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エーテルコード  作者: エトコッコ
第2章:ゼクスト

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第4話「リーク」


オルフェ研究機関・作戦指令室。


DDとの交戦から数時間後。

ファクターズはエドワード、トーマス、松永とともに、大型モニターの前に立っていた。


エドワードが口を開く。


イシュタール財団——

かつての仲間、ヨハン・グリムが設立した組織。


ヨハンが推し進めた“アバタライズ実験”。


オルフェが保護していたエーテル保有児童を、大量に拉致した事件。


そして数年後——

悪魔型の機体が、オルフェ各支部を襲撃したこと。


語るエドワードの声には、静かな怒りが滲んでいた。


「ヨハンはこう言っていた。“ファクターこそ新しい生命種であり、それ以外の人間は古い。私も含め、いずれ淘汰される”……とな」


閃が顔を上げる。


「極論ですね」


「ああ。その通りだ。しかし——ヨハンの恐ろしさはそこではない」


エドワードは続ける。


「その極論すら、“建前”なのだよ」


ファクターズの目が揺れる。


「ファクターを新世界の種と言いながら、エーテル保有者をパーツのように扱い、平然と捨て去る……。奴の行動は矛盾だらけだ」


トーマスが口を開く。


「別の目的があったのは間違いありません。そして……あの悪魔型。ようやく繋がりが見えてきた気がします」


エドワードは息を整え、静かに告げた。


「ヨハンは狂っている。何かが彼を変えたのではない。最初からだ。それに気づかなかった私こそ愚かだった」


——その時。


『全くだよ、エドワード』


指令室中に、響き渡る声。


「!?」


全員が顔を上げる。

モニターがノイズを走らせ、ひとつの文字が浮かぶ。


“GIGAS”


イシュタールが使用する、マザーコンピューターの名。


「ヨハン……!?」

トーマスが息を呑む。


「オーキュラムは何も反応してません!」

松永が叫ぶ。


『やぁ、エドワード。オルフェの皆さん。そして——初めまして、ファクターズ諸君』


「ハッキング……!? そんな——」


松永の声を遮るように、ヨハンが軽く笑う。


『オーキュラムは確かに優秀だが、私の“頭脳”が入ったギガスには及ばなくてねぇ』


エドワードは静かに問いかけた。


「……何の用だ、ヨハン」


『久しぶりの友との再会だというのに冷たいじゃないか、エドちゃん。用もなく来てはいけないのか?』


「ふざけるなよ……」


エドワードの沈んだ怒気を、ヨハンは楽しむように受け流す。


『見ただろう? 私の創り上げた完璧なる芸術品。——デーモンドール。略してDD。そして彼らを操るファクター、ゼクスト。私の最高傑作だ』


「……貴様……!」


エドワードの声が震えた。


『もっとも、お前たちに私のセンスは一生理解できないだろうがね。私はあのEDとかいう、だっさいおもちゃの良さがさっぱり分からん』


その瞬間。


「ふざけんなゴルァァ!!かっこいいだろうがァァ!!」


烈が大声で叫んだ。

音も横でぶんぶんと頷いている。


怜は無表情のままだったが、

(この状況でそれ言う?)

と内心ツッコんでいた。


閃がヨハンに向かって言う。


「そのDDのファクター……ゼクスト、だっけ?あんたが無理矢理戦わせてんの?」


『さぁ〜〜? 本人たちに聞けばぁ〜〜?』


ヨハンは鼻で笑う。


「そーさせてもらお」


閃は落ち着いた声で返した。


トーマスが叫ぶ。


「貴様……! 一体どれだけの子どもを実験台にし、どれだけの命を奪ったんだ!!」


『さぁ? 失敗作の数なんていちいち覚えてないが……まあ、100は軽く超えてるねぇ』


軽い調子の返答に、指令室の空気が凍りつく。


「……この狂った悪魔崇拝者め……」


『ハッハッハ!!そんな褒めるなよ、エドちゃん。照れるじゃないか』


ヨハンは満足そうに笑い続ける。


『さて、近々またDDを送る。熱い熱〜い戦いを見せてくれ。では諸君、ばいちゃっ♪』


「ヨハン……!!」


『ああ、言い忘れていた。エドワードよ——“アリス”は元気かね?』


——その瞬間。


エドワードの表情が凍りついた。


「……貴様ァァッ!!」


彼の怒号が指令室を震わせる。

音は思わず肩を震わせ、目を潤ませた。


通信はすでに切れていた。


トーマスも松永も、動揺を隠せない。


ファクターズは言葉を失っていた。



静寂。


エドワードは肩で息をしながら呟く。


「……すまない。取り乱してしまった」


「エドワード……」

トーマスが心配そうに声をかける。


エドワードはゆっくりと言った。


「……アリスは、私の娘だった。10歳で、他界した」


音は苦しそうに表情を歪める。


「…!!娘さんのこと、挑発に使ったってのかよ……あのクソジジイ!!」


烈が怒鳴った。



同じ頃——

イシュタール財団・格納庫。


4機のDDが再び起動し、

ゼクストの4人はそれぞれの座席へと乗り込んでいた。


黒い悪魔たちが、再び翼を広げる。


——再戦の時は、もうすぐそこまで来ていた。

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