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『猫のお話②「人間になってみた!」』

ミケのおばあちゃんが入院しちゃいました。ミケはとっても寂しそうです。今度は、どんな活躍があるのかな?

おばあちゃんが、入院してしまいました。飼われていた猫のミケは一人ぼっちになるところを、のり子が抱えて家に連れてきました。

お母さんとお父さんに事情を話すと、おばあちゃんが家に帰るまでの間、太郎と一緒に飼えることになりました。

「太郎のご飯を半分にしたら、猫の食費も変わらないわ」

「太郎のダイエットにもいいかも」

「ミケは、太郎の半分もたべないよ」

お母さんと、お父さん、のり子が楽しそうに話します。

「にゃがーん」太郎が、目を大きく見開いてこっちを見ています。


うちにやってきたミケ、連れてきたその日は、ご飯も食べて太郎とも遊んでいました。

でも、一晩経つと、窓の方ばかり見て寂しそうにしています。

「にゃーん」寂しそうな声が部屋に響きます。


「きっと おばあちゃんに会いたいんだよね、太郎なんとかできないかな」のり子は太郎に話しかけました。

「にゃーん」太郎は鳴くだけです。


お父さんとお母さんにも聞いてみました。

「おばあちゃんのところのミケ、とっても寂しそうにしてる。おばあちゃんに会わせることできないの」

お父さんとお母さんは顔を見合わせて、2人で困った顔をしました。

「病院には動物は連れて行けないからね」

「ミケがかわいそうだよ」のり子はそう言いました。


次の学校がお休みの日に、のり子は おばあちゃんが入院した病院に1人で行ってみることにしました。せめてミケは家で預かってるから大丈夫だよって知らせてあげようと思いました。そして おばあちゃんの様子を見てミケに話してあげようと思いました。猫の言葉はわかんないけどね。


病院の受付で説明して、病室を教えてもらいました。病室を覗いてみると、おばあちゃんがベッドに腰かけて ぼんやりしていました。とっても寂しそうに見えます。

「こんにちは、小谷のり子って言います」

のり子は おばあちゃんに挨拶をしました。

おばあちゃんはどなただったかしらと、首をかしげて

「ごめんなさい 忘れちゃってるのかな、どなただったかしら」と言いました。

のり子とは 人間の体で合うのは初めてです。猫になった時は、猫の太郎と一緒に会ってるんですけどね。

「近所に住んでいる小谷です。おばあちゃんの家のミケを預かっています」

「小谷さんのところの娘さんなのね、ミケを預かってくれてるのね。本当に良かったわ。気になって気になって仕方なかったの」おばあちゃんの目から涙がこぼれました。

「もう一度 ミケに会いたい、早く家に帰りたいわ」

おばあちゃんは、とってもとっても寂しそうです。

のり子は、胸が痛く感じました。

「ミケね、家で元気にしてるよ。おばあちゃんの気持ちをちゃんと伝えるね」

のり子も 目から涙がこぼれそうです。

しばらく お話ししてから のり子は病室を後にしました。

「またミケの話を聞かせてね」おばあちゃんは最後にそう言いました。


のり子は家に帰って、ミケと太郎に報告しました。

ミケの目がうるうるしています。太郎はミケに寄り添っています。

「太郎、もう一つ 七色 カリカリないかな。ミケが人間になれたら おばあちゃんに会いに行けるのに」

「にゃーん」太郎は分かっているのか分かっていないのか、のり子の方をじっと見つめています。

「そんなに都合いいことないよね、猫を抱えて侵入しちゃおうか、ばれたら大変かな」

のり子はそんなことをぼそりと言いました。


お父さんとお母さんに相談してみても。

「あそこのおばあちゃん 1人暮らし だもんね、身内の方がいらっしゃるとは思うんだけど、誰も訪ねてきてないみたいだよね。うちでおばあちゃん 引き取るわけにもいかないしね」

