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禁忌×戦闘ディストーション  作者: Riviy
第三章 蠢く気配
24/85

Mission24.何も知らない、誰かさんは

お久しぶりです…



「いやまさか千聖おめぇの臣下が血で人の姿になるとはなぁ!」


西珠がガハハハ!と大声で笑いながら前を歩く千聖に言う。千聖は五月蝿いと一瞥し、隣を歩く国彦と話し始めた。その国彦の背中には彼の倍近くある大太刀が背負われている。


今、彼らは任務先である神社付近にいた。この神社は森に囲まれているため、参拝者はかなり前からぱったりと途絶えている。そのため数年前に神社に住まう神様と縁を結んだ神主が引っ越した。が神社はそのままにしているため『忌鬼』が住み着いていると云う情報が入り、今回、討伐任務が下ったのだ。その3kmほど南には『真珠石』が豊富に採れるポイントがある。


ちなみに契約と縁の違いを云うと契約はその名の通り、人間と神様が主と臣下の関係になる事。縁は人間と神様が恋人や家族、兄弟になる事を差す。たまにその両方を結ぶ者達もおり、人間と神様の間に生まれた子供も多少なりとも存在する。


「大丈夫かなーやっくん達」

「大丈夫だろ」


西珠の隣を歩く螢が心配そうに言うと管狐が即答した。螢にはなぜ管狐がこうも自信を持って大丈夫と言い切るのかが疑問だ。


「螢ちゃん、心配するこたねぇよ。管狐が祈祷してたし」

「ちょっ?!西珠!」

「……神様に祈祷って効果あるの?」


西珠の発言に慌てる管狐とは裏腹にそう言った螢。管狐が自信満々に笑って言う。


「俺の臣下直伝の祈祷だ。効果はある」

「なら大丈夫だね!狐のそういうのめっちゃ効果あるもんね!!」


嬉しそうに笑う螢。さっきまでの不安は何処かに吹き飛んでしまったようだ。と、前を歩いていた国彦が顔のみで後ろを振り返った。


「そういえば隊長さんと狐さんの臣下って人の姿にならないの?」

「オレの臣下も管狐の臣下も訳ありでなぁ。っていうか国彦」


西珠が管狐の答えと同時に答えると質問返しした。


「お前、オレの呼び方統一しろ。こっちがなんか気まずい」

「えっ」


国彦が驚く。西珠を「隊長さん」「西珠さん」と統一しない呼び方だった事に自覚がなかったらしい。

どうしたらいい?と国彦は隣の千聖に助けを求めるが彼は自分で考えろと他人事だ。


「隊長ー国彦の事、困らせないでよ。でもまぁ、統一した方がいいとボクも思うなーあ、でも無理はダメね?」


螢が笑って国彦に言うと彼はこくりと頷いて遠慮がちに答えを出した。


「えっと…すいません、西珠さん」

「敬語ぉ」

「うっ」


今度は違う点を指摘され、前を歩きながら国彦は呻いた。千聖が西珠を振り返りながら呆れ顔で言う。


「おい、西珠。あんまり国彦いじめるなよ」

「そんなオレいじめてないけどなぁーなぁ管狐」

「………千聖に同意」

「裏切り者!!」


管狐に同意を求めた西珠だったがきっぱり切られて管狐に掴みかかった。それを軽々とよけ、管狐はやめろと頭をはたいた。それにクスクスと螢が笑う。


「気にしないで。キミが思う通りでいいよ」

「うん」


螢が言うと国彦が笑って頷く。クスクスと何故か千聖が笑い出し、次に西珠が笑い出す。結局、理由もなく全員がしばらく笑い続けた。


**


ひとしきり笑い合った後、彼らは管狐の「さっさと行こう」と言う言葉で神社目指して歩き始めた。しばらく歩くと森に囲まれ始めた。そろそろかな、と思っていると目の前に古びた神社が見えて来た。所々、色は剥がれ落ちており、以前までの立派さは微塵もない。


西珠が大剣を肩に担ぎ、「よぉーし」と声をかける。


「さっさと『忌鬼』探して討伐すっぞー」

「隊長、それフラグ」

「西珠のフラグで『忌鬼』が出るに一票」

「お前らなぁ」


西珠の言葉に螢と千聖がからかうように言う。西珠は嫌そうではなく愉快そうに笑っている。そして千聖の首に自身の腕を巻きつけて拳で「このやろっ」と軽く頭をつつく。千聖は笑いながらやめろと体を捩る。それを羨ましそうに国彦が眺めていたのに気づいた管狐が灯茉がいつも彼にしているように何気無く、頭を撫でた。国彦は驚いたようで管狐を見上げたが次の瞬間にはフニャッと嬉しそうに笑った。当たっていたらしい。管狐も嬉しくなり笑った。

そんな穏やかな雰囲気が漂う中、どこからかその雰囲気をぶち壊す不気味な声が響いた。


〈………コロ……セ……カミヲ……ヒ、トヲ……〉

『『?!』』


その声に全員が身構えた。声がした方向を全員が視線のみを動かして探す。背中を目に見えない敵に向けたら始まる前から終わる。全員が背中合わせで武器を構え、警戒する。


ーギィ……ー


と軋んだ音が静かな空間に響き渡る。


「!あそこ!」


螢が指差した先には古びた神社。その神社の扉が開き、何かがその中から這い出て来る音が聞こえてくる。全員が警戒を強める。この辺りに住み着いた『忌鬼』である事は間違いようがない。はてさて、『忌鬼おあいて』はどんな奴?


〈………コロセ、ゼンブ……スベテ……ワル、イ…ノハ…〉


神社の中の暗闇から姿を表したのは全身真っ赤に染まった人の姿をした『忌鬼』だった。元は何色をしていたのかも分からないほどに真っ赤に染まり、瞳も真っ赤。その赤い2つの瞳は第十部隊を映し出している。


「ちゃんとした人型の『忌鬼』、か」

「…なんか雰囲気が怪しいよ?」


西珠と国彦が小さな声で呟く。それに千聖が頷く。だが管狐はかすかに首を傾げ、誰に言うでもなく言った。


「あの『忌鬼』は、何を言っているんだ?」

「そういえばそうだよね…?」


螢がそれに同意し、首を傾げる。と、神社の中にいる『忌鬼』はスッと彼らを見ると帯刀していた脇差を抜き放つ。そして、止まっていた言葉を吐き出した。


〈…………アイツラダ〉


大きく跳躍し、『忌鬼』は目の前にいた千聖に脇差を切りつけた。ガキンッと音がして千聖が大斧で攻撃をふせぐ横から螢が槍を突き刺す。『忌鬼』がそれを後方に飛んで避ける。ユラッと立ち上がると両腕を広げる。すると何処に隠れてた?!というくらいの大小様々な化物、『忌鬼』が現れた。


「おいおいぃ!隠れてるとか聞いてないぜ?!」

「やっぱ隊長のフラグが当たったんだー!!」

「オレのせいか!?」


叫ぶ千聖と螢に理不尽だ!と西珠が叫び返す。管狐が呆れたようにため息をつく。管狐が刀を抜き放つ。国彦もそれに習い、大太刀を抜き放った。『忌鬼』達が人型の『忌鬼』を中心に集まり出す。


〈…『禁忌』、ノ……スガタヲ…シル、べ…キ…………〉

「なんか言ってるが倒すぞ!螢と管狐は右側、国彦と千聖は左側の『忌鬼』を倒せ!オレは目の前の人型コイツを相手する」

「了解!」

「応」

「あいよ」

「はい!」


第十部隊、戦闘開始


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