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球技大会 ~BⅡ~
校庭の隅。植えられた木の陰に、白衣に身を包んだ姿がぽつりと佇んでいた。
彼の名は遠藤征竜。この学校の化学教師である。
彼が何故、このようなじめじめした場所にいるのか。それは、彼が纏う雰囲気が普通のものでないことに誰も気づいていないことからも、身を隠すとかそういった目的であることが推測できる。
彼は見ていた。じぃっと、ねっとりとした視線を向けて、ただ一人の女子生徒をずぅっと見ていた。
彼が見ている少女の名は、岸田由美子。黒いセミロングの髪に眼鏡を掛けた、一見地味そうな娘なのだが。今日のような体操服姿だと雰囲気が一気に変わる。
普段は制服で隠されている大きな胸と、白くて細い美脚。グラビアモデルのような肉感的な身体が惜しげもなく晒されているのだ。当然男子はガン見する。ついでに眼鏡を外しているので地味オーラが半減しているのでそれもいい塩梅だ。
それにしても遠藤の視線はいやらしいことこの上ない。あぁぁ、汚らわしい。
と、岸田由美子が集団から離れ、校舎の方へと歩いてゆく。遠藤はそれを躊躇いなく追いかけた。