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Silens&Silentia シレンス・シレンティア  作者: 宮本葵
第一章「Silensとの出会い」
10/20

ep.7 “入隊試験編I”

過去最長です。疲れました。

 GW二日目の早朝、和也と慎二には申し訳ないが、こっそりと寮を抜け出して、Silens本部へと向かう。一応置き手紙は置く。「食事はいらないから大丈夫。ごめんだけど、二人で頑張って。」と。


「なあ、蒼。緊張してるか?」

「まあ、過酷な訓練だってことは桐生先輩から少し教えてもらったし。」

「俺も指揮官に言われた。死ぬ気で挑めってな」


 小走りで、本部へと向かっていると、岩城さんと中村さんが本部入口前にいた。


「おはよう。」

「おはよう、宮本くん、神山くん。今、岩城さんが対処しているんだけど、ドアが開かないらしいの。」

「「え!?」」

「あ、蒼くん、優斗くん、おはよう。なんかね、エラーが起こってるんだよ〜」


 カードキーをかざす画面にはsystem errorの文字が。


「システムエラーって…。何か重大なことでもあったのかな?」

「多分ね。中にいる人じゃないと多分開けられそうにないし、どうしよっか。」


 Silensの人たちが持っている通信機もない僕たちにはどうしようもないことだった。そして、中村さんが言っていた“対処”が斜め四十五度に叩くと言うものだったから尚更だ。

 二十分間、僕たちは先輩たちによってドアが開けられるまで足止めされていた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ごめんね、君たち。システムエラーが解消しなくて、色々忙しかったから忘れてたよ」

「まだ時間前ですし、大丈夫ですよ。それよりも、システムエラーって何があったんですか?」

「まあ、気にするな。ほら着いたぞ。ここだ。他のみんなは通達を聞いているからもう着いてるよ。君たちは少し出るのが早かったようだな」


 銃撃訓練場と書かれた扉を開く。すると、すでに僕ら以外は全員集まっていたようだった。


「すまんな、通達が遅れて。整列しておいてくれ。俺は準備を始める」


 片浜指揮官はそう言って、何やら、パソコン操作を始める。僕先頭で整列をし、その場で待機する。


「よし。これから、君たち二十人には、銃撃の訓練をしてもらう。午前はとにかく基礎練、午後には、模擬の戦闘が出来るくらいにはなってほしい」


 銃撃戦。最初からこれがくるとは…。


「すみません。体力テストとかはやらないんですか?」

「別に君達は強いから集めているんだぞ。もう大体のデータは取れている」


 ぱっと見て弱そうな子でも結構強いのかな?


「質問はないか?よし、使用する銃についてだが、初心者だからまずはゴム弾タイプの銃を使用する」


 使うゴム弾はスポンジであたっても痛くないらしい。試しになぜが僕が撃たれたが、あたった感触があるだけで痛くなかった。初めは的に当ててとにかく命中率を上げることを重点的にやるんだが…。


「ムズいな」

「僕は当たるけど」

「私できない〜」


 様々だった。A組は銃が下手だったと言っていた岩城さんも含めて全員上手かったが、それ以外がなんとも言えない状況。


「もっとちゃんと構えろ。スポンジが柔らかすぎて落ちるなんて言い訳はできないからな」


 そう言って、指揮官は何発もぴったり真ん中に当ててしまう。訓練でこれでは試験はもっとやばいんじゃないか。多分そんなことをみんな思っていただろう。


「蒼くん、どうだった?」


 まだ一時間しか経っていないが、一旦休憩となった僕らは、四人で集まって雑談していた。


「まあまあかな。岩城さんはどうだった?」

「いい感じだよ!銃苦手だったんだけどね〜、指揮官が教えてくれたらできたんだよ!休憩終わったら攻撃力のあるゴム弾を使ってもいいって言われたもん」

「俺も言われたぜ」

「私も言われたわ」

「僕も…」

「あれ?」


 自信満々に自分だけだと思って言っていた岩城さんは赤くなって、ちょっとお手洗いにと言って去ってしまう。


「それにしても、他のクラスは結構下手くそ…」

「中村さんやめてあげて〜」


 たしかに、なぜか銃撃はA組だけダントツだった。ゴム弾の変更を言われたのはA組全員とB組一人だけだった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 その後も結構悲惨な状況だった。先生に怒られている人もいたが、それよりも、撃ち方がまずなっていないのか、ちょっと下手くそだった。それでも、少しずつ他のクラスの人たちも上手くなっていく。

