loss time
シンシアたちが戦っていた一階上。彼女たちがアレスたちを倒す随分と前の話。
ジャックとアキヤマは階段を登り、一階上へとたどり着いた。そこには、見たことのない様子の、見たことのある人物が立っていた。
「アリス……!? なのか?」
俺はそう聞いたが、アリスは首を30度ほど傾けて、ケタケタと笑っている。水色を基調とした服には変わりないが、以前のドレスとは違い、随分と露出の激しい服に変わり、透き通るような白い肌には黒い紋章が浮かび上がっている。
男子とは思えん透明度。って言うのは置いといて。
「おいおいアキヤマ。あいつはお前の知り合いか?」
ジャックはこそこそと俺に聞いた。
「ああ、一応」
「そうか。なら悪いが。あいつは手加減して勝てる相手じゃないみたいだ」
ジャックは珍しく真剣なトーンでそう言った。
「どういうことだ?」
ジャックは「あいつはおそらく……」と返した。その瞬間。
アリスは跳躍し、襲いかかってきた。襲う相手はなぜかジャック。
俺の方が知っているはずなのに。いや、知っているからなのか?
ジャックはアリスの拳を手で受け止めると言った。
「アキヤマ! お前は先に行け!」
ジャックはアリスを引きはがしながら言った。
「すまない! 任せていいか?」
「貸しだぜ? ガハハ! ……お嬢ちゃんを……救ってきな」
俺はその瞬間ジャックに背を向けて走り出した。ジャックが背に預けていた大剣を抜いたのを見届けると、俺は登り階段へ一直線に向かった。アリスは俺を追う様子はなく、ジャックに一目散に攻撃を仕掛けていた。
「悪いが、アキヤマ。こいつは殺さねぇと止まらない奴だな」
ジャックがそう呟いたのを、俺は聞き取ることができなかった。
俺はさらに一階上へと階段を登っていった。




