野郎ども
――ドォォォォン!!
「うおっ!?」
救護所の。
奥。
大きな音と。
僅かな揺れ。
「おいおいおい! なんだってんだ!」
ログが。
入り口の方へ。
顔を向ける。
「うぅ……」
「こわい……」
救護所にいた。
子供達が。
身を寄せ合う。
「…………」
フィリアが。
すぐに。
その子達の前へ。
しゃがみ込んだ。
「大丈夫だよー」
「…………?」
「なんかあれば、おねぇちゃん達が守ってあげるから」
「ほんとぉ……?」
「うん!」
フィリアが。
にっこり。
笑う。
「約束!」
「…………」
子供達の。
強張っていた顔が。
ほんの少し。
緩んだ。
「こちら側で被害はありません」
ユノが。
救護所内を。
確認する。
「怪我人にも問題なさそうです」
「…………」
治療をしていた。
セブランが。
立ち上がる。
「何が起きたか確かめてくる」
「いや」
「?」
ログが。
セブランの前へ。
手を出す。
「もしもあんたに何かあったら、ここが崩壊する」
「…………」
「あんたは治療を続けてくれ。俺が見てくる」
「しかし――」
「フィリア! 糸目!」
「はーい!」
「はい」
「なんかあったら、頼むぞ!」
フィリアが。
胸を張る。
「合点だい!」
「僕もここを見ています」
「頼んだ!」
ログが。
救護所の。
入り口へ走る。
「…………!」
外へ。
飛び出す。
「バルガス隊長!」
すぐに。
姿を見つける。
「一体何が!」
「分からん」
バルガス隊長が。
王宮の方角を。
睨む。
「王宮の方で何かあったみたいだ」
「王宮で?」
「バルガス隊長!」
「ん?」
アルトが。
駆け寄る。
「今、向こうでガオンが!」
「ガオン?」
「ガオンが! 抱えて!」
「おい」
ロイドさんが。
アルトの肩を。
掴む。
「まず落ち着け」
「…………」
息を。
整える。
「……ごめんなさい」
「で、何を見た」
「今の音の方角を見たら……」
王宮を。
指差す。
「土煙の中から、何かを抱えたガオンが王宮から外に飛び降りてました!」
「ガオン!?」
ログが。
目を見開く。
「あいつ、いたのか!?」
「うん!」
間違いない。
「あの赤髪はガオンだ! 間違えない!」
「…………」
パイルさんが。
王宮へ。
目を向ける。
「それが本当にガオン王子なら」
僅かに。
目を細める。
「向こうでも何かあったみたいだね」
「…………」
「例えば……戦闘とか」
「チッ!」
ロイドさんが。
頭を掻きむしる。
「めんどくせぇ!」
そして。
バルガス隊長を見る。
「バルガス隊長! もう行くしかねーよ!」
「…………」
バルガス隊長が。
王宮を。
見上げる。
「うむ」
短く。
頷く。
「仕方ない」
振り返る。
「パイル」
「はい」
「お前はここに残り、指揮を取れ」
「分かりました」
「残るのはユノ、フィリア、レテ」
「…………」
「後は全員」
王宮へ。
視線を戻す。
「王宮内に行くぞ」
「待ってくれ」
「ん?」
声。
救護所の奥から。
セブランが。
歩いてくる。
「私も連れて行ってくれ」
「!?」
バルガス隊長が。
眉を寄せる。
「……あんたにゃ、ここに残って治療してもらわにゃならんだろ」
「…………」
「それに王宮内は、おそらく戦場だ」
「治療に関しては問題ない」
「何?」
セブランが。
レテを見る。
「彼女……レテさんがいれば問題ない」
「私ですか?」
「あぁ」
そして。
救護所の奥へ。
視線を向ける。
「糸目の彼の術も役に立つ」
「…………」
ログが。
得意げにニヤリとする。
「まぁな」
「なんでログが得意げなんだよ」
「それに」
セブランが。
バルガス隊長へ。
視線を戻す。
「君達は王宮の内部を詳しく知らないだろ?」
「…………」
ロイドさんが。
セブランを見る。
「……あんたは分かんのかい?」
「あぁ」
即答。
「だから頼んでいる」
「…………」
ロイドさんの。
目が。
細くなる。
「……おい、あんた」
「何だ?」
「何者なんだ?」
「…………」
「なんで王宮内部が分かる?」
「…………」
セブランは。
少しも。
表情を変えない。
「スコルネ族と言っただろ?」
「…………」
「治療で何度も来ているんだ」
「……治療ね……」
ロイドさんが。
じっと。
セブランを見る。
「とにかく急がないと!」
アルトが。
声を上げる。
「お前が仕切るな、馬鹿」
「…………」
ログが。
アルトを。
睨む。
「…………」
バルガス隊長が。
一度。
セブランを見る。
そして。
「……よし」
頷く。
「それではセブラン殿も連れて行く」
「助かる」
「パイル」
「はい」
「ここは任せた」
「何かあれば信号弾で知らせます」
「おう」
バルガス隊長が。
王宮へ。
身体を向ける。
「行くぞ」
そして。
大きく。
息を吸う。
「野郎ども!」
バルガス隊長を。
先頭に。
俺達は。
混乱の続く。
王宮へと。
駆け出した。




