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剣豪の復讐物語  作者: 大土 土人
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2話 転生者の才能

 ある日のこと、クリフォードは今日も窓の外をぼーっと眺めていた。まぁ、外で遊んでいる子供たちを見ているのだが。

 すると、ドアをノックする音が聞こえた。


「失礼します。クリフォード様。さぁ、適正魔法を調べに行きますよ」


 入ってきたのは男か女かわからない、どこにでもいそうな顔の大人、ムワナ・ワ・ムルンジュこの家のメイドと言うことになっている。今は、両親ともに、仕事で王都にいるので、家にいる大人はムワナだけになる。だが、ムワナは今でも、男か女かわかっていない。

 適正魔法とは、主に6つある魔法の中で、最も得意な魔法のことを言う。大体の人は、適正魔法が2つほどあるらしい。そして、適正魔法を調べるには、特別な機材が必要で、その機材があるのは、ギルドと呼ばれている場所だ。

 ギルドとは、魔物や鬼の素材を売ったり、依頼などを受けられる場所で、食事なども出来るらしい。


「…はい」



 というわけで、ギルドにやって来た。やはり、冒険者が10数人いるが、剣を持っている人は1もいなく、杖などを持ってる人がほとんどだ。そこは、魔法絶対主義の国と謳ってるだけはある。ただし、クリフォードのように魔法を撃てない者には優しくないのだが。

 適正魔法を調べる機材は、木の板にガラスをはめ込んだような見た目のものだ。そこに利き手を当てるらしい。クリフォードの利き手は右手なので、右手を当てると、ガラスに文字が浮かんでくる。


 -----------------------------------------

 名前 クリフォード・クルニス

 年齢 7歳  レベル 3


 筋力 80

 体力 60

 物理耐久 65

 敏捷 70

 魔力 50

 魔法耐久 100


 能力 言語理解

 -----------------------------------------

 と、書かれている隣に6角形のグラフ、エクセルが描かれていて、それぞれの頂点に、火、水、氷、風、雷、回復、と書かれていて、火と雷の部分が申し訳程度にある。

 レベルとは、ゲームのように魔物を倒してレベルが上がるのではなく、経験でレベルが上がるので、家から出ていないクリフォードでも、毎日のようにフェルトから魔法を撃たれているので、多少レベルが上がっているのだ。ちなみに、レベル1の平均値は、50ほどで、レベルに上限はなく、今までの最高レベルは150レベルとなっている。


「数値は、レベル3にしては高いですね。適正魔法は、すごい低いですね。火と雷は初級魔法を放とうとしても暴発してしまうほど低いです。その他の魔法は、暴発すらしません。この程度だと、剣に魔法を纏わせるせるのが関の山ですね。回復速度が異様に高いので、回復魔法が適正魔法だと思っていたけどそうではないのですね。あと、この能力値ならば、『身流』との相性がいいですね」


 と、ムワナは冷静に分析する。

 身流とは、魔力を魔法以外の方法で使おうとして生れたものだ。身流は、才能ある無しに関係なく、血のにじむような努力をすることで使うことが出来る、いわば、身体力強化のようなもので筋力や、耐久を強化することが出来るものだ。


「剣に魔法?」


「はい、剣に魔法を魔法を纏わせます。これは、剣士がよく使いますね。ですが、この国では邪道ですが」


 やはり、魔法絶対主義の国では剣を使うこと自体が邪道なので、纏わせることも邪道になり、リスクがあるが、クリフォードの心を揺さぶるにはこれで十分だった。


(でも、外出しちゃダメなんだよなぁ それと、刀もこの世界には無いしなぁ)


  そう考えていると、


「あと、今日から自由に外出して良しとします」


「えっ、いいんですか!」


 それは、クリフォードにとって衝撃だった。クリフォードは外に出るなとしつこく言われており、外出すると1週間ろくに食事をとらせてもらえないことがあったので、こんなにあっさりと自由に外出できるのだから驚かないはずもない。


「はい。では、家に帰りますよ」



 今、クリフォードは自分の部屋で座禅を組んでいる。

 何故、座禅を組んでいるかと言うと、身流の練習をしているのだ。

 身流は、その名前の由来となった、身体に魔力を流す、つまり、身体に魔力を巡らすことがキモとなるのだが、その魔力を巡らすことが驚くほどに難しい。この動作を出来るようになるために、数か月は要する。

 もちろんクリフォードも身流はできていない。


「あ~、やっぱり魔力がすぐになくなるな」


 そう言いながら床に倒れ込む。

 身流の何が難しいのかと言うと、魔力を体の外に放出してはいけないのだ。もし、魔力を放出したままでいると燃費がすこぶる悪くなる。そうすると、すぐにクリフォードのように魔力枯渇を起こす。

 普段、魔力は魔法を撃つために使うものなので、魔力を放出してなんぼなのだ。それを、体の内側で巡らせ続けるのだ。

 身流は、極めれば極めるほど奥が深くなって、使える技も増えてくる。例えば、部分強化や装備強化などがある。

 部分強化は、身体力を部分的に強化する技だ。これはあまり難易度は高くない。

 装備強化は、身流を装備品にも施し、装備品の威力や耐久力をあげるを上げる技だ。この領域になってくると、行える者は世界に千人いるかいないかぐらいになってくる。

 クリフォードは今も床に寝転がって「どうすればいいんだ~」と言っている。そこで、ふと、地球にいたころの記憶を思い出した。『呼吸は何事にも重要だ。剣術はもちろん、私生活の中でも使えるからちゃんと使えるようにしとけよ』という父の言葉だ。


「呼吸か~……よし、呼吸を意識してやってみるか」


 今度は呼吸を意識して身流をしてみる。すると、魔力の流れが安定して、魔力が外に放出する量がものすごく減った。といっても、まだ完璧にはできていないので、練習は必要だが、この短時間でこれほど身流を習得したのはクリフォードぐらいだろう。




 


 

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