなんだからねー」
〈主の言う通りだなー隊長、フラグ〉
「おめぇらはーーーー!!」
西珠が笑う螢と弥厳に襲いかかるように大剣を振り上げた。いつも通りの光景にクスリと全員が笑い出す。
【戦闘支部第十部隊『神樂』に通達!『忌鬼』による第三波がそちらに向かっています!】
『?!』
「「はぁああああ?!」」
耳元のイヤホンから聞こえて来た後方支援支部からの情報に第十部隊は驚愕と恐怖で叫んだ。叫んだのならここですよと場所を明かしているようなものだが叫ぶほど驚いたのだ。
2回も討伐したのに3回目?!冗談だろ?!
「数は?!」
【え、ええと……そんな多くはありませんが大型の『忌鬼』がいますのでご注意ください!】
千聖がイヤホンを抑えてマイクに向かって聞くと後方支援支部はそう答えた。全員が真剣な、それでいて緊張した面持ちで背中合わせに立つ。
「今日の任務は簡単だと思ってたんだけどなぁ!?」
「西珠のせいだな」
「隊長、フラグ回収しちゃったね!」
「嬉しくねぇわ!!この任務終わったらどうにかして酒盛りすっぞ!!」
〈喜べば良いのかな?よっしゃ!〉
西珠がテンションをあげようとそう言うと以前に“西珠の奢りで酒盛りをする”と言うことを言っていた弥厳が戸惑いつつも嬉々の声をあげた。
「お前達さ、危機感無さすぎだぞ!」
「それがこの部隊だしねぇ」
〈そうじゃのぉ〉
千聖がそう叫ぶと国彦と灯茉が苦笑混じりに言う。第十部隊はそういうところだ。耳元ではこのやり取りを聞いていたであろう後方支援支部オペレーター部隊の任務状況担当が【ぶっ!ホント変わんないな…】と呟いていた。
「ほらほら、お前ら、敵を討伐しようぜ?」
その西珠の愉快そうな声に全員がその方向を見ると大型の『忌鬼』とそれに連れ従うように数体の『忌鬼』がいた。大型の『忌鬼』は第十部隊に気づくと数体の『忌鬼』に何やら指示を促している。
「………まじかぁー知能持った『忌鬼』かよ…」
「たまにいるよね」
千聖の面倒くさそうな口調に国彦が言う。そう、たまにだが知能を持つ『忌鬼』がいる。たまになので数は少ない。………………と思いたい。
「んじゃ、ちょっくら殺るか。んー……オレと管狐で大型討伐るから残りの『忌鬼』頼む。終わったら応援に来い。いいな?」
西珠が大剣を担いで指示する。誰も反論することなく、同意としていつものようにやる気を露わにする。
「任せな」
「了解!」
〈承知〉
「やったるか」
「はい!」
〈早よ終わらせよ〉
全員が武器を構え、準備は万全。相手も準備が整ったようだ。第十部隊が足に力を入れ、跳躍しようとした。その時、大型の『忌鬼』が口から瘴気か、何かを吐き出した。黒にも紫にも見える煙が第十部隊を襲う。煙は『忌鬼』達も巻き込み、そして
ーポトリー
跡形もなく、消えた。
【螢ちゃん?!おい!隊長!返事しろ!!】
落ちた誰かのイヤホンからは任務状況担当の声が虚しく、誰もいない空間に響き渡っていた。




