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magi code  作者: ロジカル和菓子
1章 始まりの街、ルクス編
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深い森の洞窟④終

 ギガプニリンは巨体な分移動速度は大したことないので、これまで避けきることができた。


 アイラと自分の方にギガプニリンの巨体が近づいてくる。決死の攻撃のチャンスを狙って攻撃が当たらないギリギリのところまで引きつけた。


「いくぞ」


「わかったのです」

 俺はリュックからあるものを取り出した。


「いまだ!!!」


「ウインドルム!!! なのです!!!」

 アイラの手から暴風がギガプニリンの方に放たれると同時に、リュックから取り出したあるものの中身をぶちまける。


「ラン!!!」

 俺はアイラの隣から火の魔法陣を使い、暴風に火の玉を放つ。すると、放たれた火の玉は暴風とぶつかるやいなや、轟々と燃え広がり、巨大な炎の渦と化した。


「やった!! 成功だ!!!」

 放たれた炎の渦はギガプニリンを包み、ドロドロの巨体は焼き焦げて、動かなくなった。


「アキヤマさん……やったのです!!!!」


「ああ!!! やったようだな!!!」


 思わずアイラと抱きしめあって生きてる喜びを噛みしめる。


「「はっ」」

 二人して抱き合っていることに気づいて照れてすぐに離れた。


「それにしてもさっきの、どうやったのです? 見たことのない現象だったのです」


「油だよ」


「油……なのです?」


「ああ、油。料理なんかに使うだろ?」


「使うのです。で、あれがどうしたのです?」


「油を風に乗せて飛ばして火の玉で発火させたんだよ」


「発火? なのです?」


 アイラはまだピンとこないようだ。


「ああ。油はよく燃えるだろ?」


「??」


 まだピンとこないのか。


「詳しい説明は後だ。プニタローを連れて早く出よう」


「それもそうなのです」


 プニタローのダメージが心配だ。プニタローに近づいて抱き上げると、気がついたようだ。プープーと鳴き声をあげるが元気がない。


「お前の親のことは残念だったが、こうするしかなかったんだ。許してくれ」


「プー……」


 プニタローは元、親だった焦げたものを見て、しょんぼりと鳴いた。元気のないプニタローを抱え、外に出ようとする。ギガプニリンは出口付近で事切れていたので、そばを通らなければならなかった。俺は焼き焦げた巨体を横目に、出口の扉を開いた。


 その時。


 ギリギリで絶命していなかったのか、最後の力を振り絞ってギガプニリンが会心の攻撃を仕掛けてくる。押しつぶそうと巨体が宙に飛んだ。上から降ってくる巨体を見ながら、俺は出口に一番近かったアイラを出口の向こうに突き飛ばした。


「アキヤマさん!!!」


 巨体が真上に迫ってきている。時間を長く感じる。これが死ぬ間際の走馬灯ってやつか。そんなことを考えながら、これまでの人生を一瞬なのに永遠のような時の中で振り返った。向こうでは何も成すことができなかった俺だけど、こっちにきてからはやり直せるんじゃないか、なんてそんなことを思っていたりもした。でも結局何も成せなかったなぁ。


 いや。……女の子を一人、救えたか。この世界に来て最初に俺のことを助けてくれて、心配してくれた猫耳の女の子。


 あの時の恩、いま返せたよ……。異世界まで来てなし得たことが女の子一人救うだけか。十分だ。そう思った。


 ふと抱きかかえていたプニリンを見る。ああ、お前も出口に投げりゃあ助けられたのにな。すまんが一緒に心中してくれや。そんなことを心の中で思った。もちろん言葉を発する時間はない。


 届くはずもない声。しかし、永遠のように思える時間の中で確かに聞いた。


「あのひ、ぼくをタスケテくれてありがとウ。ニンゲンなのにぼくのことをかばっテくれテ、ほんとうにウレシかったヨ。これはぼくのおとうさん。せきにんハ、ぼくがとるよ。きみがシぬひつようはないヨ。おとうさんがニンゲンにつれていかれてカラ、ぼくはずっとヒトリぼっちだった。きみははじめてのトモダチだったヨ。チョットのあいだったけど、いっしょにタビができてたのしかっタ。アリガトウ・・・」


 次の瞬間、すごい力で自分の体が出口の方向に吹き飛ばされるのを感じた。アイラを飛び越して壁に叩きつけられる。プニリンが必死の力で俺を弾き飛ばしたのだ。


 ぐちゃり……


 ……


 ……


 出口だった扉は焦げた巨体で埋まってしまっている。そしてその下からは、プニタローのものと思われるおびただしいほどの青い血が流れ出していた。


「うわああああああああああああああ」

 思わず大声で叫んで、手で顔を覆い、声を出して泣いた。


「アキヤマさん!!」

 アイラが駆け寄って、抱きしめてくれる。しかしアイラも涙を流している。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 ひとしきり声を出して泣いた後、泣き止むまでアイラは抱きしめ続けていた。かっこ悪いな、俺。年下の女の子に慰めてもらうなんて。でもずっとこうしてもいられないよな。

「アイラ、行こう。サラのところに帰ろう」


「そうなのです……」


 まだサラの家まで帰らなくてはならないのだ。それにここもいつ魔法教会の者が現れるかわからない。どちらもほとんど魔力を使い果たした状態だった。


 瘴気の元凶を倒したことで、洞窟から広がっていた瘴気は霧散していた。洞窟の外に出て、サラの家に向けて歩き出す。魔物が襲って来たらどうしようもないなと思っていると。・・・空から巨大な飛行物体が舞い降りた。


「おーーーーい!! 無事か!! アキヤマくん!! アイラくん!!!」


 鋼の鱗に銀の翼。それは、ドラゴンと呼ぶにふさわしい容姿だった。その上に幼女が一人。……サラだ。


「さすがに魔力切れだろうと思ってね、迎えに来たよ」


「これるなら……さっさと来いよ、ばか……」


 完璧なタイミングで現れたその姿に、俺はホッとして気を失った。







 ……背中に3人を乗せると、ドラゴンのような生物はふたたび羽を広げた。



「ばかとはなんだ、ばかとは。全くきみは。ふふ」

 サラはアキヤマの髪を優しく撫でる。


「アイラくんもお疲れ様。しばらく休みたまえ。ってもう意識を失っているね……」

 アキヤマを撫でている逆の手でアイラの耳をフサフサして空を見上げる。

「全く外に出るつもりなんてさらさらなかったのに……心配でついつい出て来てしまった。出るならもっと早く出て来てあげればよかったね。何があったかはわからないが、あの魔物も死んでしまったんだろう。辛い思いをさせてしまったな。すまない……。もう出不精を装うのも終わりにしなければいけないのかもしれないね……」


 サラはそうひとりごつと喋るのをやめ、三人を乗せたドラゴンはサラの家へと飛んで行った。


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