勉強会!②
俺たちは黙々と勉強を進め、時には俺が質問受けをするなど、かなり充実した時間を過ごした。
「おなかすいた〜」
そう言って隣の藍が机に伏せていた。
たしかに時間はもうすぐ正午を回る。
俺もお腹がすいてきたところだった。
「ならご飯食べに行く?」
茜の提案に藍が飛びつく。
「やったー!!」
と言って図書館を出てきたものの、特に行くところも決めていなかったので俺たちの歩みは止まった。
「茜と藍はなにか好きな食べ物とかないの?」
そういえばこれまで聞いたことがなかった。
「「パンケーキ!!」」
2人の返事は全くズレることなく返ってきた。
さすが双子だ。
声も同じなので俺は1人の声のように聞こえた。
「なら近くに干野珈琲があるからそこで食べよっか」
「「賛成!!」」
というわけで近くの喫茶店にやってきた。
俺たちは席に着くとそれぞれメニューを見始める。
あれ、でも前お疲れ会した時は人目を避ける為に家でパーティーをしたのに今日は大丈夫だったのか?
「茜、今日は俺たち人目の中でご飯食べていいのか?」
「!!」
「い、いいんだよ!!」
「でもこの前はそれを避けるために家で....」
「ああああ!」
「やっぱり複雑な事情とか?があるから!」
(俊をお家に呼ぶための口実だなんて言えない....)
茜は俺の言葉をかき消しながらそう答えた。
「でもお姉ちゃん、そんなこと気にしたこと今まで無かった気が.....」
「!!」
「あはは、ここのめにゅーおいしそうなのばっかだねー」
藍までもが茜の強い気でやられてしまった。
まぁ、事情があるなら仕方ないか。
「よし!俺はこのオムライスにする」
「私はビーフカレーとパンケーキ!!」
藍は元気よくメニューを指さす。
「ん〜なら私はカルボナーラミートソースとパンケーキで!」
茜もメニューを決め終えて、すぐさま藍が呼び出しボタンを押した。
「楽しみ〜」
「藍は自由奔放って感じでいいよね」
「いつも楽しそうじゃん」
「え?そうかな」
「私は俊と会ってからはこれまでの何倍も楽しいよ!」
目の前で行われる姉妹の会話に俺も耳を傾けていたが。
そう言われるとなんだか嬉しい。
俺も藍と茜に会ってからは毎日が楽しい。
その後もエンドレスに何気ない会話を続けていると、料理が運ばれてきた。
「それじゃ〜」
「「「いただきます!」」」
そのオムライスは信じられないほど美味しかった。
そして机の向かい側に座る茜と藍も同じく幸せそうな顔をしていた。
この顔を見るだけで俺まで幸せになる。
「私のスバゲッティ1口いる?」
茜がそう言ってフォークを俺の方に出てきた。
「い.い.いや大丈夫だよ」
「自分で食べれるから!」
俺は少し頬を赤らめて恥ずかしがっている茜からお皿を受け取った。
「いただきます」
.........
「美味い!」
「ありがとう」
そのスパゲティは何故か味がしなかった。
緊張しすぎていたのだろう。
茜は天然だからか分からないが、時々予想外の行動を取る。
さっきのもカップルでもない男女がする行動では無いだろう。
でも、そんな部分も含めて茜はかわいい。
ん?今俺茜をかわいいと思った?
今日は勉強のし過ぎで頭がおかしくなっているのだろう。
俺はあくまでも茜のリベンジスクールライフを成功させるためのサポートをするだけなんだから。
「しゅんってば!さっきから何ボーッとしてるの?」
「私のビーフシチューも食べてよ〜!」
「あ、あぁ」
......
「ありがとう、美味しかったよ」
「2人とも俺のオムライスも食べていいぞ」
俺は自分のお皿を差し出した。
2人のオムライスを食べる姿も愛らしい。
まるで愛玩動物が眠っているのを眺めている時のような感情におそわれた。
「パンケーキもおいしい!」
茜が喜ぶ姿を見るだけで、あの時屋上で○殺を止めて良かったと思える。
あの時死んでいたら、今の楽しみは味わえていないのだから。
俺たちはランチを食べ終わると、また図書館に戻り、少し勉強をして、お開きということになった。
少し早めの解散の原因は藍が睡魔にやられてしまい、図書館でもずっと寝ていたからだ。
たしかに図書館で眠るくらいなら家に帰って質のいい睡眠を取ってもらいたい。
「じゃあねー!」
「また明日!」
「え?なんで外にいるの?」
「あ、俊が逃げてる!」
俺は手を振ってくれる茜と、外まで運ばれてきた寝ぼけている藍に別れをつげて、家に帰った。
テスト、気合い入れていくぞ!
俺たちの初めてのテストが始まる!
次回、定期考査始まります!
よければブクマや星評価よろしくお願いします!
次回もお楽しみに〜




