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心変わり

コンセプトとしてキャラの制服の絵描いたので乗せときます。

挿絵(By みてみん)挿絵(By みてみん)


「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」

悲鳴とともに蜘蛛をデフォルメしたようなぬいぐるみが目に映ったような気がした。


気づいたら知らない男の子と大学生くらいのお姉さんが話している。

ここはどこなんだっけ?

「あれ?気づいた?」

「ご、ごめんね?痛くなかった?目が覚めたら男の人の気配がしたから反射的に…」

「お姉ちゃん、男の人苦手だから…」

「あ、あはは…」

ん?誰???

「ごめんなさい、どちら様…」

「え…あ!そうそう!私!柚飛忍!眼鏡外して男物の服、ほら、着てるからわからなかったかも」

と言いながら眼鏡をかける。

ちょっと前に初めて見た通りの顔があった。

近い。

「そうだった。おーけーおーけー。状況が理解できた。」

テーブルを一辺ずつ使うように座った。

知らないお姉さんが向かいで、柚飛が右にいる。

なんだろうこの状況。

柚飛静ゆずひ しずか、忍の姉です。久しぶりに妹の友達ができたって聞いてちょっとうれしい。ありがとうね。」

メガネをかけた、三つ編みのおとなしい雰囲気の女性が話す。

「憩 由羽です。えっと…友達というかほとんど初対め」

「そうそう!由羽とは2年に上がった時から友達で!ね!」

思いっきり遮られた。

目で合図してくるのは合わせろということだろうか。

しかもなんで名前で呼んでるんだ。

でも、ここで否定するのもお姉さんに悪い気がしてきた。

「そうなんですよ。柚飛にはいつもお世話になってます」

少しだが、「柚飛」といった時にお姉さんが反応しかけた気がする。

そうだ。この家には二人いるのか。

「え?由羽ちゃん、忍のこと苗字で呼んでるの?女の子同士なら、早めに名前で呼び合ったほうがあとあと恥ずかしくないよ?」

突っ込みどころ満載な気がした。

どこから突っ込みを

「忍って呼んでいーよ!」

ニヤニヤしながらこっちを見てくる。

あくまで女友達という設定のまま貫き通す気なんだろうか。

考えてみればそれもそうだ。お姉さんは男が嫌いらしいし、いま男だとバラしたらまた何か投げられるかもしれない。

仕方ない。今日だけ女装してやったらあの画像は消すという約束なんだ。役になりきるしかない。

「し……忍、これからもよろしく……」

「はいよろしくぅ!」

やたらテンションが高い。

「あ、私のことも静って呼んでいいからね」

「静さんもよろしく願いします」

今日だけの予定だったんだけどぁ…

自己紹介やらなんやらはここで終わりな気がする。


「ところでその服装と……家ではコンタクトなのか??」

「あ、これ言ってなかったっけ。私、男装が趣味というか。女物はそもそもお姉ちゃんのおさがりしかないんだよねぇ。

 ちなみにメガネはだてメガネ。学校行く時だけね」

「なんで?」

「理由は秘密。」

対して衝撃的でもないカミングアウトの後に、

「そうだ!着替えよ!ほらほら立って立って」

あまりに長時間この格好でいたために自分が女子制服であることすら忘れていた。

今着ているのは忍の服なのだ。

そう思うと、足元の空気感と制服からくる柚の匂いが急に強く感じられた。


部屋に連行されて出てきたときにはほぼ女の子になっていた。

お姉さんのおさがりと言っていたが…ゆったりしたシャツにヒラヒラしたスカートだ。

制服に比べてさらに足元がスースーする。

いつもは布に守られている太ももにスカートの布地がヒラヒラと揺れ、触れたり離れたりしている。

歩いているときの不安感は尋常ではない。

慎重にさっきの席に戻ると、静さんはノートパソコンで何かを調べていた。

「あら?よく似合ってる!それ、忍も着ないだろうからもらっちゃいなよ!」

「あの、そこまでしなくても……」

忍も追い打ちをかけてくる。

