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禁忌×戦闘ディストーション  作者: Riviy
第三章 蠢く気配
33/85

Mission33.可笑しな異変

後半は別名、螢&弥厳編

国彦は遠くにいる『忌鬼』を真っ二つにする様子を想像した。そしてそれを実行するために大太刀を大きく横に振った。


ーズシャー


〈お見事〉


遠くにいる『忌鬼』数体が真っ二つになり、黒い靄と化す。が何体かは残った体で攻撃しようとしている。がその動きはゆっくりで攻撃なんか防げそうである。国彦と灯茉がその『忌鬼』に向かって構えた。その時、この空間を支配する殺気が突然、増幅した。ビリビリと空気を震わせる。全員の背に悪寒が走る。

国彦が灯茉と顔を見合わせた後、視線を周囲に走らせた。


「…は?」

〈……どうなっておる?!〉


驚愕する声が戦闘支部全員から上がる。その理由は、倒した『忌鬼』が復活し、先程よりも殺気を露わにしていたからだ。黒い靄と化したのをこの目で見たはずなのに、何故、復活している?!

全員が全員、そう思った。相手にする『忌鬼』の数は元に戻った。こちらにしてみれば大きな迷惑である。


「何が起きた?」

「なんで復活してるのぉおお?!」

〈気ぃ抜くなよ!〉

「新手の『忌鬼』か?」

「とりあえず、もう一回倒すぞ!」


西珠の掛け声に第十部隊は力強く返事を返し、再び復活した『忌鬼』を討伐しに駆けた。

国彦は何故復活したのか不思議に思いながら腕を復活させた『忌鬼』が率いる群れに大太刀を力いっぱい振り上げる。ドゴンッと土煙と共に地面が抉れる。その抉れる間に数体の『忌鬼』が落ちていた。そこに追撃をかけるように灯茉が空中からピッと右手を振った。間に落ちた『忌鬼』は復活出来ないようにか粉々に切り刻まれた。それを尻目に国彦は別の『忌鬼』達からの刃物を一気に大太刀で受けるとバッと彼らを弾き飛ばし、『忌鬼』達に回し蹴りを放つ。吹き飛んだ先に千聖がおり、飛んできた『忌鬼』達をスパッと大斧で切り裂いた。国彦と千聖の目の前でも、灯茉の目の前でも『忌鬼』達は黒い靄と化して消えて行く


〈〈「「オマエナンカ、死ンデシマエ」」〉〉


………はずだった。

男か女かもわからないほどの酷い濁声だみごえが3人の耳に響いた。その声には様々な感情が宿っているように感じられた。その声が響いた途端、『忌鬼』の体は再生され始めた。黒い靄が『忌鬼』の体を包み込み、傷を治し、元の状態に戻す。また、復活した………彼らは一度ならず二度もあり得ない事を目の当たりにし、言葉を失った。


「な……なんなんだよこいつら…」

「こっ、こんなの見たことないっ!」

〈何度復活すれば気が済むのじゃこやつらは!!〉

〈ど、どどどうするの?!〉


慌てる彼らに管狐が刀で『忌鬼』達を切り刻み、倒しながら駄目惜しみの策を大声で叫んだ。


「それなら奥の手だ!『神譜かみうた』を使え!ただし、代償が軽い者に限った方が良いっ!」

「俺、使えねぇな!」


管狐の案に千聖が悔しそうに顔を歪めた。千聖は数日前まで代償で寝込んでいた。回復した後にもう一度使うのはなんとも言えない。国彦もその策を聞いて複雑な表情を浮かべた。


「(僕のって代償大きいし、多分、特殊なんだよね…)」

「『神譜』?!なら、行くよやっくん!」

〈承知、あるじ


背中合わせになって様子を伺っていた3人の元に螢と弥厳の声が響く。そちらを見ると螢が槍を地面に突き刺していた。チャンスと言わんばかりに復活した『忌鬼』が螢目掛けて跳躍し、頭上から襲いかかった。


「螢!!」


国彦が緊迫した声を上げ、イヤリングと金髪が大きく揺れた。灯茉と千聖もそちらを見、驚愕したように顔を歪めた。此処からどうやって急いでも間に合わない。『忌鬼』達の刃が螢を貫こうとする。


〈だから貴方達は、負けるんだ〉


ーズサー


弥厳が螢の槍で『忌鬼』達を吹っ飛ばした。開けた空間。その一瞬の隙に2人はお揃いの黒い手袋をはめた手でハイタッチした。パァン…軽くそんな音が鳴り、弥厳の姿が金と銀の光と化す。その二種類の光が螢がキャッチした槍にまとう。螢の髪の結び目の紫の蝶が動いたような錯覚に陥った。槍に同じ蝶が何処からともなく現れ、刃物と持ち手の間に止まったのだ。螢は二種類の光がまとった、蝶が止まった槍を振る。ブワッッ!!槍を振った風圧で吹き飛ばされていた『忌鬼』達が真っ二つに裂かれる。ニィと悪戯っ子のように嗤って螢が言う。


「ボクらの真の力、見せてあげる」


そして螢はその槍片手に跳躍した。


**


螢の『神譜』の姿に見惚れていた国彦はハッと我に返った。復活していた『忌鬼』達が螢の攻撃によって次々と倒されて行く。


「灯茉!千聖!」

「嗚呼!分かってるっ!」

〈任されよう〉


国彦が背中合わせの2人に声を掛けると3人は身構え、真剣な表情でジリジリと近付いて来ている『忌鬼』の群れに向かって駆けた。


次々と倒されて行く復活済みの『忌鬼』達。三度目の正直のようで粉々に切り刻んでも復活はしない。国彦がそれに安心し、柄を握り締め、一息ついた。その時


〈国彦!!〉


灯茉の自分を呼ぶ声に我に返った。目の前を見上げれば、一体の『忌鬼』。灯茉の相手をしていたのか右腕が無い。国彦は慌てて地面にぶつけていた大太刀を振り上げた。『忌鬼』も残った左腕に携えた刃物を振り上げる。


〈〈「「死ネ」」〉〉

「え…?」


交差した刃物。押し合う国彦と『忌鬼』の背後に灯茉と千聖が迫り、『忌鬼』に斬りつけた。国彦はそちらではなく、別の事に驚いていた。

灯茉と千聖の一撃が致命傷となったのか、『忌鬼』は消滅。これが最後だったらしく、『忌鬼』は全滅した。復活までした『忌鬼』の群れを倒した事に第五部隊も第十部隊も“砦”に避難していた人々も誰もが喜びを分かち合う。


「祝い酒だなこれは!!」

「だから飲むな!」

「やったね!やっくん!」

〈嗚呼!やったな螢!〉


西珠、管狐、『神譜』を解いた螢と弥厳が喜び合う。千聖が国彦の首に自身の腕を巻きつけて喜びを爆発させ、国彦はそれに困ったような、それでいて倒せた事に嬉しそうに笑う。灯茉はそんな国彦の頭を優しく撫でる。


「やったな国彦!」

「そうだね千聖!」

〈お疲れ様!!〉

〈ようやったのぉ〉


国彦は喜びに浸りながら先程の自分が聞いた事実に内心、驚いていた。あの“声”は、自分の近くから聞こえて来ていた、と言う事に。



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