幕間 ~Kiribayashi’s story~
「んっ・・・・・・はぁ」
目の前ではクラスメートが橙色の球を打ち合っている。といっても、大したスピードではない。所詮は初心者同士の試合だ。得点だってどちらかが打ち損じて入るといった感じ。見ていてイライラしてくる。なら見なければいいのだけど。
「やった♪」
「あぁ~ん」
と、相手のへなちょこサーブを打ち損じたクラスメートが、そこでマッチポイントを獲られて負けた。もう終わってしまったのか。
今私は、球技大会の中で最も地味と言われる競技。卓球の試合中。五人が一回ずつ試合をして、その勝利数を競う団体戦だ。
私は立ち上がり、クラスメートからラケットを受け取る。さっきからクラスメートと言ってるだけで名前を言わないのは、単に憶えてないから。名札を見ようにもゼッケンで隠されてわからないので他に言い様がない。
相手チームの選手がラケットを構えると同時に私も構える。サーブはあちらから。
「えいっ」
カコンッ、という音と共に放たれたサーブは、やはり初心者らしくへなへなとしたものだった。あー・・・・・・これ思いっきり打っていいの?
「っ!」
カコンッ、と、基本のフォアハンドで打ち返した。一応相手が初心者ということで、手加減して打った球は、相手コートを跳ねた後に相手選手の額にコツーン!と当たった。
「・・・・・・・・・・・・え?」
何それ何で何でなんで?ここにだけ笑いの神様でも降臨したの?
『あはははははっ』
周囲がどっと湧いた。なんか可哀想だよ相手の娘。
「あははは・・・・・・」
ほら、苦笑い。
審判が再開を促し、再度相手から放たれたサーブは、私の手によって無情にも打ち返されるのであった。勝負の世界になんとやら。ってね。・・・・・・もう帰りたい。