「いいからいいから!私が選んであげたんだから。友情の証だと思って。ね!」

中学生の女の子ってこんなことまでするんだろうか。

「お姉ちゃん何してるの?」

「言ってなかったっけ?今日は新作のゲームのベータテストがあるから」

「だから今日この時間に家に居たんだ」

「そうそう。大学休んで一日中寝てたの」

今日は家に誰もいないと言っていたが忍も忘れてたのか。

「あ、そうだ!5人一組でやるゲームなんだけど、二人もやる?」

「やるやる!お姉ちゃんと一緒のゲームやりたいし!」

こいつ、こんな性格だったのか。

感情をすぐ言葉にするタイプだ。

「由羽君は?」

「えっと、どんなゲームなんですか?」

「うーん。バトロワって知ってる?」

「最後まで残ってた人が勝ちのやつでしょ?私は知ってる!」

「あー。友達がやってました。」

嫌な思い出がよぎった。

忘れよう。

「そうそう。敵を倒して減らしたり、ひたすら隠れて敵が減るのを待ったりして生き残るの。

 このゲーム、始まる前から話題になっててなんと!賞金付きの大会が8月にあるんです!」

静さんがさっきより口数が多くなっている。

「おおっ!して、それはおいくらで?」

「1千万円!しかも、スポンサーとかついてプロゲーマーとして活動できるかも!」

「おおー」

忍が多少大げさに盛り上げている。

「ちょっとちょっと」

興奮している静さんを横目に忍に耳打ちする。

「静さんってもしかしなくてもゲーマー?」

「そうだけど?」

「あーなんかやってそうな感じあったわ」

バシッ!

額をたたかれた。

「うちで今アカウント作って家ですぐできるようにしといてあげよっか?」

静さんがキラキラした目で俺に話しかけてくる。

抗いきれなかった俺はそのままアカウント作りまでやってもらい、キャラメイクということでパソコンの前に座った。

「体格も顔も自分で作れるけど、顔はパソコンの内カメラを使うといいよ」

自動生成ボタンをクリックすると胴体の上の顔が鏡に映ったような自分の顔に変わった。

「あとは職業選びなんだけど、どんな職業がやりたい?」

この中だと……

後ろから大人っぽい甘い香りが漂ってくる。

「こ、これがいいです」

肩の上からのぞきこまれ、ドキドキしていた俺は適当な職業を選んでいた。

「スナイパーかぁ。私、FPS得意だからいろいろ教えられると思うの!

 何かあったら聞いてね!」

スナイパーという職業を選んだらしい。

文字通りならおそらく遠いところから撃つんだろう。

喧嘩は嫌いだし、性にあってるかもしれない。

「こんな感じでオッケーかな!あとはヒキツギコードを作って……」

さっきから静かだと思っていたが、忍もいつの間にか自分のパソコンを持ってきて黙々と作業している。

真剣なのか不機嫌なのか、ぶすっとした表情だ。

「さて、もう8時近い時間だし、そろそろ由羽ちゃんも帰る時間じゃない?」

「そうですね…そろそろ帰ります。いろいろとありがとうございました。」

「お礼なんて、そんないいのに。さっき作ったアカウントのメモ、これ使えば入れるからね。

 もしよかったら10時にログインしてね!飛んでいくから!ね!」

忍がチラともこちらを見ずにコクっとうなずいた。

どうやら不機嫌そうだ。

「わかりました。よろしくお願いしますね!」

「そんなにかしこまらなくていいのに…じゃ、またあとでね!」

「はい!さようなら」

「忍、由羽ちゃん帰るから~」

忍はいつの間にか部屋に帰っていた。


外に出た瞬間、何かおかしいことに気づいた。

「静さんいい人だったな~。あれ?忍の期限が悪いのはなんでだったんだ?」

「きっと、私が由羽ちゃんにつきっきりだったから友達を取られたみたいで悔しいんじゃない?」

「し、静さん!?いつからいたんですか!?」

「うーん。忍がかまってくれなくてさみしいなぁ~のところからかな」

「そんなこと言ってないですよ!!」

「あれ、そう?照れなくてもいいのに」


「次回、「へんしん」お楽しみに!」

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