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エーテルコード  作者: エトコッコ
第7章:宿命

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第7話「集結」


怜とアーク、烈とクリス。


その決着は、ほぼ同時だった。


閃と激闘を繰り広げていたイノは、その瞬間、明確な“喪失”を感覚で受け取った。


(アーク……クリス……?)


念の属性の特性上、その断絶は、何よりも早く正確に伝わっていた。


ほんの一瞬の動揺。


だが、閃はそれを見逃さなかった。


一気に間合いを詰め、《雷衝》を放った。


渾身の一撃が、エンプティアを直撃した。


「ぐあっ……!!」


イノは吹き飛び、地面に叩きつけられる。


「ハァ……ハァ……状況は……!?」


息を荒げながら、閃は即座に通信を入れた。


『怜と烈が……ほぼ同時に勝ったわ!!』


リオの声。


その報告を聞いた瞬間、閃の胸に去来したのは、安堵と悲しみだった。


(そっか……イノ、それを感じ取ったんだな……)


さきほどの動揺の理由を、理解した。


「……音は?」


短く問う。


『……!? まって、これって……!!』


リオの声色が変わる。


その異変を察した閃は、返答を待たずに駆け出した。


雷を纏い、音のいる方向へと。



少し前に遡る。


音とサムは、一定の距離を保ったまま、攻防を続けていた。


だが、そこには両者ともに明らかな迷いがあった。


致命傷を避けるような、どこか歪な戦い。


(このままじゃ、ダメだ……!)


サムは思う。


だが同時に、交流会で見た音の姿が脳裏をよぎる。


笑っていた彼女。


優しかった彼女。


(ボクは……彼女を傷つけたくない……)


その気持ちは、音も同じだった。


それでも、戦場は待ってくれない。


モニターに表示された文字。


“ドレティアLOST”

“セレティアLOST”


それは——アークとクリスの死だった。


「ア……アア……アァァァァ!!」


サムの声が震える。


音も確認していた。


(怜と烈くん……勝ったんだね)


けれど、胸は重い。


目の前で、サムが壊れかけている。


わたしは、どうすれば——


その時、通信が入る。


「音……ボ、ボクがボクである限り、キミを傷つけることはできない……アフフ」


「サム……?」


「な、なら……ボクは……もう、“ボクじゃなくていい”……」


ぞくり、と嫌な予感が走った。


「“カルマ解放”」


——その瞬間


ラフティアから、禍々しい黒いエーテルが噴き出した。


“カルマ解放”とは——

ゼクストとDD双方に埋め込まれた特殊インプラント、カルマシール。


それらを任意で解除し、ファクターのエーテルを増幅させる。


さらに、そのエーテルをD細胞が“喰らう”ことで、DDもパワーアップする——いわば“リミッター解除”。


だが、比較的安全に扱えるのは20パーセント。


これまでは、どんな強敵との戦闘でも40パーセントを限度としていた。


だが、サムが解放した数値は80パーセント——個人で解除できる最大値。


つまり、完全な危険域だった。


「サム!!落ち着いて!!」


音は即座に《安静のウィンド》を展開する。


だが、まるで効かない。


「オ、オ、オォォォォ……!!」


人のものとは思えぬ咆哮。


溢れ出す、漆黒のエーテル。


音は直感した。


(もう……きっと、サムは……戻れない)


その異常をモニター越しに見たリオが叫んでいた。


『……!?まって、これって……!!』



漆黒のエーテルは、天を貫くほどに立ち昇っていた。


(あの方向……音だ!!)


怜はスピードを上げる。


(間に合って……シラユキ!!)



その異変に、烈も気づいた。


「……!!サム、なのか!?」


即座にレンゴクはビーストスタイルへ変形、音の元へ駆け出した。


(音が……あぶねぇ!!)



『閃!!怜も烈も、音のところに向かってる!!』


「よし!!」


バサラヲも雷を裂き、さらに加速する。


(ゼクストの“切り札”……サムだったのか)



『音!! 逃げて!!』


リオの叫び。


「……逃げません」


震えながらも、音は答える。


次の瞬間——


ラフティアは、40メートル級の大きさに巨大化していた。


サムのスキル《イドロ》によるものだった。


それは“偶像”ではない。


質量を持つ、暴走した怪物。


モニター越しに見ていた一同は、もはや言葉を失っていた。


ラフティアは、即座にツムギを鷲掴みにし、地面へ叩きつけ、続けざまに踏みつける。


『音!!』


リオは叫んだ。


だが音は、寸前で《エアクッション》を発動し脱出。


しかし次の瞬間、巨大な尻尾が直撃する。


「うっぐ……!!」


たった一撃で、視界が揺れる。


再び突き出される尾。


その刹那——


氷の壁が、攻撃を受け止めた。


「……怜!!」


「おまたせ」


怜とシラユキが到着した。



直後、ラフティアは上空へ。


高速で突き出される尾撃。


回避に徹する怜と音。


そこへ——


炎の大剣が、尾を断ち切った。


「烈……!!」

「烈くん!!」


レンゴクが《大炎剣》を構える。


「2人とも、大丈夫か!?」


ラフティアは地上に降りると、真っ直ぐにレンゴクに向かって突進した。


真正面から受けとめるレンゴク。


しかし、圧倒的パワーの前に押されてしまう。


怜は《氷槍》、音は《斬撃のウィンド》をそれぞれ放つも、攻撃は通らない。


3機は吹き飛ばされ、壁へ叩きつけられた。


暴走したラフティアが、再び跳躍し、今度はシラユキへ襲いかかろうとした瞬間——


天空から赤い稲妻が落ちた。


雷鳴落赫らいめいらっか》——閃のバサラヲだった。


赤い雷を纏った右脚が、貫くようにラフティアの頭上を撃ち抜いた。


「遅いじゃない……」


怜は、静かに笑みを浮かべて言った。


「何とか間に合った。とりあえず……全員集結だな」


「問題は——これからだ」


烈はラフティアを見ながら言った。


「私たちなら、絶対に倒せる」


怜の声は静かだが、強い。


「みんな……!!」


音の目に、光が宿る。


気づけば、激しい雨は止んでいた。


雲の切れ間から、細い光が差し込んでいた。

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