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夜会に乗り込んで来た三人の女傑

「キャサリン・ケネディ!!」


とある夜会にて。


突如として響き渡った王太子の怒声に、会場中の視線が一斉に集まった。


名前を呼ばれた公爵令嬢キャサリンは顔を上げる。


(現実であるの?え?やるの?マジで?聞いてないけど?)


そう言いたげな顔だった。


「貴様は公爵令嬢であり、私の婚約者でありながら、リリィ・ラブリー・ローズ男爵令嬢に対して数々の嫌がらせを行った!」


王太子に抱き寄せられてたリリィ・ラブリー嬢は目をウルウルさせて、キャサリンを睨み付けている。


他の招待客たちも「お?このパターンは、もしや……?」「あー、はいはい。イベント、イベント。」と言いたげな顔して酒を飲んでいた。


キャサリンに至っては、「はいはい、早よ。」である。


「証拠も証人も揃っている!もはや言い逃れは出来ん!」


その言葉に、王太子の取り巻きたちも声を上げる。


「そうだ!」


「リリィ・ラブリー・ローズ嬢を虐めていたくせに!」


「恥を知れ!」


(名前が一々長いのよ。あれかしら?ご両親がハイになって付けられたのかしら?)


キャサリンは、王太子の浮気相手の名前を真剣に考察していた。


そして、招待客たちは静かに見守っていた。


「テンプレ過ぎない?」


「またこのパターンか。」


「冤罪吹っかけて婚約破棄が王道だからじゃない?」


「てか、名前が一々うるさいな。」


「お母上がマタニティーハイになったのでは?知らんけど。」


言いたい放題である。


「もはや!言い逃れは出来んぞ!!」


そんな周囲の言葉なんて耳に入っていない王太子一派は壇上で演劇を続けてる。


キャサリンは小さく息を吐いて、口を開いたその時……


「お待ちなさい!!」


声だけで場を制圧してしまう、圧が強い女性の声が響く。


一斉に振り返ると、そこには異国の衣装を纏った三人の女性が立っていた。


一人は、圧が物凄いなんか強そうなおばさん。


一人は、モデル級美女。何考えてるか分からない顔でニコニコ笑っている。


一人は、宝塚系美人。ゆらりと優雅に扇子を揺らして、壇上の劇団王太子を睨み付けていた。


「「……誰ぇぇ!?」」


全員の疑問は当然だ。


圧の強いおばさんが一歩前に出る。


「お節介焼きのおばさんよ!それから、綺麗なお姉さんたちよ!」


「答えになってるようで、なってない……。」


「いや〜、なんだか揉めているようなので〜。」


何考えてるか分からない顔して笑ってるお姉さんも、一歩前に出た。

そして、宝塚系美人も一歩前に出る。


「自己紹介しておこうか。

こちらは寧々様。そして妹の茶々。私は姉の京極竜子です。」


ふわり、と一礼したので、貴族たちも反射的に一礼した。


「竜子姉様は、従姉妹です。」


「同じや。」


「違います。」


「細かいことはええねん。」


「良くありません。」


「ちょっと、アンタら揉め事せんといて。」


「「はぁ〜い。」」


寧々は肩を竦め、茶々に目線をやる。


「お茶々、あの子なんて言うてた?」


「婚約破棄だ!とか、愛人の女をいじめたとかなんとか、戯言を申されました。」


「ほう……。王太子殿下よ、事前手続き全部済ませておいでか?

公爵家への事前通告は?

国王陛下と王妃陛下へのお伺いは?

婚約破棄に伴う持参金の整理、慰謝料支払い、根回し……全部済んでるんでしょうねぇ?

あとでやる!とは言わんよねぇ?」


王太子、チビりそうになっている。


「まさかとは思うけど、王太子だから全て意のままにと思うとらん?

婚約は両家との約束よ?

アンタ、王族なのにその約束を反故にするんか?」


「う、うるさい!この無礼者たちを捕らえよ!」


騎士団が現れ、三人を取り囲むが……。


「ウチのおっか様たちに何しよるんやぁ!!」


福島正則と加藤清正が騎士団を飛び蹴り、加藤嘉明と黒田長政が投げ飛ばし、石田三成と大谷吉継がどつき回していた。


王国最強と謳われた騎士団は、日本で散々首を取り合ってきた連中によって、ものの10秒で鎮圧されてしまった。


「さてと……。反省の色がないようやし。」


茶々と竜子がスッと腕を捲った。


「アンタら、正座しぃ。」


寧々は静かに告げた。


「……え?」


「正座。」


「あ、あの。」


「正座。」


「いや、待っ――」


「聞こえとるやろがぁぁぁーー!!おみゃあたち全員、正座しやぁぁぁーーーっっ!!」


寧々の怒号が響き渡る。

茶々と竜子はスッと劇団王太子たちの後ろへ回り、腕を捻り上げてあっという間に全員を正座させた。



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