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服部家一家 異世界に召喚される  作者: SUGISHITA Shinya


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038 結界魔法陣の魔石を交換する

 魔石が運び出された即位式会場。


「魔石を交換するまでこのまましばらくお待ちください」

 文官がその場で待つように告げる。


 近衛兵が会場の扉の前に陣取る。だれも出入りできない。


 クンツェ魔法庁副長官、近衛長官を先頭に魔石の回りを魔法庁職員、近衛隊長率いる近衛隊が囲み魔石を王宮地下まで運び、地下通路を通り、魔法庁の地下にある極秘の結界魔法陣室前まで運んだ。


 魔法庁副長官と近衛長官が結界魔法陣室の二つある鍵をそれぞれが持つ鍵で開け扉を開ける。


「始めるぞ。結界は弱っている。すでにこの部屋の結界も消えている。中に入ったら魔力維持班はすぐ配置につけ」


 魔力維持班が部屋の中に入り魔法陣の回りにつく。


「魔力維持班は魔力を全力で注げ、撤去班行け。魔石設置班は待機」


 魔力維持班が魔力を全力で注ぎ、手袋をした撤去班が魔法陣の中に入った。


 魔石は白く濁っていた。撤去班が持ち上げるとピシッと音がして亀裂が入った。

 慎重に運び魔法陣の外まで移動して運搬台の上の箱に入れた。ピキピキと音がして魔石が砕けた。

 危なかった。


「撤去班は退出、魔石設置班慎重に急いで行け」


 魔力維持班員は全力で魔力を注いでいるのですでに顔から血の気が引いている。魔力切れが近い。


 魔石設置班は撤去班が部屋の外に出たのを確認して手袋をした手で魔石を慎重に魔法陣の中に運び、中心に据えた。


 その瞬間魔法陣が輝き、魔法陣に入っていた設置班、魔力を注いでいた魔力維持班員がはじき飛ばされた。力が外へと及んで行くのがわかった。


「退室急げ。倒れたものは担ぎ出せ。まもなくこの部屋も結界が張られる。結界と壁に挟まれてしまうぞ」


 大急ぎで全員退室した。

 扉を閉じる前にクンツェ魔法庁副長官が部屋の中を見ると魔石と結界魔法陣が力強くまぶしく輝いていた。すぐに見えなくなる。部屋に輝く結界が張られた。


 魔法庁副長官と近衛長官が結界魔法陣室の扉を閉め二つの鍵をかける。


「よし。滞りなく終了した。王宮地下まで戻る」


 全員が王宮地下まで戻り、結界魔法陣室で倒れてしまった魔力維持班員は王宮医務室に運んだ。


 一方、魔石が運び出された即位式会場。しばらく待っていると強力な力が通り抜けて行くのがわかった。


 会場がどよめく。


 女王たちはほっとした。魔石が設置され結界が強化されたのがわかった。


 会場の扉が開けられクンツェ魔法庁副長官が入ってきた。


「女王陛下、皆様。結界魔法陣に無事新魔石を設置、新魔石を得て結界魔法陣が強力に機能し始めました」


「皆の者、滞りなく魔石を設置したクンツェ魔法庁副長官に拍手を」


 拍手が沸き起こる。外国大使は渋い顔をして拍手をしている。


 公爵が身振りで拍手を止める。


「ここで発表する事がある。一つは、結界用魔石を奪い取ろうとした者がいる。軍務長官と副宰相である。すでに国家反逆罪で処刑した。一族郎党も処分した。従った兵も同様である。彼らが魔石を手にしていたら今日の即位式、魔石交換、我が国の未来はなかった」


 残念だったと思った外国大使である。


「そしてもう一つ、新結界用魔石であるがジャイアントキングスネークの魔石である。ジャイアントキングスネークを倒して魔石を入手してくれた者がいる。先ほど見てもらった通り魔石は優に五、六百年から千年近く我が国に安寧をもたらしてくれる。我が国は魔石を入手し我が国に千年の安寧をもたらしてくれた方々のご恩に報いなければならない。国としてS級冒険者として冒険者組合に推薦した。推薦は国として一致して推薦しなければならない。事後になったがご了承願いたい」


 拍手が沸き起こる。

 結界は必要不可欠である。それこそ国を潰そうという国家反逆者でなければ不要と言う者はいない。その結界魔法陣の魔石を得た者に対するS級冒険者推薦に反対はない。あっさり満場一致で了承された。


「冒険者組合本部長」

 司会の公爵が呼びかける。


「冒険者組合本部長のエルダーハインツ クラッセンだ。冒険者タグでジャイアントキングスネークを討伐した者を確認した。間違いはない。討伐したのはハルト、ナツ、アキト、フユの4人である。冒険者組合はその功績と国の推薦により、4名をS級冒険者と認定した。今日のめでたい日にS級冒険者4名の誕生を公表できる事を嬉しくかつ誇りに思う」


 公爵が続ける。

「クラッセン冒険者組合本部長は我が国ただ一人のS級冒険者だった。本部長が現役引退後、我が国にはS級冒険者はいなかった。ここに4人、新たにS級冒険者が我が国に誕生した。まことに喜ばしい限りである」


「公爵、S級冒険者は今日は見えているのか」

 貴族が発言した。いわゆるやらせである。腹黒女王は用意周到なのであった。


「いや、見えていない。ご承知のようにS級冒険者に国として綱をつける事は出来ない。S級冒険者は自由人である。国に所属していただけるだけでありがたい存在である。本部長も引退前はそうであったろう?」


 そうであった、本部長は確かに冒険者時代は大変な自由人であったと出席者は納得してしまった。本部長の無頼の貢献大であった。


「ではこれから王宮バルコニーで民に挨拶、それから中央広場までパレードである。女王陛下は準備のため退出する」


 女王、王弟、王子、王女が退出した。


 公爵が続ける。

「パレードは女王陛下とそれがしで行う。パレードは中央広場で折り返し、王宮に帰着したらパーティーとなる。それまでは控室でお待ち願いたい。では各国大使閣下の退出になります」


 侍従長が大使を控室に案内して行く。続いて侍従が参列者をそれぞれの控室に案内して行く。もちろん下位に行くに従って大部屋になっていく。


 空になった即位式会場はパーティー会場へ模様替えが忙しい。

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