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結婚するとは言っていません【書籍化・コミカライズ化決定】  作者: 白雲八鈴


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第86話 凶器は必要ですか?

「それで、戻ってくるのが早くありませんか?」


 私は、私の客室で一緒に昼食をとっているレクスに確認します。


 これだと、行って戻ってきたという感じだと思うのですが?


「将校セレグアーゼからの報告と、クレアラズ副魔導師団長からの報告を受けて、指示は出してきました」

「……レクス。今思ったが、副魔導師団長を身内に抱え込んでいるじゃないか。わざわざムカつくグレンバーレルに頼まなくても良かったのではないのか?」


 エリアーナさんの旦那さんが、副魔導師団長でしたのなら、そちらに話を通せばよかったですよね。


「道理は通しておかなければ、後で不都合が生じてきます」


 身内だからとそちらに話を通せば、上に説明するときに、副魔導師団長に話を通すのはおかしなことではないのかと指摘されるということですか。


「それはわかったのだが、早く戻ってきた理由にはなっていない」

「隊長を怒らせた者がいると連絡が入りましたので、慌てて戻ってきたのです」

「それは誤解だったのだから、食べ終わったら騎士団に戻れよ」


 やはり連絡を入れた者がいたようですね。

 しかし、それで戻ってくるなんて、おかしくはないでしょうか?


「あとは、副団長に任せてきましたので、大丈夫です」


 ……それは大丈夫じゃないです。

 最近なにかと任せすぎではないのでしょうか?


「あと、隊長が側にいないのはさみしくて死にそうです」

「それぐらいで、人は死なないからな」

「いい間違えました。隊長の側にいないと死にそうです」


 ……言い方を変えても何も変わっていません。


「ということで、何か要望があるのでしたら、私がお聞きします」

「はぁ〜……何か違う気がする」


 それに三時間しか経っていませんけど? 何が死ぬのですか? 意味がわかりません。


「隊長。食事の手が進んでいないようですが、お口に合わないのでしたら……」

「レクス。これは美味しくないから食べていないのではない。これ以上食べるとドレスを着るときに吐くからだ」


 料理人に罰を与えるとか言われそうで、レクスの言葉を遮って昼食を残している理由を言います。


 どのようなドレスを用意されているのか知りませんが、コルセットで締め付けるのが一般的です。本当にこれが嫌で避けられるパーティーは参加しないほどでした。


「そうなのですか?」

「そういうことだ。だから、食べ終わったのだから、騎士団に戻れ」

「嫌です」


 騎士団団長がサボりとは如何なものなのでしょうか?


「はぁ。私はきちんと言ったからな、仕事が溜まっていて困るのはレクスだぞ」


 私はため息を吐きながら従騎士として団長を諌めたと言っておきます。偉そうな従騎士ですが。


「はい!」


 嬉しそうに返事をするレクスの姿に、16歳のレクスの姿が重なります。

 かわいがっていた従騎士だった頃の姿にです。


「本当にレクスは馬鹿ですね」


 可愛いと思ってしまったのは、内緒ですよ。




「死ぬ。これは死にます。ポキリと折れたらどうしてくれるのですか!」

「折れませんから大丈夫です」

「駄目でしょう! これは駄目です!」

「金属を仕込んでいますので、殿方の足をぶち抜けます」

「私の足が重さに耐えきれるとお思いなのですか!」


 何の話をアリアさんとしているのかといえば、パーティーに行くための衣装の話……ではなく靴の話です。


「マルトレディル様であれば大丈夫だと思います」


 エリアーナさんが髪を整えながら肯定してきましたが、おかしいでしょう。


「5セルメル(cm)の厚底で10セルメル(cm)のヒールまではいいです。この細いヒールと厚底にミスリルを使う理由がわかりません」


 私の背の低さではレクスと釣り合わないのは重々承知しています。だから、ヒールと厚底で誤魔化すのはいいです。

 なのにそこに金属を仕込む理由がわかりません。


「マルトレディル様の可愛らしさに、寄ってくる殿方を蹴散らすのに使っていただければいいのです」


 ……そんな殿方はレクス以外にいませんよ。

 私の噂は殺人的になっているので、珍獣扱いになると予想できます。


 はっ! これはレクスを蹴飛ばすのに使っていいと。それはとてもいい武器になりそうです。


 パーティー会場では武器の持ち込みは許されませんからね。



「隊長。準備が整ったと伺いましたが?」


 そして勝手に入ってくるレクス。それも装飾が多い騎士の礼服を着ています。


「ノックぐらいしろ!」


 思わず近くにあったいいピンヒール(武器)を手に取り投げつけました。

 レクスの横を通り抜け、扉を砕きながら廊下まで飛んでいく凶器。


「アリアさん。扉が破壊されましたよ?」

「はい。十分ぶち抜ける威力です」


 あの? 主であるレクスに向って投げたことはいいのでしょうか?


「旦那様。まだでございます。武器の威力の確認中ですので」


 エリアーナさん、武器と言ってしまっています。靴だと認めていないですよね?


「十分ですね」


 廊下からその凶器をもってハイヴェーラが入ってきました。

 それは武器としての取り扱いなのでしょうか?


 その凶器をハイヴェーラから渡されたレクスが近寄ってきました。

 そして、私の足元に跪いて凶器を履かせてきます。


 それも無言です。何か言って欲しいです。

 この凶器は駄目だとか。


「アリア。隊長が可愛すぎる。攫われたらどうするのだ」

「旦那様。氷姫を攫ってもその者は氷像になるだけです」


 私のことをどう思っているのかアリアさんに確認をしたほうがいいのでしょうか?

 あとそれだと、私は攫われていることになっていますよ。


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