のり子はとっても悲しくなりました。

ミケは1日中 窓の外を、ただ寂しそうに眺めてるみたいです。


「太郎ただいま」

次の日のり子が、学校から帰ってくると、太郎が口に1枚の葉っぱをくわえていました。

「太郎 葉っぱ 食べてるの、どんだけ食いしん坊なのよ」

「にゃーん」

のり子の前に、くわえていた葉っぱを太郎は落としました。

そこにはこう書かれていました。

「こうきゅう またたび こうかん」


「七色カリカリは、高級またたびと交換ってことなのね」

のりこは無駄遣いをしないタイプでしたけど、そんなにお金はたくさん持ち合わせていません。

お父さんにお願いしてみようと思いました。


お父さんが家に帰ってきて、リビングでくつろいでる時に、のり子はお父さんに抱きつきました。

お父さんは 急なことにびっくりしてますけど、鼻の下が明らかに伸びています。

「私、大きくなったらお父さんのお嫁さんになる」

のり子は とっておきの言葉を口にしました。

お父さんの顔は完全に、にへら顔になっています。

「お父さん 2000円 お小遣いちょうだい」

お父さんは 財布から、なけなしの2000円をのり子に渡しました。

リビングに入ってきた お母さんが、

「のり子、どこでそんな殺し文句 覚えてきたの。お父さんのお小遣い取り上げたらかわいそうでしょ」

「まあいいではないか、のり子のことだから、無駄遣いではないだろう」

本当に、お父さんはのり子に甘いよね。後からでもいいからちゃんとお父さんとお母さんに説明してよね。……まあいいわ。お父さん、明日のお弁当、おかず多めにしておくわね」

その言葉に、お父さんは「うむ」とだけ言って、また新聞に顔を隠しましたが、その耳は少し赤くなっていました。

「本当にありがとう。」のり子は、お父さんとお母さんが本当に大好きです。


次の日学校から帰ると、のり子は太郎を連れて、ペットショップに行きました。ミケも連れて行こうと思ったけど、やっぱり窓の外を見ているだけです。ご飯も少ししか食べません。