 いい感じになってきたところで笛の音が鳴り響く。指揮官がやめの合図を送る。


「じゃあ、一旦昼休憩にする。」


 ようやく昼休憩。弁当が配られた。クラスごとに食べているが、なんだか、他のクラスは元気がない。


「なかなかに凄かったわね、指揮官」

「流石にあれやられたら怒るもんね」


 先ほど、当たらなくてイライラした一人が、指揮官に向かって、攻撃力がある方のゴム弾を撃ってしまったのだ。ヒョイとかわしたかと思えば、説教が始まってしまったのだ。


「けど、ようやく、みんな慣れてきた頃だしさ。午後の実戦楽しみじゃない?」

「私は負けないから」

「いや、誰と戦うか分からないでしょ」

「本当の戦闘でもそうでしょ。宮本くんは分かってないかもしれないけど、味方か敵かは本当に分からないんだから」


 何やら意味深のことを言っているが、その時の僕には全く何を言っているのは分からなかった。敵は敵、味方は味方という概念を持っていたから…。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 食事も終わり、実戦が始まろうとしていた。クラス対抗、当たったら少しの間気絶するという特殊な電気銃を使用して、当たったら失格。ただそれだけの戦闘だ。別の訓練場を使用することになったが、そこには森林が広がっているようだった。


「森林の中での戦闘を行う。別に汚してもいいが、あとで片付けるのはお前らだからな」


 要するに、あまり激しいことはするなということだ。


「では各配置に着いたら始める。この無線を各チームに配布するから、これを上手く使え。クラスごとにバンダナの色も違うからそれで見分けてくれ。ルールは相手に怪我を負う危害を負わせない、ただそれだけだ、あとは自由。好きにしてくれ」


 先生から無線、バンダナと一緒にもらった配置図をみながら移動する。


『よし、大体配置についたな。それでは始めっ!』


 先生の無線での合図が出て、各配置からスタートする。


『蒼くんは私と一緒にB,Cチームを、玲奈と優斗くんはD,Eチームを狙って進んでっ!』

『『『了解』』』


 僕らはペアに分かれ、行動を開始する。岩城さんは指示するのが得意なのか、結構チームをまとめてくれる。

 早速Bチームが奇襲を仕掛けてくる。木の上から飛び降り、こちらに向かって撃ってくる。


「ごめんよ〜、君たち。ここは俺らBチームが勝ってあげる」

「そうなるかが楽しみだな」


 パシュ、パシュ、パシュ。銃撃戦が繰り広げられている。


『木の上には二人、地上には二人て言う感じでいるみたいだね、蒼くん』

『だね、ちょっと避けるの大変かも』

『じゃあそっちは任せたからね。私は木の上の方を倒すから』

『了解』


 岩城さんには一旦木の上にいる二人を倒しに行ってもらう。


「いい腕だね、君。名前聞いてもいいか?俺は古川俊哉だよ」

「宮本蒼。それよりも君、もうそろそろ、弾が尽きるんじゃない?」


 電気銃の弾は使いやすいけど、だけど充填に時間がかかる代物。だから、僕は先程から当たると思った時にしか当ててないが、古川はどんどん当てに行っている。


「そうか、そうか。君、それを知って…。俺が試験受かったら是非ともバディにしたいくらいだな」

「そうか。楽しかったよ、銃撃戦」


 こちらの弾が無くなったことを見計らい、銃を撃ってくるから、その隙を見て残してあった最後の一発こちらに撃ちこむ。と言うのが相手の考えだと認識する。弾数的にあと数発くらい残ってるはずだからね。そこも後のことを考えてと言うことか…。残念だけど、古川には当たってもらわないといけないんだ。

