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結婚するとは言っていません【書籍化・コミカライズ化決定】  作者: 白雲八鈴


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第83話 それは違う

「レクス。ちょっと黙っていようか」


 私は両腕をさすりながらレクスを睨みつける。この肌のブツブツが早く収まりませんかね。


「エリアーナさん。グレンバーレルは、力でどうにかしようとして、どうにかなったことは一度もありません。グレンバーレルの興味があることと絡めて、仕事をさせてみてくださいと言っておきます」


 私はエリアーナさんにアドバイスをしておきます。グレンバーレルにあれしろこれしろと言って、上手くいった試しがありません。

 興味がありそうな魔法のことと絡めれば動いてくれますが、グレンバーレルの采配になるので上手くいくかどうかは微妙なところになりますね。


「私のような使用人の言葉に答えてくださってありがとうございます。夫に言ってみます」


 ものすごく頭を下げられてしまった。それに何か若干、震えていらっしゃるような?


 あ、もしかして、レクスの言葉を遮って私が先にエリアーナさんの質問に答えてしまったからですかね?

 そうですね。それは私が悪かったですわ。


 そして私はため息を吐きながら、機嫌の悪いレクスを見上げます。


「はぁ、私は弱いとは言っていない。魔法に対応できないと言ったのです」

「何が違うのですか」

「取り敢えず、歩きながらでもいいですか?」


 レクスは、このあと騎士団に行かなければならないですからね。


 私はエリアーナさんに案内してくれるように頼みます。


 そしてレクスの腕を引っ張って、歩き出しました。


「例えば、魔法を扱うときどう思っています?」

「どう思うですか?」

「あ、言い方が悪かったです。魔法を使うぞという意識がありますよね?」


 魔法を使うには魔力操作を行い、発動するための呪文が必要になってきます。それが普通なのです。


「それはもちろん」

「ですが、グレンバーレルにはないのです。こうしたいと思った時点で、魔法が完了していると言えばわかりやすいでしょうね」

「発動時間がないということですか?」


 そう、何でもそうですが、行動を起こそうという予備動作が発生してきます。ですが、達人となるとそんなものがなくても行動できるように、グレンバーレルに魔法のタイムロスがないのです。


「そういうことです。次々と繰り出される魔法に、どう対応するのかという問題ですよ」


 あれは本当にまともにやっていたら死ぬと思いましたから。まぁ、私もヤル気でしたけどね。


「ベルラディル参謀閣下であれば……はっ! レクス! 何故に閣下を庭師だなんて勿体ないところに使っていらっしゃるのだ!」

「それは本人の希望なので」


 庭師でいることがベルラディル参謀閣下の希望だったのですか。しかし、しかしですね。なんと勿体ない配置ではないですか。


「何故、ベルラディルは閣下呼びなのですか?」

「何を言っている『熱雷のベルラディル』と言えば戦場の死神の一人に数えられる御仁じゃないか」


 え? 有名でしたよね?

 あ、でもレクスが入団した頃には、表には出てくることがなかったからでしょうか?


「そうなのですか? それは聞いたことがありませんでした」


 そうですよね。自分から戦場の死神とは言いませんよね。

 言葉を変えれば英雄は大量殺戮者ですから、誇れることはなにもありません。


「閣下の戦いを一度だけ見たことがあるが、私が憧れた方なんだ」

「は?」


 レクス。なぜ殺気立っているのですか?


「本当にあの戦いはすごかった」

「マルトレディル様が顔を赤らめて乙女っていらっしゃる……」

「まさに血の雨を降らせるというのはこういうことなのかと」

「内容がアレですが……」


 エリアーナさん。何を言っているのですか? とても凄いということを言っているだけですよ。


「こちらにどうぞ」


 話をしていると食堂に到着したようです。

 昨日も思いましたが、レクス一人の屋敷なのに大きなテーブルが必要なのかと。

 十人は着席できそうです。


 しかし、広いテーブルですが、食事が用意されているのは一角のみ。なんだか偉そうなタペストリーを背後にした席とその斜め前の席だけです。


 そのレクスの斜め前の席に着席しました。


「それで、隊長はベルラディルとどういう関係で?」

「ん? 私がただ単に憧れていただけだ。戦争を少しでも早く終わらせるためには、その域まで達さなければならないとな」

「戦争を……」

「そうだ。私のような……フェリランのような子供を増やさないようにだ」


 私は笑みを浮かべて言います。

 昔はこんな豪華な料理も食べられませんでしたし。


 私の前には朝食というには豪華な食事が並んでいます。

 朝から、こんな豪勢な食事はマルトレディル伯爵家でも出たことないです。


「主神エリアス様の恵みに感謝いたします」


 神に祈りを捧げ、朝食をいただきます。

 そこまで信心深いことはありませんが、騎士は教会所属ですからね。普通に神にお祈りぐらいします。


「ん? レクス。食べないのか?」


 レクスを見ると、朝食に手をつけずに何か考え事をしているようです。


「先程の話ですが」


 どの話のことでしょうか?


「ベルラディルに勝つことができれば、グレンバーレル魔導師団長に勝てるということですよね」

「違うからな」


 それとこれとは違います。今のベルラディル閣下はご老人ですからね。

 指導をしてもらうにはいいかもしれませんが、剣をむけるのは違いますよ。



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― 新着の感想 ―
団長は最終話の一年後には治ってるんだろうか、いや多分来世でも治ってないな
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