人間との戦い
堀に水を張り、エリックは、掌を水面に当て、ブツブツ呟く。
「よし、これでいい。」
そう言って、屋敷にもどった。
次の日の朝、屋敷の前には、人間の騎士団と、森の大賢者、そして勇者が迫ってきていた。
騎士団の中には、魔法使いも混じっているようだ。
「ちっ!人間どもか。」
エリックはアテがハズレたようだ。
「とりあえず片付けようか。」
そう言った、窓から屋根の上に位置をかえた。
「居たぞ!公爵だ!撃てっ!」
その声と同時に、無数の弓矢が飛んでくるが、屋敷の結界に、全て防がれる。
「くっ!魔法使いっ!なんとかしろ!」
魔法使い達が、何やら呪文を詠唱して、結界の破壊を試みる。
「めんどくさい、こっちから向かってやるか。」そう言って、エリックは、屋敷の屋根から、飛びたった。
騎士団の中央に降り立つエリック。
一斉に斬りかかる騎士団、それを氷の盾を出現させ、全て防ぐと、氷の矢を上空に出現させる。
「死ね!」
そう言い放つと、無数の氷の矢が、騎士達めがけて落ちてきた。
次々と命を落とす騎士達。
それを見ていた魔法使い達は、炎の魔法で、氷を溶かしにかかるが、時はすでに遅し。無残に刺さった氷の矢を、溶かしても、騎士達は、生き返らない。
標的をエリックに変え、炎を放つ魔法使いを、エリックは、気にもせず、勇者の方に向かう。勇者は、剣を抜き、エリックに飛びかかる。
おそらくミスリルなどの、貴重な金属で出来ているであろう剣、その攻撃を、エリックは、ただの銀の長剣で防ぐ。
どうやら勇者を、剣で殺すことにしたようだ。
勇者は、ただの銀の長剣で、攻撃を防がれた事に驚いていた。普通の剣であれば、折れるか、砕けるはずの一撃であったのだ。
勇者は、大賢者から、囮になって欲しいと言われていた。時間を稼いで、その間に、封印呪文の詠唱をすると。
何やら長い呪文らしく、対象を見ながら、だらだらと30分はかかるらしい呪文を、詠唱しなければならないらしい。
この相手に、30分。
気が遠くなる。ネバるしかない。