 足に全力を入れて、思い切り、相手の方へと走る。と言うより飛んで、後ろに回る。


「え?何が…」


 パシュ。一発。その一発だけをすぐに打ち込み、倒す。そして、僕の後ろから密かに忍び寄るもう一つの存在にも気づき、後ろに向けて銃を撃つ。


「くそっ…」


 これで二人仕上がりだ。後の二人はと言うと…。


『全滅だね、蒼くん。あとはCを探さないとだね』

『その前に合流しなきゃ』


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


『そっちにDの一人がいっちゃったみたい。対応してくれる?』


 岩城さんと合流したあと、中村さんから無線が入る。Dの一人が逃げたらしく、どこかに潜伏しているらしい。


「じゃあ、どうする?蒼くん?」

「どうしようか」


 といったところで、全体に無線が入る。


『開始十五分経過だ。BチームはAチームによって全滅、Cチームは一名がEチームによって脱落、EチームはAチーム、Dチームによって三名の脱落だが、一名が潜伏と言う状況だ。A、Dチームはまだ一人も脱落者はいない。情報は以上。できれば短期戦にしてほしい』


 僕らが倒すべきはCチームの三人と逃げたDチームの一人。どこにいるのかがわからない。ひとまずは…。


『中村さん、優斗。ひとまずは全員集合しよう』

『人数増えたら人目につくし…』

『だからこそだよ。誘き寄せるんだ』


 この部屋の中心。ちょうど森林が少し開けているような場所で集合する。


「あの放送の後、Cチームはもう一名脱落した。残り敵は七人と言うところだ」

「Dチームが謎に強いのはなんでだ?」

「実戦でこうなることを予想してあえて舐められるようにした…。とかじゃない?」

「多分そうね。でもやっかいなのは、あっちも集団で行動してること。一気に全員集合は逆に厄介だ…」


 パシュ。この音が聞こえた一瞬で、四人全員の警戒心が高まる。銃を構え、周りを見る。銃は、優斗の少し先を通って行っていた。と言うことは…


「ここか!」


 パシュ、ドン。一人が倒れた音がする。残り六人か?まだ当たったとはわからない。


「みろ、あれを…!CとDが一緒になってきているぞ」


 見ると、協力関係を結んだのか、CとDが一緒になってきている。


「ふっ、最強っぽかったAチームもここで終わりだな。本当の最強のDチームに負けるがいい」


 パシュ、パシュ、パシュ。銃撃戦が始まる。どちらも譲らない状況。右や左に掠めそうになるが、それを避けながらも対戦する。


「ははは!面白い。銃を扱ったこともない奴らがここまで強いとは。いいぞ、もっとや…」


 パシュ。Cチームの奴が、Dチームのリーダーっぽいやつを撃った。裏切りだ。CとDでの撃ち合いが始まる。


「協力関係を結ばなければよかったのに…。くそ、リーダーいなかったら終わりだ…ぁ…」


 あっという間にCが一人だけ残ると言う状況になった。


「馬鹿みたいだなぁ…。こんなことしちゃってぇ。何をしてるんだろぉ…」


 最後に残った少女はそう呟いてからこちらに向かい、銃を向ける。


「ごめんねぇ。君たちと本当は戦いたかったけど、無理そうねぇ。だれか、そっちのチームの強い人一人と早撃ち合いが対決をして終わらせたいわぁ。勝っても負けても私はギブアップ、これでいいでしょ」


 早撃ち対決。早撃ちだと、こちら側は強いのか分からないけど…。


「私がいくわ」

「中村さん、行けるの?」

「ええ、多分。確率は低くても、やってみないことはないじゃない。相手はもう降伏状態なんだし。何かあったら三人で頑張ってね」


 そう言って少女の前に立ちはだかる。


「名前だけ聞いておきたいわ。私は中村玲奈」

「私は、桔梗紗奈よぉ」

「そう。撃つタイミングはどうするの?」

「あの人に決めてもらうよぉ、宮本くんだっけぇ?」


 僕の名前を何故知っている…?僕らの会話の中で知っただけか…?


