2人の族長②
――ダン!!
リアスが。
床を。
蹴る。
「!」
速い。
パイルが。
《風穴》を。
構える。
だが。
正面から。
来ない。
――タン!
壁。
「…………!」
リアスが。
駆ける。
壁を。
まるで。
地面のように。
「ははっ!」
――タン!
柱。
――タン!
崩れた。
瓦礫。
一度も。
速度を。
落とさない。
「なるほど……」
パイルが。
目で。
追う。
「それがカプリスの加護ってことか」
「《踏破》」
リアスが。
笑う。
「俺達に」
――ダン!!
柱を。
蹴る。
「走れねぇ場所はねぇ!」
「っ!」
上。
二本の。
曲刀。
振り下ろされる。
――ガキィン!!
「ぐっ……!」
《風穴》で。
受ける。
重い。
リアスが。
そのまま。
身体を。
捻る。
「おらぁ!」
「!」
蹴り。
パイルの。
脇腹。
――ドッ!!
「ぐっ!」
吹き飛ぶ。
だが。
倒れない。
床。
滑りながら。
踏み止まる。
「……痛いなぁ」
「ははっ!」
「笑い事じゃないよ」
「いいじゃねぇか!」
リアスが。
着地。
そのまま。
走る。
「もっとやろうぜ!」
「…………」
パイルが。
小さく。
息を吐く。
「元気だなぁ」
右腕。
《風穴》。
構える。
リアス。
右。
瓦礫へ。
足を。
掛ける。
跳ぶ。
「!」
今度は。
左。
壁。
蹴る。
さらに。
上。
「捕まえてみろよ!」
「…………」
パイルが。
動きを。
止める。
「どうした!」
「いや」
左手を。
上げる。
「追いかけるの」
掌。
リアスへ。
向ける。
「面倒だなって思って」
「あ?」
「――《風呼び》」
――ゴォッ!!
「!?」
風。
巻く。
リアスの。
服。
激しく。
靡く。
「なんだ!?」
身体が。
止まる。
いや。
違う。
引かれている。
「おい!」
強い。
風。
パイルへ。
向かって。
「こっちに来てもらうよ!」
「はっ!」
リアスが。
笑う。
「面白ぇ!」
引かれる。
なら。
逆らわない。
二本の。
曲刀。
構える。
風に。
乗る。
「え?」
「呼んだのはお前だろ!」
「そうだけど!」
一気に。
距離。
縮まる。
「そう来る!?」
「おらぁ!」
曲刀。
振る。
「《風撃》!」
――ドン!!
「ぐっ!」
風。
炸裂。
リアスの。
身体が。
仰け反る。
「今!」
パイル。
踏み込む。
《風穴》。
腹へ。
「もらった!」
――ガシュン!!
「っ!」
杭。
放たれる。
だが。
――ガギィン!!
「!」
二本。
曲刀。
交差。
杭を。
受け止める。
「ぐっ……!」
「はははっ!」
リアスの。
足。
床へ。
めり込む。
「いいな!」
「こっちは……!」
パイルが。
《風穴》を。
押し込む。
「必死なんだけどね!」
「それがいいんだろうが!」
「全然よくないよ!」
――ドン!!
弾ける。
二人。
同時に。
後ろへ。
跳ぶ。
「…………」
「…………」
リアスが。
曲刀を見る。
刃。
僅かに。
欠けている。
「…………」
口元。
吊り上がる。
「風か」
「…………」
「いい術使うじゃねぇか」
「ありがとう」
パイルが。
《風穴》を。
構え直す。
「もうちょっと大人しくしてくれると、もっと嬉しいかな」
「無理だな!」
「だよねぇ」
――ダン!!
再び。
二人が。
ぶつかる。
◇
――キィン!!
水の。
刀身。
弾かれる。
「っ!」
レテが。
手首を。
返す。
《水凪》。
長かった。
刀身が。
一瞬で。
縮む。
「!」
そのまま。
突き。
リシェル。
首を。
逸らす。
水の。
切っ先。
頬。
掠める。
「《水縛》!」
――バシャッ!
