第6話「交流会②」
徐々に距離が近づいていくファクターズとゼクスト。
皆どこか緊張した面持ちだった。
――閃とイノを除いて。
距離が縮まるにつれ、2人の表情は次第にほころび、やがて互いに駆け寄った。
ガッチリと握手を交わす2人。
「イノ! 久しぶり! 元気してた?」
閃は満面の笑みでそう言った。
「うん! 元気だよ!閃や皆さんに会えるの、すごく楽しみにしてたよ!」
イノもまた、満面の笑みで答える。
ほぼ初対面に近いはずの2人は、まるで旧友と再会したかのように自然に打ち解けていた。
その様子に、一同は呆気にとられるも、場の空気は一気に和らいだ。
そこへ、エドワードが姿を現す。
「ゼクストの諸君。わざわざオルフェまで来てくれて、ありがとう」
そう言って、丁寧に頭を下げた。
「こちらこそ。このようにお出迎えいただき、感謝いたします」
クリスが答え、イノ、クリス、サムも続いて一礼する。
ワンテンポ遅れて、アークも慌てて頭を下げた。
「ヨハン総帥から話は聞いている。約束どおり、こちらはDDには一切触れず、調査もしないと約束しよう」
エドワードは、ゼクストに向けてそう告げた。
「ご配慮、感謝いたします」
クリスは丁寧に応じる。
「あっ、でも写真くらいならいいって言ってたっスよー」
アークが後頭部で手を組みながら、気軽に付け加えた。
それを遠くで聞いていた、無類のメカオタクである黒須は、小さくガッツポーズを取っていた。
「あ、あと……ヨハン総帥からプレゼントを預かっています」
そう言って、イノはバッグから1本のワインを取り出す。
エドワードの表情が、一瞬強ばる。
ドイツ産のワイン――
“アイネ・リーベ”。
それは、ワイン愛好家のエドワードが最も好む品種だった。
非常に希少で高価なワインであり、滅多に手に入るものではない。
ヨハンからこのワインを贈られるのは、これで3度目だった。
1度目は、アリスが誕生した時。
そして2度目は――アリスが亡くなった時。
エドワードは、本心では受け取りたくなかったが、ゼクストや他のメンバーの手前もあり、静かに受け取り、礼を述べた。
◆
ゼクストは軽い身体検査を終え、オルフェの施設内へと入る。
その間、ファクターズはフォームから制服姿へと着替え、彼らを待っていた。
ファクターズは、それぞれ自分の“好きなもの”を用意していた。
ニャンダルフリークな閃は、最新機種のBW SP。
もちのすけ大好きな怜は、もちのすけのぬいぐるみ。
写真撮影が趣味の音は、普段から使用しているスマカ。
本当はテツを連れて来たかった烈だったが、ぐっすりと眠っていたため、愛読書であるコミック、空手道一直線の第1巻を持ってきていた。
これは、音のアイディアだった。
そして――
ついに、対話の瞬間が訪れる。




