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(今日もxxは休みだ)
朝のホームルーム。先生が心の声でxxの欠席を告げた。
(えー今日も休み? これで2日連続だぞ)
(病気かなぁ?)
クラスメート達は、ザワザワと心の会話を始める。
本当にどうしちゃったんだろう? もしかしたら、本当はひどい病気なのかな? でも、それなら家に居ないで病院に行くだろうし、よくわかんない。
(飛鳥。お前はxxと仲が良かったよな。今日の放課後に様子を見てきてほしいんだが、どうかな?)
(はい。行きます)
ぼくは心の中で答えた。
(助かるよ。あいつは変人だから、困ってるんだ。心も閉ざしっぱなしで、何を考えているかわからないしな)
先生のその考えは、少しひどいなって思った。
けど、この世界じゃあそういうショックに慣れないと生きていけない。
この世界じゃ、心を閉ざすのは変人なんだ。普通じゃないから、仲間はずれにされてもしかたない。
(……はい、わかりました)
だから、その考えは心の奥底にしまっておいた。
放課後になってから、ぼくはxxの家に向かった。
まあ、頼まれなくても行くつもりだったけどね。
彼の家のチャイムを鳴らして玄関の扉を叩くと、(また飛鳥か)というxxの心の声が聴こえてきた。
それと同時に、階段を降りる音が扉の向こうから聴こえてくる。
(まだ体調が良くないの?)
「ああ、うん。ダメだよ。でも心配するほどひどくはないから、安心してくれ」(いや、ほんとうはすごく悪いかも……)
(もう2日も休んでるし、理由くらいは教えてよ)
ぼくが質問すると、扉の向こうで足音が止まった。
xxはこの扉の向こう側にいるんだろう。だけど、彼は黙り込んで、なかなか喋りだそうとしなかった。
「実はさ」
突然、xxは喋り始めた。
「長い時間心を閉ざしていたら、頭がおかしくなったんだ。心の声がどんどん大きくなってきて、それを閉じ込めておけなくなったんだ。心を閉ざしておけなくなって、心の声がダダ漏れになってるんだ」(俺は頭がおかしくなったんだ)
(病院には行った?)
「外に出られないよ。心が読まれるから」(知られたら終わりだ)
彼はすごく怯えていた。
もしかしたら、本当に病気なのかもしれない。
それにしても、いったい彼は何をそんなに怯えているんだろう? この世界じゃあ、他人に心を見られることくらい当然のことなのに。
(部屋に入っても良い?)
「だめだ、絶対だめ」(飛鳥には知られたくない。他の誰よりも、飛鳥には)
(でも、心配だよ)
「心配要らない。来週になったらきっと、普通に戻ってるからさ」(本当は大丈夫じゃないと思う。けど、誰にも会いたくないんだ)
ぼくはすごく悩んだ。xxをこのまま放っておいて良いのかな?
(やっぱり、入るね)
ぼくは覚悟を決めて、玄関のノブを回した。ぼくに何ができるか分からないけど、これ以上放っておくのは、いいことじゃない気がしたから。
「来るな!」(開けたら殺す)
けれど、あとは扉を押すだけというところで、xxが怒鳴り声をあげた。
ぼくは驚いて扉から手を離した。
(……なんでそんなに怒ってるの?)
「出ていってくれ」(怒鳴って悪かった)
そしてぼくはまた、彼の家から追い出された。
厳密に言えば、家というよりも、xxの心から追い出されたんだ。あんなに必死になって隠し事をするなんて、それに、学校を何日も休み続けるなんて、普通じゃない。たぶん、誰にも言えないような秘密を抱えているんだ。




