その12 ガーベラ編
長編恋愛ファンタジー DESTINYに出てくる、歌姫になりたい娼婦による口説き文句です。
■キーワード1 『雪』
私の肌を雪に喩える男は多々いたのだけれど、嬉しいものなのかしら?
踏まれて汚れて溶けて流れていくだけの雪よ? どう思う?
■キーワード2 『月』
私のことを月に喩える男は多々いたのだけれど、嬉しいものなのかしら?
満ちて欠けて雲に隠れて、太陽の光の光には叶わない月よ? どう思う?
■キーワード3 『花』
私のことを花に喩える男は多々いたのだけれど、嬉しいものなのかしら?
花の咲く期間は短いわ、それにずっと一目に触れられるとは限らない。萎びて見るも無残なただの残骸になる運命の花よ? どう思う?
■キーワード4 『鳥』
私のことを鳥に喩える男は多々いたのだけれど、嬉しいものなのかしら?
狭い鳥篭に閉じ込めておいても、気まぐれでしか声を姿を愛でることなく。それって幸せなのかしら、どう思う?
■キーワード5 『風』
私のことを風に喩える男は多々いたのだけれど、嬉しいものなのかしら? 「君は風のように気まぐれで、気がつけば何処か遠くへ行ってしまう」
当然よ、風だもの。捕まえておこうなんて無理な話でしょう、どう思う?
■キーワード6 『無』
可哀想ですね? ……一体私の何が解るというの? 私には何もないだなんて思わないわ、娼婦は娼婦なりに友人も多いし、何より私には唄があるもの。
手を差し伸べないで。
■キーワード7 『光』
私のことを光に喩える男は多々いたのだけれど、嬉しいものなのかしら?
確かにこの金髪は気に入っているけれど、娼婦は基本夜に行動するの。光よりは闇でしょう、どう思う?
■キーワード8 『水』
そうね、貴方は水よね。冷たい水は皮膚を傷めつけ、心さえも凍らせるの。氷になれば更に凶器、深く突き刺し息の根を止める。水のままでも溺れさせて、死に至らせる。
そうでしょう? 貴方はそういう男よね。
■キーワード9 『火』
そうね、貴方は火よね。燃え盛る火は皮膚を焦がし、全てを焼き尽くしてカスすら残らず。小さな火も、周囲を巻き込んで何れは業火へ変貌するの。気付いた時には、逃げられないわ。
そうでしょう? 貴方はそういう男よね。
■キーワード10 『時』
雪、月、花、鳥、風、光、水、火……どのみち、時が経てば人は死んで何も無くなる、何も解らなくなる。一時でも快楽や幸せを願うことは悪いことではないでしょう?
……でもそうよね、”貴方達は”私ではなくてあの子を選ぶの、見続けるの。
それこそ雪のように白い肌と純粋な心、月のように神秘的で仄かに光を放ち、花のように明るい笑顔で、鳥のように軽やかに舞い、歌い、風に緑の髪を靡かせて駆け回り、光の中に溶け込んで全てを抱きしめる。火と水は彼女に愛を注ぐの、そして彼女は全てを護る大樹になる。
……羨ましいわ。
口説いているのかしら、これ(’’)←
相手はトビィととトランシスです。




