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服部家一家 異世界に召喚される  作者: SUGISHITA Shinya


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98/98

098 再びアウストラル王国王宮 (下)

 財務官僚を連れて秘書が戻ってきた。


「執務室にいる」


 王妃がそう言い置いて王妃、本部長、秋人、冬が王妃執務室に戻る。


 侍女がすぐお茶を出してくれる。


「チコ、チコを危機に陥れた国王には退位してもらう」


「父上はどうなるの?処刑されるの?」


「心配するな。国王は降りて政治の心配なくただのマックになり仲の良い女性と気楽に暮らしてもらう」


「そっか。侍女をやっていた女性だね」


「知っていたのか?」


「うん。二人で顔を見合わせ楽しそうだった。居なくなってがっかりしていたよ」


 子供にもばれていたのかと春人一家と本部長。


「すまないな」


「いいよ。だってその方が良さそうだもの。政治も母上がやっていて父上は何もしていなかったでしょう。冒険者時代の話をする事くらいしかしてなかったよね」


 よく見ていると春人一家と本部長。


「ではそうしよう。これから会議で最終的に決定する」


「道筋がみえたようだから俺達は帰るよ」


「すまなかったな、エル。奥さんを大事にしろよ。あいつは寛容だが限度はあるからな。超えないように」


「わ、わかった」

 知られていると本部長。にやにやしている冬をみてこいつめと思ったが奥方と一緒になって攻撃されてもかなわない。あきらめる。


「だからチョッキンしようか。限度を超えないように」

 秋人がここぞとばかりに本部長をつつく。


「いや、他の方法を」

 うっかり余計な事を言ってしまった本部長である。


「避妊魔法をかけようか」


「さすがお父さん。作ったんだ」


「必要があって」


 冬に褒められたが夏に蹴飛ばされる春人であった。


 みんなに生ぬるい笑顔で見られる春人と夏である。


「では、この度は申し訳なかった。落ち着いたら国賓としてクレスセンシアさんとチコさんを招待しよう。来てくれるか」


「もちろん、お伺いしよう」


 女王と王妃の挨拶が終わって、女王と春人達はリーメスに転移した。


「さて、エカチェリーナ女王とエルダー、春人殿達が戻った。これから会議だ。チコは控室でアブスと一緒に待っていてもらう。蓑虫も連れていく」


 王妃達が王妃の執務室を出ていく。


 会議室の隣の国王用の部屋に入った。

「チコはここで待っていてね」


 蓑虫の火傷のソスは随分前から気絶しっぱなしだ。死んではいないらしい。

 王妃が蹴飛ばす。

 気がついてうめき出す。


「これから会議だ。お前達にも証言してもらう。証言はハイというだけでいい。そうすればソスの手当てもしてやろう。余計な事を言ったらドラゴンの火の玉でステーキだ。火の玉はドラゴンでなければ消せない。ごく小さな火の玉にしてもらって背中を這うようにしてもらえば一生背中で火傷の道が出来続ける。わかったな」


 必死に頷くセベロとソス。


 秘書が顔を出した。

「みなさん揃いました」


「わかったわ。今行く」


 会議室には主だった貴族、高官が揃っていた。

 一斉に立ち上がって王妃に礼をする。


「着席してくれ。今日集ってもらったのは国王が退位を申し出たので、背景の説明と退位の可否を諮りたい」


 一瞬会議室はざわついたがすぐ収まった


「まずは背景の説明だ。私が海賊討伐に出たところ、国王が新たに王子の侍従を採用。リーメス視察と言う名目でその侍従をつけて王子をリーメスに向かわせた。守り役のアブスは、その前に王から出張を命じられて留守であった。騎士もつけず王子と国王が採用した侍従と従者10名程度でリーメスに向かった」


 また少し会議室がざわつく。


「南リーメスに宿泊、侍従が王子を北リーメスに連れ出して、かねてより連絡をとりあっていた誘拐犯に王子を渡した」


 さらにざわつく会議室。


「隣国のエカチェリーナ女王が女王披露会をリーメスで行なうため警備が厳重であった。幸いであった。女王の先発隊や関係者が不審者を見つけ王子を無事救出した」


「国王は結果的に王子誘拐犯に手を貸した事になる。そのことを自覚し退位を希望された。書類は回覧する」


 国王が署名した退位希望の書類が回覧された。


「もとより王族の誘拐犯は死罪だ。北リーメスにいた誘拐犯はすでに隣国によって捕えられ死罪となった。残るは我が国内であるが、誘拐犯の一味のセベロ侍従、誘拐犯とセベロとの連絡に当たった従者のソスは捕えた。セベロとソスをここへ」


 蓑虫状のセベロとソスが運ばれてきた。


「セベロ侍従と従者のソスだ。セベロ、ソス。お前達は誘拐犯の一味だな」


「「ハイ」」


「ソスが誘拐犯との連絡をしてセベロが王子を南リーメスから北リーメスに連れ出して誘拐犯に渡した。相違ないか」


「「ハイ」」


「下がらせろ。後で裁判を行なう。ということだ。王を死罪にすると友好国の北のスターク王国を除いて良からぬ風評が立たぬとも限らない。穏便に退位を認めたいと思うがどうか」


 シーンとしている。


 ややあって発言があった。

「そういう事情で陛下が退位をご希望であるなら受け入れる事が臣下の務めと思います。潔く退位を希望とはさすがに陛下です」


 反対は誰も表明しなかった。


「退位後の陛下の待遇はどうなるのでしょう」


 すぐに退位後の話になった。


「退位後は村で心静かに暮らしてもらう。女性の世話係を一名つける」


 幽閉より良い待遇だ。女性も付くと思った出席者である。


「他に意見は?」


「誰も意見がないようだ。では国王の退位は承認された。直ちに発効する。なおチコは本日付けで王太子だ。チコが成長するまで繋ぎは私がやろう」


「異議なし」


 実質的に王妃が政務を見ていたので反対はなかった。


 クレスセンシア女王とチコ王太子が誕生した。


 前国王は山裾の村に送られた。

 元々飲んだくれの冒険者をしていたので生き生きと狩猟や畑仕事をマリリンとしているとか。


 セベロとソスであるが裁判が行われたが、女王の秘書がストーリーを作成、裁判はストーリー通り行われ、死刑の判決となり直ちに執行された。


 前国王の侍従、リーメスにセベロと行った従者達も国王手元金の使い込みが発覚、処刑された。セベロが王宮に送った急使も使い込み一味なので王宮に着いたら捕えられ処刑された。


 なお、本部長は後でこっそり春人に家内安全円満避妊魔法をかけてもらった。

ストックがなくなりました。しばらくお休みします。すみません。

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