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結婚するとは言っていません【書籍化・コミカライズ化決定】  作者: 白雲八鈴


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第87話 赤の他人です

「よい仕上がりになったと思いますがいかがでしょうか?」

「足元は魔力伝導率のいいミスリルを使用しているので、強化されています」


 エリアーナさん。そうですね。凶化と捉えていいですね。


 私は水色をベースにしたドレスを身に着けています。胸元で切り替えがあるデザインなので喜ばしいことにコルセットをつけなくていいのです。


 が! ドレスのふわふわの裾に隠れて見えませんが、金属が仕込まれた厚底ピンヒールが存在しているのです。

 扉を破壊した物体です。


「やはり可愛すぎるのではないのか?」

「旦那様好みのストレートの髪に仕上げましたが巻いた方がよろしいでしょうか?」

「いや、それはそのままでいい」


 その出来栄えを評価されている私と言えば、偉そうに長椅子に座りタバコを片手に、行きたくないオーラを出しています。


 行かなければならないのはわかっています。


 髪型とかどうでもいいのです。


 首元まで覆うレース生地を押さえるような重々しい宝石が連なったネックレス。

 ふわりと手首に触れる生地だけなら良かったですのに、ジャラジャラとつけられた腕輪。耳にも落とす自信がある宝石という重りがついたイヤリングがあるのです。


 総額いくらなのでしょうか?


 これらを外して行きたいです。


「隊長。ご不満なのは理解しております」


 レクスが私のご機嫌伺いをするように、偉そうに座っている私の足元に跪いてきた。


「このような物しか用意することができなかった責任は私にあります」

「いや、別にそれに対して何も思うことはない。逆に良く女性物のそれもここまでピッタリなものを用意できたと関心するぐらいだ」


 そう、今の王都の流行がどのようなものかは知りませんが、母のドレスを見る限りでは、このような形のドレスはありません。

 ということは、誰かのお古ということはないはずです。


 それから、私の背丈だとどうしても可愛らしい感じになるのですが、落ち着いた雰囲気のドレスになっているのです。


 どうみても一から作っていますよね?


「それは隊長に合ったものをと作らせましたので」


 ……予算はあるでしょうが、どう考えても時間が合わないのですが?


「だったら、私が言うことはないが、ちょっと宝石類が多いのではないのか?」

「マルトレディル様それぐらいは普通です」

「多くも少なくもないと思います」


 私が、このジャラジャラとつけられた宝石のことを言うと、アリアもエリアーナさんも普通だと答えました。

 その普通はファングラン公爵家の普通ですよね。


 私からすれば怖いぐらいに多いです。


 しかし、これはレクスの隣に立つのであればと、納得すべきことなのでしょうか。


「はぁ、そうですか。あと何度も言っていますが、隊長呼びは止めてください……ファングラン騎士団団長様」


 私はニコリと笑みを浮かべて、言い方を直すようにレクスにいいます。

 すると何故か凄く悲壮感を漂わせた表情をレクスが浮かべました。


 何ですか? その反応は?


「なぜ、そんなに他人行儀なのですか?」

「おかしなことをおっしゃるのですね? 赤の他人です」

「うぐっ……」


 胸を押さえながらうなだれるレクス。

 あの? 姉のシエラメリーナとは何もレクスとしては関係ないですよね?


「いつもどおりレクスと呼んで欲しいです」

「……まぁ? 私がファングラン騎士団団長様をそのような名で呼べるはずないではないですか」


 態度と言葉がチグハグな私は、レクスに向ってはっきりといいます。

 タバコを吹かしながら偉そうに座る私が、親しくもない殿方を名で呼ぶことなどおこがましいと。


「マルトレディル様。失礼ながら質問をさせてもらってよろしいでしょうか?」


 え? ハイヴェーラから何を言われるのですか?

 私は何も間違ったことは言っていませんよ。


 婚約者でもない殿方を名で呼ぶなど令嬢としてはありえません。

 ……はっ! もしかして赤の他人の私が偉そうにレクスと呼び捨てしていたことに対する説明をしろと言われるのでしょうか?

 すみません。それは前世の記憶に引っ張られてしまっただけです。


「何でしょうか?」

「アレクカゼエル・ジュアシルト様を呼び捨てだったと聞いております」

「あ?」


 思わず、変な声が出てしまいました。

 昔から、私のことをチビだとか、ゴブリンだとか、手がつけられない猛犬だとか散々言って、最後の最後に小さいと言ってきた侯爵令息。


 私は白い煙を吐き、心を落ち着かせます。


「確かにそのような方もいらっしゃいましたわね。しかし、そのような昔の話は別によろしいではないですか」

「ジュアシルト侯爵の二番目の子だったか。隊長の姉君の元婚約者」

「はぁ、婚約はしていません。その前に破談になっています」


 婚約を結ぼうという顔合わせの時に、私が殴ったので、婚約が流れたのです。


「なのに、仲が良かったと……」

「良くありません。よくある話ですよ。幼い頃から顔を合わせて、姉の婚約者にしようとしたことです」


 それで上手くいくパターンとそうではないパターンがあります。私の場合はうまく行かなかったというだけです。


「うらやましい過ぎる」


 レクス。私の話を聞いています?

 どこがうらやましいのですか?



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― 新着の感想 ―
幼馴染枠だったんですね。元婚約者(*´ω`*)
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