「太郎 行こう、どれが高級またたびかわかんない」

ペットショップに行くと、のり子は店員さんにまたたびをくださいって言いました。

何種類か出してもらったまたたびを、太郎に匂いを嗅がせてみます。

太郎は、またたびの箱をくんくんするたびに、変な顔になったり、ひっくり返ったりしましたが、最後に 金色の箱のやつを選びました。

「これがいいのね、私が匂い嗅いでも全然わかんないけど」

「これください」

お父さんからもらったお金で足りそうです。おつりはお父さんに返さないとね。

心の中でお父さんに感謝したのり子でした。


太郎は、高級またたびをくわえて、どこかへ行きました。

太郎に高級またたびを託して、祈る気持ちで、七色 カリカリを待ちました。

「一体どこから手に入れてくるのかな」

のり子はそう思いました。猫の世界にも不思議なことがあるんだよね。今はそれだけが頼りかな。


太郎は無事に、七色カリカリを手に入れてきました。

「太郎ありがとう」


自分の部屋で、のり子、太郎、ミケが、並んで話し合いをしています。太郎とミケはにゃーんしか、言いませんけどね。きっと通じていると、のり子は信じています。

のり子は、二匹に向かって言い聞かせます。

「太郎とミケ と私の3人で病院に行くわよ」

「にゃーん、にゃん」

「病院に着いたら、この 七色カリカリで、ミケは人間になってもらうからね」

「にゃん」

「太郎は病院の前で待機、いざという時は手伝ってもらうかも」

「にゃーん」


作戦実行です おばあちゃん喜ぶかな。

のり子と、太郎とミケは、病院までやってきました。バスに乗れないからちょっと時間かかっちゃったね。ここまで歩いてきたので、もうすっかりお昼過ぎてます。

「作戦実行だね、ミケはそっちの草の裏で、この 七色カリカリを食べてきてね」

ミケは七色 カリカリを口にくわえると、草むらの中に入って行った。

草むらに 淡い光が出ると、そこから人間の女の子になったミケが出てきました。のりこ と同じくらいの背格好です。ミケは、おかっぱ頭で頭に3色のリボンをつけています。

「太郎 行ってくるね」


のり子と、人間になったミケは、病院に入って行きました。受付の方に行くと、子供2人だけできた様子に、病院の婦長さんが話しかけてきました。

「どうしたの 面会なの」

「はい 入院したおばあちゃんに会いに来ました。私は付き添いの友達です。こっちは ミケ、じゃなかったミケ子です」

「そうなのね 病院内では静かにお願いね」

「はい ありがとうございます」

「にゃーん、いえ、はいにゃ」

変な子だね。婦長さんは笑いながら見送りました。


病室の前に来ると、おばあちゃんの背中が見えます。ベッドに寂しそうに座ってるみたいです。

「ミケに会いたいな」おばあちゃんは ポツリとそんなことを言いました。

ミケは我慢できなくなって おばあちゃんの胸に飛び出していきました。

「おばあちゃーん」

「あー 待って 待って」のり子は慌てて追いかけます。

「あらどちら様だったかな、それと 、のり子ちゃん また来てくれたのね」

ミケはおばあちゃんの胸で泣きじゃくっています。

「私、歳を取ってて忘れちゃってるのかな、でもとっても優しい気持ちになる」おばあちゃんの目からもなぜか涙がこぼれてきます。

「あのおばあちゃん、信じられないかもしれないけど、ミケが会いに来てくれたんだよ」のり子は 、おばあちゃんに言いました。

「そうなのかい ミケの匂いがするね。本当に会いたかったよ」おばあちゃんはミケをしっかり抱きしめました。



その頃——病院の裏手では。

「にゃーん……にゃーん♪」

太郎が堂々と尻尾を立てて歩いていました。

病院の周りを探索しているうちに、美味しそうな匂いに釣られてやってきたのです。

そこにいたのは、白衣を着た婦長さん。

段ボール箱をいくつか並べて、地域猫たちにご飯を配っていました。

見慣れない貫禄たっぷりの三毛猫(太郎)が近づいてきたので、婦長さんは少し目を丸くしました。

「あら……あなた、どこの子? 初めて見る顔ね。

ずいぶん堂々としてるわ」

先客の猫たちを押しのけて、婦長さんの前にちょこんと座り込み、

「にゃーん」と一鳴き。

「ご飯ちょうだい」オーラ全開です。

婦長さんはくすっと笑って、猫缶を一つ開けました。

「はいはい。今日は特別ね。

……実は私、猫が大好きでね。昔、ずっと一緒にいた子がいたのよ」

太郎は猫缶に夢中になりながらも、耳をぴくぴくさせて婦長さんの話を聞いています。

「その子は本当に賢くて、毎日玄関で待っててくれた。

でもある日、病気になって……最後まで看取ってあげられなかったの。

それ以来、寂しくて寂しくて……ここで地域猫たちにご飯をあげてるのよ。

少しでも、誰かの猫ちゃんが幸せでいてくれたらって思って」

婦長さんは遠い目をして、太郎の頭をゆっくり撫でました。

太郎が美味しいご飯をたっぷり食べてる間、病室ではおばあちゃんとミケのおしゃべりが続いています。


ミケは人間になれたので、会えなくなって寂しかったことや、おばあちゃんとの暮らしのことや、おばあちゃんのことがどんなに大好きなのかを、人間の言葉で、たくさんお話ししました。

おばあちゃんは目にいっぱい涙をためて、ミケの話をいっぱい、頷きながら聞いていました。

日が傾きかけて、夕日が窓から 刺してきています。

そろそろ帰らないといけないけど、ミケはどうしても帰りたくないみたいです。

「嫌だよ 私もおばあちゃんと一緒にいる」ミケは涙をいっぱいに溜めてそう言います。

でも変身が解けたら大変なことになっちゃいます。

のり子がどうしようかと思案顔になって、病室の入り口を見ると、婦長さんが黙って立っていました。


「ごめんなさい お話を聞くつもりはなかったんだけど、ちょっと声が大きいものだから」婦長さんは謝りながらもそう言いました。

のり子は 大慌てで、謝りました。

「ごめんなさい、そろそろ帰りますので」のり子がそう言うと、

「いやだ、おばあちゃんと別れたくない」

人間になったミケは駄々をこねています。

おばあちゃんも、困ったようで、やっぱり別れたくないような、悲しい顔をしています。


「あと10分だけですよ。また今度来たらいいじゃないの」

「もう来れないよ」ミケがボソッと言いました。

「猫に戻っちゃうのかい」おばあちゃんが聞きました。

婦長さんはのり子の方を見て、どういうことなのかを聞きました。

「その あの、なんて言ったらいいか」

その時です、ミケの姿が小さくなっちゃいました。

窓からの夕焼けの光が、一瞬黄金色の輝きました。

猫に戻ってしまったのです。

婦長さんは驚いてその様子を見ていましたが、そのことには触れないで、

「あと10分だけですよ」

そう言って、その場を離れました。

おばあちゃんは、猫に戻ったミケを、優しくなでています。

「ミケ、本当にありがとうね」

「にゃーん」


しばらくすると婦長さんが、猫がゆっくり入れるくらいの大きな袋を持ってきました。

「おばあちゃんの病室を、1階の窓際にしてあげるから、次からは猫のままおいで」婦長さんはそう言うと、ミケを袋に入れたのり子を、病室から連れ出しました。

のり子は深く頭を下げてお礼を言いました。


病院を出るとそこには、お腹がパンパンになっている、太郎がいびきをかいて寝ていました。

「太郎 帰るわよ、あんた何か食べたの」のり子は言いました

「にゃむ〜い」と太郎はひとつ鳴いて、1人と2匹は一緒に家に向かって歩き始めました。


空には綺麗な夕日が、空を赤く染めていました。


おしまい


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