「うん、じゃあいくよ」


 二人が銃をお互いに向けて構える。中村さんは斜めに、顔に接触するギリギリくらいのところで、銃を構える。対して、桔梗さんは腕をピンと張らせ両手で銃を構えている。


「始め!」


 パシュ。ほぼ同時でどちらかが早いかもよく分からない。ただわかったのは、ギリギリで中村さんは弾を避け、桔梗さんも同じように避けた。ただそれだけだった。


「あ〜あ、面白かったぁ。じゃあ、私は自害と言うことでぇ」


 パシュ。自分で自分を失神させた。これによって勝負は決まった。なんだか中村さんは嬉しそうではないけど。


『Aチームが勝利だ。目を覚ました奴とAチームはとっとと俺のところへ来い。他は気にしないで放っておけ』

『了解、今から向かいます』


 そうして、Aチームの完全圧倒勝利で終わったのであった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 夕飯も用意してくれるこの組織。試験はまだ始まったばかり。と言うよりかは、まだ訓練の最中だ。ゴールデンウィークも昭和の日から始まったばかり。まだ四月三十日なんだし。


「試験は一週間後の五日と六日だ。それまでに訓練をしっかり行え」


 と言って指揮官はどこかへ消えてしまう。A組の四人と一緒に食事をしていると、後ろから声をかけられた。


「宮本蒼くんだっけ?さっき戦った俺だよ、古川俊哉」

「あ〜、さっきの」

「その…、これからもよろしくな、未来のバディ!」


 そういって右手を差し出してきたので、僕も右手を差し出す。


「俊哉って呼んでもいい?」

「いいぞ、蒼」

「俊哉、さっきの銃撃戦楽しかったよ。また、戦えると嬉しいよ」

「こっちはお前に味方になって欲しいんだがな」


 そうして、僕に他クラスの友達ができたのであった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ただいま」

「お、帰ってきたぞ!」


 もう二十二時を周ると言うのに、二人は起きていた。結局ちょっと荒い戦い方をした人がいて、設備に不備が出ていたところがあったので、全員協力で片付けをさせられた。下っ端と言えば、下っ端なので、こう言う雑用はしょうがない。それで遅くなったのに…


「お前ら二人、疲れた顔してるぞ〜」

「遅くまでよく頑張ってたな、はいコーラ」


 なんだか二人が優しい。


「ごめんよ、このあと七日間くらいずっとこんな感じだけど、ごめんね」

「大丈夫だよ!こっちは二人で頑張ったし」

「?」

「こっちきてみろ!」


 連れられて、奥へ行くと、何やら大きな物が。


「家に置きっぱだった自作PC。壊れてたから頑張って直してたんだよ。これでゲームみんなでしたりできるぞ」

「お〜!」

「蒼は自分のノートPC持ってるし、優斗はタブレット、和也は自作PC、俺は携帯ゲーム機って事だな」


 遊びの幅が広がって嬉しい。まあ、部屋が狭いので、人狼系のゲームは覗き込んでできてしまうだろうが。


「GW明けた後に一緒にやろうぜ」

「いいじゃん!やろやろ〜!と言うか今から…」

「優斗、明日もあるんだからね…」


 こうして長い訓練の一日目が終わった。

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-著者 宮本葵-
茨城県南部出身。中学2年生。鹿行地域とは違ってメロンをたくさん食べれないところに住んでいる、メロン好き。バナナも好きだがやはりメロン。最近、つくばの祭りに行った際、メロンが入ったメロンソーダに目を引かれてしまい、購入。めちゃくちゃ美味しかった。

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