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エーテルコード  作者: エトコッコ
アフター

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里帰り


烈が運転するエレカの車内には、助手席に閃、後部座席に怜と音が乗っていた。


4人は休みを合わせ、とある場所へ向かっている。


高速道路——第4高速レーンを乗り継ぎながら、目的地へ近づいていた。


窓の外には、どこか懐かしい景色が流れていく。


「懐かしいなー」


閃は外を眺めながら、ぽつりと呟いた。


目的地は——クマモト。


4人が向かっているのは、たんぽぽ荘だった。



昼過ぎ。


エレカが、たんぽぽ荘の前へゆっくりと停まった。


それに気づいた子供たちが、勢いよく外へ飛び出してくる。


「閃にぃー!!」

「烈にぃー!!」

「怜ねーちゃんに、音ねーちゃんもいるー!」


元気いっぱいの声が辺りに響いた。


「おー、久しぶりだなー!」


閃は笑いながら手を振る。


「はじめまして」

「こんにちは!」


怜と音は、丁寧に挨拶をした。


2人にとって、子供たちとはこれが初対面だ。


すると、その後ろから結菜も姿を見せる。


「久しぶりねー」


結菜は穏やかに微笑んだ。


「それと、怜ちゃんと音ちゃんね。はじめまして、結菜です」


そう言って、優しく頭を下げる。


怜と音も、改めて挨拶を返した。


「烈と閃から、2人のことは色々聞いてるわ」


「今日は、わざわざ来てくれてありがとね」


結菜は嬉しそうに言う。


「いえ、私たちも、いつか皆さんにお会いしたいと思っていました」


怜が静かに答える。


隣の音も、にこりと笑って頷いた。


「ふふっ。さ、立ち話もなんだし、上がって」


結菜は嬉しそうに微笑む。


その間にも、子供たちは閃や烈へ飛びつき、辺りは一気に賑やかになっていた。



4人は、美晴の仏壇へ静かに手を合わせていた。


穏やかな線香の香りが、部屋の中にゆっくりと広がっていく。


誰も多くは語らない。


ただ、それぞれの想いを胸に、静かに目を閉じていた。


その後——


「そういえばね……」


結菜がお茶を出しながら、ふと思い出したように口を開く。


「エドワードさんから、オルフェ代表って形で香典が届いてたの」


その言葉に、4人はわずかに表情を動かした。


「……そっか」


閃は小さく呟く。


そこには確かに、“エドワードらしさ”が残っていた。



庭では、怜と音が子供たちに囲まれていた。


「怜ねーちゃんの力、“魔法”みたい!」

「音ねーちゃんって、空飛べるの?」


子供たちは目を輝かせながら、次々に話しかけてくる。


閃や烈と同じファクターだということを、皆知っていた。


怜はそっと手のひらを差し出す。


すると、その上に小さな氷が静かに現れた。


「すごい!!」

「触っていい!?」


子供たちの目がさらに輝く。


「いいよ」


怜は柔らかく微笑みながら答えた。


一方、音は《浮遊》を使い、その場からふわりと身体を浮かせてみせる。


「わぁー!!」

「いいなぁー!」


こちらも歓声が上がった。


音は少し照れながらも、嬉しそうに笑っていた。


「おーい、あんま困らすなよー?」


少し離れた場所から、烈が苦笑しながら声をかける。


(……俺も閃も、昔よく“見せて見せて”ってせがまれてたな)


烈は、どこか懐かしそうに昔を思い出していた。



「閃にぃ!見て!」


子供のひとりが、得意げにリフティングを始めた。


「おっ!上達したなー!」


閃は感心したように笑う。


「閃にぃ!あたしの描いた絵見て!」


今度は別の子が、嬉しそうに絵を持ってきた。


そこには、クレヨンで描かれた閃と烈の姿があった。


「おー!俺と烈か!上手い!」


閃は笑いながら、その子の頭を優しく撫でる。


「次はオレな!閃にぃ!」

「ずるい!次わたし!」


子供たちは次々に閃の周りへ集まっていく。


その様子を、縁側で烈と結菜が静かに眺めていた。


「清司にぃも帰ってきてたんだ」


烈がぽつりと言う。


「うん。仕事は大変みたいだけど、順調だって話してたよ」


結菜は穏やかに答えた。


清司——。


烈よりも前からたんぽぽ荘にいた、みんなのお兄さん的存在。


大学卒業後は、警察官として働いている。


「そっか」


烈は静かに頷く。


「誠司もね、2人のこと、すごく気にしてた」


「“あの2人なら大丈夫”って、伝えておいたよ」


その言葉に、烈は小さく息を吐く。


(清にぃも、相変わらず頑張ってんだな……)



やがて、空は少しずつ茜色へ染まり始めていた。


「それじゃ——そろそろ帰るか」


烈が立ち上がりながら言う。


「えー!もう帰っちゃうのー!?」

「泊まってけばいいのにー!」


子供たちは名残惜しそうに声を上げた。


「お兄ちゃん達は忙しいの」


結菜が優しくたしなめる。


「また、みんなで遊びに来る?」

「怜ねーちゃんと音ねーちゃんも!!」


子供たちは期待したように言った。


「もち」


閃は笑顔で即答する。


「また来るわ」


怜も柔らかく微笑んだ。


「うん!みんな、元気でね」


音も手を振る。


「じゃ、結菜さんも元気でな!」


烈が言う。


「皆もね!」


結菜は穏やかに笑った。


そして、ふと2人へ視線を向ける。


「怜ちゃん、音ちゃん——この2人のこと、頼むわね」


結菜は冗談っぽく笑いながら言った。


「任せてください」


怜は珍しく、少しイタズラっぽい笑みを浮かべて答える。


「はい!閃にぃと烈にぃのこと、しっかり守ります!」


音も、いつになく冗談混じりに言った。


その言葉に——


閃も、烈も、結菜も、子供たちも——みんな笑っていた。



「気をつけてねー!」


その声に、4人は笑顔で頷く。


そして——


エレカがゆっくりと走り出した。


「ばいばーい!!」

「また来てねー!!」

「待ってるよー!!」


後ろでは、子供たちがいつまでも手を振っている。


夕暮れの空、そんな景色を背に——4人は、たんぽぽ荘を後にした。

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