それぞれの経緯②
「リアス」
「おう」
「お前は何故、この騒動に加わった」
「面白そうだったからだ!」
「…………」
広間が静まり返った。
スカーはしばらく何も言わず、リアスを見つめる。
「……何だと?」
「だから、面白そうだったからだ! こんだけ強ぇ奴らが集まってたんだぞ? ガイストの連中まで来てるし、やり合えるなら――」
「馬鹿者がぁぁぁ!!」
怒声が広間を揺らした。
「国を巻き込んでおいて理由がそれだけか!」
「お、おう……」
「返事をするな!」
「どっちだよ!」
「黙れ!」
リアスが口を閉じる。
スカーは額を押さえ、大きく息を吐いた。
「……脅されたわけではないんだな?」
「あぁ」
「《癒憩》を受けた覚えも?」
「ねぇな」
「誰かに命令されたわけでもない」
「ない!」
「…………」
スカーの額に、再び青筋が浮かぶ。
「ならば、お前が一番たちが悪いではないか!」
「そうなるのか?」
「なるわ!!」
横からナーラの怒声が飛ぶ。
「テメェ、普通なら首飛んでんぞ!」
「そうなのか?」
「そうなのかじゃねぇ!」
「……ナーラ。もういい」
スカーが片手を上げる。
そして改めて、リアスを睨みつけた。
「リアス。本来ならば、お前のしたことは処刑されても文句は言えん」
「…………」
さすがのリアスも、今度は黙った。
それでもスカーは、すぐに処刑を言い渡そうとはしない。
リアスほどの戦士は、今のルミナスにとって貴重な存在でもある。
そして何より。
「…………」
リアスがちらりとタスマンを見る。
腕を組んだタスマンが、無言でこちらを見ていた。
「……何だ」
「いや……なんでもねぇ」
仮にリアスが再び暴れたとしても。
それを止められる者は、ここにいる。
スカーは鼻を鳴らした。
「処分は決めた」
「お?」
「当面の間、戦闘を禁ずる」
「…………」
「武器も預かる」
「…………は?」
「鍛錬も禁止だ」
「ちょっと待てぇぇぇ!!」
リアスが勢いよく立ち上がろうとし、鎖が激しく鳴った。
「それは駄目だろ! 他にあるだろ! 牢屋とか! 罰金とか!」
「黙れ!」
「鍛錬だけは勘弁してくれ!」
「駄目だ!」
「走るだけなら⁉︎」
「駄目だ!」
「筋トレ!」
「駄目だ!」
「素振り!」
「武器を預かると言っただろうが!」
「じゃあ何すりゃいいんだよ!」
「働け!」
「……は?」
スカーはリアスを指差した。
「復興作業だ! 壊れた建物を直せ! 瓦礫を運べ! 国中いくらでも仕事はある!」
「戦えねぇ、鍛錬もできねぇ、その上ずっと復興作業……?」
「そうだ!」
「…………」
リアスの顔から、みるみる血の気が引いていく。
「……処刑の方がマシだ」
「なら処刑にするか?」
「それは嫌だ!」
「なら働け!」
「くそぉぉぉ……!」
リアスが項垂れる。
戦うことを何より楽しみにしている男にとって、これ以上ない罰なのかもしれない。
スカーは深く息を吐き、次の者へ視線を移した。
「……次だ」




