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神様、その聖号は返品できますか?~貧乏くじ王女、嫁いだ先は竜が住まう国でした~  作者: みつまめ つぼみ
第1章 貧乏くじ王女

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第1話 プロローグ

半年ぶりの新作です! 楽しく書かせていただきました! よろしくお願いします!


 白亜の壁に包まれた、セクレトス王国の大聖堂。その祭壇の前に、一人の少女がひざまずいていた。薄緑色の長い髪の毛が照明を反射してきらめいている。その目は閉じられていて、わずかに眉をひそめながら手を組み、祈りを捧げていた。彼女の前では法衣を着た司祭が、聖魔法を唱えながら告げる。


「星竜神様、この者に聖なる名を与えたまえ――≪洗礼≫!」


 司祭の言葉に呼応して彼の手が輝いた。それと同時に薄暗かった大聖堂に異変が起こった。少女を包み込むような光が天井から差し込み、星屑のような光の粉が降り注ぎ始めた。司祭が驚いて天井を見上げ、続いて少女の顔を見つめる。少女は変わらず眉をひそめ、端正な顔を伏せていた。すぐに少女の頭の上に光の文字が浮かび上がり、司祭は唾をのんでその名を見つめた。


「……リディア・フォン・アルティナウス。あなたの聖号は『星の乙女(ラネティア)』です」


 目を開いた少女が、目の前に浮かぶ文字を見つめた。小首を傾げた少女が手を伸ばすと、その文字は空中に()き消えた。ざわめく周囲に反して冷静な少女――リディアが司祭に尋ねる。


「これで終わりですか? 『ラネティア』が私の名前……でいいのですわよね?」


 周囲を見回すリディアに、司祭が告げる。


「リディア様、あなたは星竜神様より聖女の名を与えられました。我が夜天教会の名において、あなたを聖女と認定します」


「はぁ?! なんでそうなるんですか?!」


 目を見開いたリディアの脳裏に、明るく軽薄な声が響く。


『いや~、悪いんだけどそういうことだから!』


「――誰?!」


 慌てて周囲を見回すリディアに、脳裏に響く声が答える。


『俺? “星竜神”って言えばわかる? さっき祈ってもらったじゃ~ん』


「知りません! なんの冗談ですか、これは!」


『悪いんだけど、君には星の乙女(ラネティア)になってもらうんで~。よろしくね~』


「お断りします! これ以上面倒なことに巻き込まれたくありません!」


『ん~でもこれ、取り返しがつかないんだ。ごめんね~?』


 呆気にとられるリディアに、司祭がひざまずいて(こうべ)を垂れた。続くように周囲の聖職者たちがリディアに向かってひざまずいていく。リディアは手を握りしめ、力いっぱい叫んだ。


「――断固! お断りいたします!」


『無理かな~……諦めて?』


 リディアは声なき絶叫で、その言葉を拒絶していた。



 ――彼女の物語、その始まりは数日前に(さかのぼ)る。


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