殲滅部隊2
建物内には、数百人の隊員達が休んでいた。
居心地の良い休憩所には、美しい花が飾られ、中央には巨大な水の水晶が設置され、大量の水が流れている。
水路の周りには花が植えられ、天窓から光が入っていた。
「アテイシア隊長」
支援部隊にいる隊員が走ってくる。
専用の紅い椅子に座って、補佐官と補佐に囲まれているアテイシアは、隊員を見た。
「何かあったか?」
「総隊長がこちらに来るそうです。新人の補佐の方々も連れてて来るので、くれぐれも頼む。とブルトラン第一補佐官から連絡がありました。正確な時間は、後で連絡するそうです」
「そうか!ご苦労だった。行っていいぞ」
隊員は頭を下げてから、元の場所に戻って行く。
アテイシアは嬉しそうに笑っていた。
「久しぶりにドミトルに会えるな。しかも自分の補佐を連れて来るなんて、面白いじゃないか」
「出迎えなければいけませんね」
「そうだな。気合が入ってきたぞ」
ファレスに答えたアテイシアは急に立ち上がると、大声を張り上げた。
「緊急報告だ。皆、聞け!!」
慣れているのか、隊員達は冷静に声の聞こえた方向を見る。アテイシアが拳を振り上げて叫んだ。
「ドミトルのヤツが、この場所に来るぞ!!」
そう言うと、皆が盛り上がる。
八割女性なのだが、野太い声が行き交っていた。
「おぉぉぉぉぉ!総隊長!!」
「待ってました!」
「ドミトル総隊長!!」
拍手やら、口笛やらが飛び交う。一番の盛り上がりを見せていた。その隊員達の姿にアテイシアは満足する。
「しかも補佐も連れて来るそうだ。行儀よくするんだぞ!新人に近づいた者は、どうなるか分かってるだろうな?」
そう脅すが、怖がる者はいなかった。
「新人を怯えさせちゃいけねぇだろ!!そんなヤツはぶっ殺せ」
「女が多いんだ。優しい心と、清楚な姿を見せてやろうぜ」
「じゃあ、てめぇは独房にでも入ってろ!無理なんだよ」
「あはっはっはっ。言えてるよ。あんた、顔、怖すぎなのよ」
「あたくしぃ、怖くないですわぁ」
胸の前に手をやり、クネクネと体を動かす。
あちこちから、行儀の悪い笑い声と、演技している声が聞こえていた。
「邪魔したら、逆さにして崖にぶら下げるから、覚悟しとけよっ。分かったな。返事は!」
「「了解しました」」
「じゃあ、休憩も終わりだ。今から現場に戻って交代するぞ。各自、準備して転移陣に入れ」
アテイシアは顎を上げると、自分の核がある頭に拳を当て、誓う。
「ドミトルに勝利を!」
「「勝利を!!」」
皆も頭に拳を当てた後、一斉に立ち上がると、奥の転移陣に向かった。
残っている者達も、それぞれの場所に散って行く。
「久しぶりに友に会えるのか。楽しみだなぁ」
アテイシアは城のある方向を向いた。
その後ろから、ファレスが声をかける。表情は微かに曇っていた。
「しかし、いいんですか?あんな掛け声を勝手に皆に教えて・・初めはふざけてやっていましたが、今では慣れてしまいました」
「いいんだよ。前よりも統制がとれるようになっただろ?それに皆、心の拠り所が必要なんだ。あたいに勝利を誓われてもまずいが、その分、ドミトルは皇女だから大丈夫だ」
初めは挨拶程度に茶化してやっていた事が、だんだんと訓練され、一糸乱れぬ行動になってきている。
「お怒りにならなければいいのですが」
ファレスは言う。
「利用できるものを利用して何が悪い?もし、これが完全に許されたら、第一皇女様のお名前も許されるかもな。と、言うかドミトルなら変えると思うが、どう思う?」
「それが狙いなんですか?」
「さぁな。さぁ!あたい達も行くぞ」
アテイシアは補佐達を率いるように前を歩く。椅子に立てかけてあった槍を掴むと、力を入れた。
「今日も虫を残らずぶっ殺すぞ」
「「おう!」」
ルビーナとエルビナスが拳を上げる。
そうして転移陣まで歩いて行くと、その場から消えた。




