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禁忌×戦闘ディストーション  作者: Riviy
第三章 蠢く気配
23/85

Mission23.可笑しくて?面白しそうな?



あるところの奥深くに存在する、世界から存在を忘れ去られた小さな建物。その前に立つ男4人組。そのうち2人は神なのか空中を漂っている。


「なぁ」

「ん?」

「どう思う?」

「報告」

「だよなぁ」


そして男の1人がイヤホンからマイクを出すと後方支援支部オペレーター部隊に繋いだ。


目の前の小さな建物。それはおやしろ。そのお社の扉はーーー


「おーあのなー」


**


あの光希達と楽しくお茶会した日から数週間。たまに合う時間帯を見つけては国彦達はお茶会をしていた。たまに千聖の提案で稽古をした。ちゃんと任務をこなしながら。


国彦は第十部隊の一員になった気が数週間たった今、ようやく身に染みて感じていた。


「隊長、お酒飲まないで」

「螢ちゃんよぉ、オレから酒を取ったら何が残ると思ってんだ?」

〈隊長が残る〉

「やっくんに同意」

「………おっさん、お前らみたいな部下持てて、嬉しい」

〈「?」〉


いつものラウンジで螢と弥厳が言った事に感動して天井を仰ぐ西珠。その正面には首を傾げる2人。西珠の手からそっと、気づかれぬように酒を抜き取る管狐。まぁ気づかれているのだろうが西珠は感動しているらしく気にしていない。そんな彼らの向かい側のソファには国彦と灯茉、千聖が座っている。千聖が座る傍らには大斧(亜矢都)、西珠の座る傍らには大剣が立てかけられている。


「……てか!隊長!任務!任務!」

〈そうだった!任務!〉

「おい、任務あんのに飲むなよ…」


螢と弥厳が慌てたように言うと千聖が呆れた様子で西珠を見た。国彦と灯茉はいつものことだねぇと笑っている。西珠の酔いを覚ますように管狐がバシッと彼の頭をはたいた。西珠ははたかれた頭をさすりながら自分の隣のソファに置いていたファイルを手に取った。


「へーへーオレよりも頼りになる部下と云う名の仲間がいる事に感謝しつつ……えーと何々?……ん?」


任務が書かれたファイルを見ていた西珠が怪訝そうに首を傾げた。それに他の全員も首を傾げる。


「どうした?」

「え、いや、管狐、これ見ろよ」


今だ驚いた様子で西珠が管狐にファイルを見せる。ファイルの任務内容を読んだ管狐も西珠と同じような表情をした。


「は?」

「どうしたの?隊長さんも狐さんも」


国彦が聞く。国彦と千聖が疑問に思い、腰を上げたがそれを管狐は手で静止する。その間に西珠が螢と弥厳にファイルを見せると螢は心配そうな表情で弥厳を見つめ、弥厳は納得したように声をあげた。分かっていないのは国彦と灯茉、千聖と亜矢都だけである。


「えぇー…こんな任務、初めて知ったんだけど」

「俺もだ。何か意図があるんだろう」

〈なんか、楽しそう…〉

「なーんかめんどくさい事になりそうな気がすんのはオレだけかぁ?」

「おーい、なんだよ?」


何やら言い合う彼らに再びソファに腰をおろしながら千聖が問う。問いながら国彦と灯茉に座れと促した。すると西珠が言いずらそうにしながら言う。


「お前ら、臣下と分かれて任務しろって言われたらどうする?」

「「………………………は?」」


**


「え、えぇとつまり?臣下と主の間にある限界距離内で行動しつつ、臣下と主に分かれて任務を遂行するの?」

「殆どそんな感じだな!」

「マジかよ」


国彦が復唱した内容に西珠が肯定した。西珠が持ってきたファイルには“限界距離内で主と臣下に分かれ、『忌鬼』討伐と『真珠石しんじゅせき』を手に入れよ”と書いてあった。管狐の説明によると『真珠石』は神様にしか見つけることが出来ない特別なもので武器の姿をした神様の治療に使われる、大事なものだと云う。西珠が一応、オペレーター部隊に問い合わせたところ、【第五部隊は遠征行っちゃってるし、その他で強くて10km圏内でやってくれそうなの第十部隊しかなかったんだよねー】らしい。しかもオペレーター部隊と本部の意見が満場一致。キャンセル無効だそうだ。

