エピローグ
結局、事件は公に晒された。
岸田の両親が、警察に通報したのだ。
俺も事情聴取を受けてそこで遠藤―――白衣の教師と、岸田のことを話した。俺と岸田の証言で、遠藤が犯人であることは容易く推測出来たが、証拠不十分と未遂ということもあり、遠藤を送検することは叶わなかった。
一方、学校内では遠藤を性犯罪者とみなす雰囲気が既に構築されていた。あの大根女が言いふらしたのだろうか。
遠藤はその雰囲気に限界を感じたのだろう。終業式の日。『家庭の都合』を理由に、自ら教職を辞した。
騒動が過ぎ去り、俺は夏休みを迎えた。
俺の通うこの県立高校は、一応は進学校である。なので、進学希望者は夏期講座に強制参加させられる。そして、我がクラスは全員が進学希望者とのこと。もう暫くは本当の意味での夏休みは始まらない。
そんな夏休み。俺は相変わらず一人でいる。寧ろより遠ざけられるようになった。どれぐらいかというと、あの澤村が人気の無い所でしか話しかけて来なくなったぐらいだ。みんな、俺には「関わらない」ことが正解だと気づいたんだろう。
そうさ。こうして俺は縁を断ち切っていく。
時に我儘で、時に詭弁で。
時に正論で、時に忘却で。
俺は、一人になっていく。
別にそのことに大した感慨は無い。寧ろ特別扱いされてるみたいで、ちょっとした優越感さえ感じている。
俺に人類補完計画は必要無い。
俺は誰よりも精神的に自立している。俺はそんな自分が誇らしい。
なのに、何故だろう。
桐林の視線を感じるたびに、何処か不安を感じるのは。




