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エーテルコード  作者: エトコッコ
第7章:宿命

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第6話「解放」


閃とイノ、怜とアークがそれぞれ激突している頃――


烈とクリスもまた、激闘を繰り広げていた。


クリスの属性は“水”、対する烈は“炎”。


そして天候は大雨。


閃や怜とは違い、烈にとっては明らかに不利な条件が揃っていた。


それでも――烈は、クリスとの対決を望んだ。


烈の意思を尊重しつつ、閃はイノを倒し、すぐに援護へ向かう予定だった。


だが現実は、予想以上にイノに苦戦を強いられていた。



セレティアの容赦ない連撃が、レンゴクを襲う。


クリスは《アクアオーラ》を展開。


巨体に似合わぬ俊敏さで、セレティアはレンゴクを追い詰める。


(防戦一方だな……!!だが!!)


烈はレンゴクの右腕に炎のエーテルを集中させた。


「《爆炎拳》!!」


炎を纏った右ストレートが、セレティアの腹部に直撃。


その瞬間に爆発が起き、セレティアは大きく吹き飛ばされ、山肌に激突した。


「《大炎剣》!!」


続けて炎の大剣を構え、斬りかかる。


(器用な奴だ……)


クリスは冷静に水のエーテルを両手に集中。


迫る《大炎剣》を白刃取りし、受け止めた。


そのままウィングを噴射し、体勢を立て直しながらレンゴクを突き飛ばす。


烈は空中で姿勢を整え、綺麗に着地、同時に《大炎剣》を消した。


「……随分と余裕だな」


「……余裕だと?」


「さっきの一太刀、迷いが見えていた」


クリスは淡々と告げる。


「この後に及んでまだ、“助ける方法”など探っているんじゃないだろうな?」


「……」


図星だった。


「ハッキリ言おう。無駄だ」


「クリス……!」


「本当に助けたいなら、ここで殺されるか? その後、俺はお前の仲間も全員殺す。文字通り、俺たちは全員“助かる”」


脅しではない。本気だ。


「……テメェ、何寝ぼけたこと言ってやがる……」


烈の声が低く唸る。


「俺の仲間を……“殺す”だと……?」


レンゴクの身体から、わずかに光の粒子が溢れる。


「させる訳、ねぇだろうが!!!」


叫びと同時に、光が爆発的に噴き出した。



「新井くん……!!ついに……!!」


モニターを見つめるクレアの瞳に涙が浮かぶ。


「烈くんは、本来ならもっと早く“完全同調”を起こせていたかもしれない」


松永が静かに言った。


「……彼の優しさが、ブレーキになっていたんです」


牧が続ける。


閃と怜が先に辿り着けたのは、才能の差ではない。


“アクセルを踏んだか、ブレーキを踏んだか”の違いだった。


そして今、烈は迷いを断ち切った。


仲間を守るために。



明らかな変化を遂げたレンゴク。


だが、クリスは動じない。


「やっと迷いが晴れたか。最初からそれで来い」


セレティアは両腕の大砲を展開し、巨大なエーテル弾を放つ。


レンゴクは、避けない。


咆哮ポートから響く反響音。


その音波だけで、エーテル弾を弾き飛ばした。


「すごい……!!」


クレアが息を呑む。


クリスは冷静に水のエーテルを集中させ、《アクアブラスト》を発射。


通常のエーテル弾を遥かに凌ぐ威力。


対してレンゴクの全身に炎を集中させ、烈は《大炎嵐》を使用した。


熱の暴風が広範囲に放たれ《アクアブラスト》も、《アクアオーラ》も、雨粒さえも――全てを一瞬で蒸発させた。


「決着だ……」


烈はレンゴクをビーストスタイルへ変形させ、炎を極限まで高める。


クリスは即座にウィングを全面展開し、《アクアスフィア》で全身を覆う完全防御形態をとった。


(……前にもあったな。この状況)


クリスは、ファクターズとゼクストの2度目の戦闘を思い出していた。


状況は全く同じ。


しかし、あの時より、数倍の衝撃が来るだろう。


「行くぜ……!!」


「来い……」


次の瞬間、凄まじい衝撃波が一面に広がった。


——勝負は、ほぼ一瞬だった


“完全同調”状態のレンゴクが、セレティアを完全に圧倒していた。


(やるじゃないか……烈)


烈はさらに両腕のクローを押し込んだ。


(クリス……!!すまねぇッ……!!)


そして——


レンゴクのクローは、セレティアを貫いた。


大雨の中、静寂が落ちる。


胴体を貫かれながら、セレティアは立っていた。


すでに光を失ったレンゴクも、動かなかった。


烈の目からは、涙が溢れていた。



(何も見えない。感じない……でも、怖くない。むしろ、心地いい)


(死んだのか?俺は)


(……これが死か。フッ……なるほど、悪くないな)


(……今、俺は笑ったのか?)


(それにしても、心地いい。こんなに心地いいのは、どれくらいぶりだろう……)


(……そこに、誰かいるのか?)


(……あいにく、何も見えなくてね)


(……そうか。アークか……)


(お前も来たのか……)


(……どっちが先でもいいだろう、この際……フフッ)


(あぁ……それにしても、本当に心地がいい、な……)

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