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結婚するとは言っていません【書籍化・コミカライズ化決定】  作者: 白雲八鈴


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第96話 馬鹿なのですか?

「貴女! わたくしを馬鹿にしているのかしら?」


 私が安堵していると、双子の公爵令嬢の片割れから扇が振るわれてくるではないですか。


 ここここれはどうすればいいのでしょう?


 私は魔装を常時展開しているので、このままだと扇が破壊されてしまいます。

 それだと、扇が壊れたのは私のせいだと文句が……身分が上の方々は面倒くさいです。


 私は魔装を解き、ファングラン公爵令嬢の扇を頬で受けました。

 かなり装飾品が施された扇でしたので、顔の皮膚が傷つき痛みが走ります。


「わたくしが声をかけているというのに、挨拶もしないなんて! だから田舎者は困るのよ!」


 ……あの? 呼びかけていい許可をいただいておりません。


 私は頭を下げ、この場を去ろうとしましたが、腕を捕まれ再び扇が振るわれるのが視界に捉えられます。


「何をしている」


 公爵令嬢の腕が掴まれ、扇は私の頬に当たる前に止められました。


「無礼者! わたくしを誰だと……」

「誰だと? この場で騒ぎを起こす者が私の姪ということは理解している」

「あ……」


 はい。レクスが公爵令嬢の腕を掴んで止めたのです。この場で公爵令嬢を止められるのは公爵か、レクスぐらいですから、よかったですわ。


「でも! 悪いのはそこの田舎者の伯爵令嬢……」


 反論する公爵令嬢に向って威圧するレクス。それ、姪に向ける視線ではありませんわよ。


「この方は私が頼み込んでパートナーとして来てもらったのだ。それに先ほどから見ていたが、言いがかりをつけていたのはコーネリアの方だ」


 そうですよね。挨拶に来る人と話しながらこちらを睨んでいましたものね。


「パートナー……でも伯父様、この者は……」

「不快だ。下がらせろ」


 レクスの言葉に、給仕に従事ていた使用人たちがサッと動き、双子の公爵の片割れを回収していきました。


 やっぱり、ファングラン公爵家の使用人の方々は怖いですわ……え? その中にベルラディル閣下がいらっしゃいます!


「間に合わず申し訳ございません。すぐに手当を!」

「ふわぁ! ベルラディル閣下がいらっしゃいます! 気が付きませんでした。……敬語はやめてください」


 私の感嘆の声とレクスの謝罪の言葉が重なります。

 あと、年下で身分が下の私に敬語を使わないでくださいね、騎士団団長。


 私と視線を合わすようにしゃがみ込むレクスに注目が集まっているので、普通にしていて欲しいです。


 レクスが自分のハンカチを私の頬に当てようとしてきましたが、それをとめました。

 それ、絹の上質なハンカチではありませんか! そのような真っ白なハンカチを私の血で染めないでください。


「騒ぎになってしまいましたので、私は退場します。騎士団団長様は、このあともお楽しみくださいませ」


 私が一歩下がると、何故か背後に壁があるではないですか。


「昔からベルラディル閣下が好きですよね。あと、魔装を解くなど馬鹿なのですか?」


 私を馬鹿と言ってきたのは、グレンバーレルでした。視線を上げると、私を見下ろす金色の目と合います。


「ふふん! あの方の戦い方は私の手本なのですよ。それから扇の弁償をしろと言われましても困りますからね」


 そう自慢げに言う私の頬に、グレンバーレルの手が添えられすぐに離れていきました。


「はぁ、血は拭っておきなさい。あと代わりに私が退場しますので」

「……傷を治してくれたことには感謝しますが、論文発表の人脈作りはよろしいのでしょうか?」


 また姿をくらまそうとしているグレンバーレルに、今回の目的を果たさなくてもいいのかと問います。

 一瞬悩んだように止まりましたが、そのまま消えてしまいました。


 本当に料理だけ食べて帰るようです。


 私が、何もない空間を見ているとハンカチで頬を拭われました。なんだか機嫌の悪そうなレクスにです。


 ああ〜上質なハンカチが、私の血で汚れてしまいました。


「隊長はやはりグレンバーレル魔導師長のことを……」

「ファングラン騎士団団長様。一緒に踊りませんか?」


 肌が粟立つことを言い出したレクスの言葉に被せるようにダンスに誘います。

 普通は女性から申し込まないのですが、拒否反応から思わず誘ってしまいました。


「はい」


 しかし、レクスは機嫌よく返事をして私の手をとって立ち上がります。


 そして、私の身体がレクスに引き寄せられるように移動します。

 はぁ、困ったものですわ。


 空のグラスを私のほうに向けている、銀髪の少女に視線を向けました。

 白い石の床には赤い液体の水たまりがあります。


 双子のもう一人の片割れの公爵令嬢が、私に向ってワインを掛けたかったようですが、レクスが私を引き寄せたので、何事も起こりませんでした。


 まぁ、レクスが対処しなくても問題はありませんでしたが。


「これがファングラン公爵令嬢の名を持っているのはどうなのか?」

「除籍をいたしますか?」


 突然の背後からの声にビクッとしてしまいました。この声はエストですか。


「今はいい。下がらせろ」

「はっ!」


 またしても使用人の方々に囲まれて公爵令嬢が退場されていきます。

 これは、実質の権力はレクスにあると言っています? 除籍は普通は行いませんわよ。

 それに今はということは、後日とも受け取れますが……それは駄目ですよ。


 ファングラン公爵家の闇は深そうですわ。


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― 新着の感想 ―
双子の先に退場したのは、まだ困ったちゃんで済んでそうだけど後からやらかした方は、立場を証明した後だからの対応かなw
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