この世は情報と金
手首を回し、刀身をグリップから出した。
「あー、それで僕をどうするの」
椿原の余裕のある表情を見て、沸騰しているお湯のように、体の内側から怒りが沸いてくる。
ふと気が付いた。何に対して怒りを感じている?
俺はまた車内での話を思い出した。
「椿原が生きていたとしても、何故、テレビは自殺したと報道したんだ」
「さあな」
「テレビを信じる信じないじゃなくても、少なくとも、生きている奴を死んだと報道しないだろ」
「お前は知らないのか?」
「何をだ」
「地球は〝何〟で回っていると思う?」
「無重力空間とかが関係するやつか?」
「違う。情報と金だ」
「なっ…」
「いいか?この世界は金が全てなんだよ。金があればなんだってできる。人を好きなように動かせるし、駆除もできる。さらに、情報を操作することだって簡単だ」
「一つ確認していいか?」俺は直接本人に聞いてみることにした。
「お前は死んだんじゃないのか?」
「くくく…。お金だよ」
今の椿原は昔とは違う。いやらしく、悪い顔をする。
「情報を操作したのか?」
「ビンゴ!当たりだよ、当たり!」椿原が指を俺に向けた。
「僕をね、怒らせると怖いんだよ。本当は鵜飼を陥れようとしたんだけどね、途中で邪魔が入ったんだ」
何のことを言っているのかさっぱり分からない。ただ一つ言えるのは、今の椿原は昔とは全然違う。
「そういえば、お前の父親は…」俺はふと思い出し、口にした。
「ああ、それね。ちょっと、ビジネスの邪魔だったから死んでもらったんだ」
「死んでもらった?」
「そうだよ。確か、なんとか一郎として…難しいから覚えてないや」
何とか一郎?人の名前なのか?一郎さんとして死んだのか?俺が分かっているのは、今の椿原は昔とは全く違う。ということだ。




