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エーテルコード  作者: エトコッコ
第7章:宿命

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第8話「Innocent」


閃の《雷鳴拳》を頭上から叩き込まれ、地に伏しているラフティア。


だが、その巨体はゆっくりと、確実に起き上がり始めていた。


(……たいして効いちゃいないな)


閃の渾身の一撃ですら、わずかにダウンを奪えただけで、致命傷には程遠い。


『閃!!コイツには斬撃だ!!』


烈の声が通信越しに響く。


《大炎剣》では尻尾を切断することができた。


だが、怜の《氷槍》や音の《斬撃のウィンド》は弾かれている。


つまり——


威力と質を兼ね備えた“本物の斬撃”でなければ通らない。


ラフティアは体勢を立て直すと、再び上空へ舞い上がった。


閃は即座に指示を出す。


「怜と烈は地上でアイツの気を引いて!俺と音は空中から翼を狙う!」


シラユキとレンゴクは即応し、それぞれ地上を高速で移動し始めた。


続いて、バサラヲとツムギが上昇する。


「音!まずは右翼の根元を狙う! 同時に行くぞ!」


「うん!!」


地上では、怜の《氷弾》、烈の《火炎弾》が連続で放たれる。


決定打にはならないが、確実にラフティアの注意を散らしていた。


その一瞬の隙。


閃は刀に雷のエーテルを集中、音もまたブレードへ風のエーテルを集中させる。


「《雷刃波斬》!!」

「《風刃波斬》!!」


かつてΩチームのメルと戦った後、閃が思いついた2人のスキルだった。


雷と風が交差し、刃となって右翼の根元を裂いた。


ラフティアはバランスを崩し、地上へ墜落する。


「今だっ!!」


怜が《氷鎌》を、烈が《大炎剣》を同時に振り下ろす。


両脚へ斬撃が叩き込まれた。


閃も上空から《雷撃》を放つ。


音も追撃に入ろうとした、その瞬間。


(ウウウ……イタイ……イタイ……クルシイ……モウ……イヤダ……)


音の頭の中に、直接声が響いた。


それは、サムの声だった。


音は攻撃を止める。


(サム……!?わたしの声、聞こえる!?)


返事はない。


だが、苦痛だけが流れ込んでくる。


「音、どうした!?」


閃が叫ぶ。


「サムの声が聞こえる……!!苦しんでるよォ……!!」


「……!!」


閃にも、怜にも、烈にも聞こえない。


感受性の強い音だけが、サムの心に触れていた。


「で、でも……!!」


ここで止めるわけにはいかない。


今、倒さなければ。


「音……!!ここで倒さないと——」


「わかってるよ……!!」


それは、涙混じりの悲痛な声だった。


閃は、それ以上何も言えなかった。



3人の総攻撃を受けてもラフティアは、なお立ち続ける。


(やべぇ……そろそろ容量が……!!)


烈のエーテルは限界が近い。


即座にクローとキャノンを展開し、近接特化から中距離戦闘へ切り替える。


怜も《氷結》で足止めに徹し、消耗を抑える戦術へ移行していた。


閃と音は再び翼を狙う機を伺う。


だが——


切断されたはずの尻尾と翼が、独立したかのように動き始めた。


「遠隔操作……!?」


怜が息を呑む。


巨大な尻尾が蛇のようにうねり、レンゴクとシラユキを叩きつける。


同時に、分離した翼は刃のように回転し、バサラヲとツムギへ襲いかかった。


吹き飛ばされるバサラヲとツムギ。


落下するバサラヲへ、翼が追撃する。


「閃くん!!」


だが、その刃は——


バサラヲに触れる寸前で、止まっていた。


いや、“止められていた”。



(……!?まさか!!)


閃は上空を見上げる。


そこにいたのは——エンプティアだった。


ラフティアの翼を拘束していたのは、イノだった。


「イノ……!」


閃との戦闘で気を失っていたはずのイノ。


だが、サムの禍々しいエーテルを感じ取り、目を覚ましたのだ。


エンプティアは静かに動き出すと、止めていた翼をブレードで真っ二つに切断した。


4人が息を呑む。


イノはゆっくりと口を開く。


「サム……聞こえるかな? この戦い……もう、ボクらの負けだよ」


その言葉を、ファクターズは黙って聞いていた。


ラフティアも、動きを止めている。


「イノの言葉……届いてんのか……?」


烈が呟く。


だが次の瞬間、ラフティアは再び構え、今度はエンプティアを狙った。


(サム……大丈夫だからね。ボクも一緒だから。キミを1人になんか……しない)


静かな覚悟。


その思いも、音は感知していた。


(イノくん……サムと一緒に死ぬ気なんだ……!!)


音は悟ってしまった。


エンプティアがブレードを展開。


高速斬撃をラフティアへ浴びせていく。


ラフティアも激しく抵抗していた。


止められない。


止める術がない。


(2人が傷つけ合うなんて……!!)


(せめて……せめてサムを、少しでも楽に……)


音は、強く願った。


その瞬間——


ツムギから、柔らかな光の粒子が溢れ出していた。

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