水。
床を。
走る。
「!」
リシェルの。
足首へ。
絡む。
「捕らえました」
「まだです!」
リシェルが。
強引に。
足を。
引く。
「っ!」
水。
千切れる。
後ろへ。
跳ぶ。
「ディーネ!」
レテの。
傍ら。
大きく。
広がった。
尾鰭。
ふわりと。
揺れる。
ベタのような。
魚の精霊。
ディーネ。
水中を。
泳ぐように。
空を。
舞う。
その身体が。
淡く。
光る。
「《水柱》!」
――ドン!!
「!」
リシェルの。
足元。
水。
噴き上がる。
「くっ!」
横へ。
避ける。
その先。
「《水走》」
――バシャッ!!
「!」
レテ。
加速。
一瞬で。
懐。
「はぁっ!」
《水凪》。
振る。
――キィン!!
「っ……!」
受けられる。
それでも。
止めない。
刀身。
伸びる。
「!」
リシェルが。
身体を。
反らす。
水の刃。
眼前。
通過。
次。
短く。
形を。
変える。
「…………!」
読めない。
長さ。
形。
間合い。
全てが。
一振りごとに。
変わる。
「《水撃》!」
――バシャァン!!
「くっ!」
水。
正面。
叩きつける。
リシェルの。
身体。
押し戻す。
「…………」
レテが。
追わない。
足元。
水。
広げる。
「《水鏡》」
――ピチャン。
波紋。
広がる。
「…………」
目。
耳。
それだけじゃない。
足元。
伝わる。
振動。
水の。
揺れ。
リシェルの。
位置。
動き。
「…………」
そして。
ディーネ。
ふわり。
尾鰭が。
揺れる。
「!」
左。
レテが。
《水凪》を。
向ける。
――キィン!!
「…………!」
リシェルの。
一撃。
受け止める。
「読まれた……?」
「いいえ」
レテが。
水の刃を。
滑らせる。
「教えてくれたんです」
「…………」
「ディーネが」
リシェルが。
ディーネを見る。
魚の精霊も。
その視線を。
返す。
「なるほど」
「…………」
「先程から」
リシェルが。
距離を。
取る。
「随分とあなたを気にかけていますね」
「ディーネがですか?」
「ええ」
大きな。
尾鰭。
揺れる。
「あなたが気づくより先に危険を察している」
「…………」
レテが。
ディーネを見る。
「そうですね」
少し。
微笑む。
「昔から、助けてもらってばかりです」
「…………」
「だから」
《水凪》。
構える。
「今度は私が、この子を守ります」
「…………」
リシェルの。
目が。
僅かに。
細くなる。
「精霊との契約……ですか」
「はい」
「ガイストらしい」
「…………」
「ですが」
リシェルが。
構える。
「私達には」
足。
踏み出す。
「星があります」
「!」
――キィン!!
再び。
刃。
ぶつかる。
「っ!」
「精霊に選ばれたあなたと」
押す。
「星の加護を受けた私」
「…………!」
「どちらが上か」
リシェルの。
瞳。
鋭くなる。
「試してみましょう」
「……そういうつもりは」
《水凪》。
受け流す。
「ありません!」
水の。
刀身。
大きく。
湾曲。
「!」
リシェルの。
防御を。
回り込む。
「くっ!」
服。
裂く。
血。
僅かに。
散る。
「私は」
レテが。
踏み込む。
「あなたと」
もう一撃。
「勝負をしに来たわけではありません!」
――キィン!!
「この国を!」
――キン!!
「ガオンさん達を!」
――キィン!!
「助けに来たんです!」
「…………っ!」
リシェルが。
大きく。
後ろへ。
弾かれる。
「…………」
レテが。
《水凪》を。
構える。
「ですから」
傍ら。
ディーネ。
寄り添う。
「そこを退いてください」
「…………」
リシェルが。
傷へ。
触れる。
「…………」
指先。
赤い。
「……退けません」
「…………」
「私にも」
リシェルが。
静かに。
構え直す。
「退けない理由があります」
「…………」
二人。
視線。
交わる。
その横。
――ドゴォン!!
「ははははっ!」
「ほんと……元気だなぁ!」
壁を。
走る。
リアス。
それを。
風で。
引き戻す。
パイル。
二つの。
戦い。
まだ。
どちらも。
本気の底を。
見せてはいなかった。