ちなみにこのような任務を出すのは今回が最初で最後らしい。『真珠石』などを提供してくれる後方支援支部のある部隊が急用で回収に行けなくなったので急遽、戦闘支部に任務で回ってきたと云う。


「灯茉と弥厳しかいないが?ここの人の姿を持つ臣下は」

「いや」


管狐の意見に千聖が声を上げた。それに国彦と灯茉がクスリと笑った。そうだ、彼らは知らない。亜矢都は千聖の血で人の姿になる神様と云う事を。


「亜矢都がいる」

「亜矢都って大斧じゃないの?」

〈違うのよ〜けいちゃん♪〉


亜矢都がふふっと笑う。千聖が大斧を持って立ち上がり、片手の親指を軽く噛み、血を出す。それになにしてんだ?!と西珠や螢、弥厳、管狐が驚愕する。そんな彼らを国彦と灯茉がまぁまぁとなだめる。それを横目に千聖は親指から流れ出る血を大斧に擦り付けるように一線した。すると大斧が光り、千聖が大斧を手放すと光が人の形を形作った。トンッと足がつく音がしたと同時に光が晴れるとそこには男性がいた。


〈んー!この姿はひっさしぶりねー!〉

〈ほぉ、これがお主の人の姿か。期限は?〉

〈「まるまる24時間」〉


背伸びをした男性と千聖が灯茉の問いに2人揃って答える。そこで頭の理解が追いついたらしい弥厳がまだ困惑の表情のまま言った。


〈もしかして、亜矢都って契約か縁を結んだ人間の血で人の姿になる神様やつ?〉

〈そうよー弥厳。ワタシとちーちゃんは『血のちかい』って呼んでるわ〉


男性が弥厳と目線を合わせて笑って言うと彼の頭を優しく撫でた。弥厳が子供扱いされて不貞腐れたように眉を潜めた。


男性、人の姿の亜矢都は赤色のポニーテールで結び目に龍と星型が散りばめられたかんざしをしている。瞳は赤紫色。服は黒の童水干(糸は紫色)の上のみを着用し、少し腹が出る。ベルトは茶色の編み込むタイプで紺色の長ズボンに黒茶のニーハイブーツ(ヒールが少し高い)。ブーツはズボンの下だ。

袖口から見える両腕には千聖と同じ龍の刺青がされており、爪に赤いネイルをしている。


人の姿の亜矢都は今だ驚愕している螢に近づくと何を思ったか彼女の顎をクイッとネイルがされた人差し指で持ち上げた。螢はまた驚いたように半歩後退りした。


〈けいちゃんってワタシの好みなのよねぇ〜〉

〈亜矢都!螢は渡さんからな!?〉

〈ふふふ〜♪大丈夫よ〜〉


ちょっと頬を赤くした螢を後ろから弥厳が抱きしめながら亜矢都を警戒するように睨んだ。螢がボッと音が出して顔を真っ赤にし、亜矢都はクスクス笑った。それに千聖が呆れ顔でため息をつき、国彦と灯茉が苦笑する。


「………一応、これで3人だな」

「………応。あ、でも千聖の武器はどうするんだ?」


放心状態から我に返った西珠と管狐。管狐が思った疑問を千聖に問う。


「あ、そうだった。どうするの千聖?」

「あ"ぁ"?嗚呼、俺はなぁ、亜矢都」

〈は〜いちーちゃん!〉


千聖が亜矢都に言うと亜矢都は笑ってパチンッと指を鳴らした。すると千聖の手元に大斧が現れた。その柄をしっかりと握り「さすがだな」と千聖が亜矢都に笑いかけると亜矢都は嬉しそうに笑った。


「………とりあえず、任務行くか。臣下組は弥厳、お前に任せる」

〈…嗚呼〉


ファイルを分けてその片割れを今だ螢を守るように抱きつく弥厳に渡す西珠。

とりあえず、任務行くか、うん。

亜矢都にウチが好きな要素詰め込んだらこうなった。後悔はしていない

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